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1年に1度、パシフィコ横浜で行われる国内最大級のカメラと写真映像のワールドプレミアショー「CP+」。2021年はオンライン開催となったことをきっかけに、LUMIXは3日間に渡るオンラインイベントを開催しました。
イベントの名は、「Creators Live! with LUMIX」。カメラメーカー主催のイベントながらクリエイター目線を重んじて構成された本イベントは、視聴回数が2万6000回超え、終了後にはアーカイブ視聴を望む声を多くいただくなど、大好評のうちに終了しました。
このCP+で、Vookはパナソニック株式会社様のパートナー企業として、企画・運営を担当いたしました。
「CP+の臨場感を、そのままオンラインに」企画から3ヶ月という短い期間の中でいかにこのテーマを実現し、制作チーム・出演者・視聴者が一体となるイベントを作り上げたのか。知られざる裏側を振り返るとともに、この取り組みから生まれた「さらなる挑戦」についても、ご紹介します。
左)パナソニック株式会社 コンシューマーマーケティング ジャパン本部 主幹 塩見記章 氏
中)パナソニック株式会社 コンシューマーマーケティング ジャパン本部 主務 中西智紀 氏
右)パナソニック株式会社 コンシューマーマーケティング ジャパン本部 亀井創太 氏
左)株式会社Vook クリエイティブパートナー部マネージャー 伊藤 洸一
右)株式会社Vook メディアパートナー事業部マネージャー 村上すなみ
2021年のCP +はオンラインへ。LUMIXはなぜVookをパートナーに?
ーーはじめに、「Creators Live! with LUMIX」でVookをパートナーに選んだ理由を、お聞かせください。
中西:LUMIXは2021年に20周年を迎えますが、近年はプロとして映像制作を行っているクリエイターの方々のお役に立てるカメラの製品化にも力を入れています。新たな方針として「Creators with LUMIX」を掲げ、これを体現したコンテンツ制作ができるのはVookさんしかいないと思い、お声がけしました。
塩見:これまでS1HやS5の新製品発表の際にLIVE配信をお願いしてきたのですが、「映像制作にしっかり貢献できるメーカーになりたい」と志を新たにした我々にとって、Vookさんとのお仕事を通じて知る“現場感覚”は、とても勉強になるんですよね。
中西:我々が抱いていた悩みは、「ユーザーはLUMIXの製品をどう使っているのか」を詳細に知る術がなかったことです。つい「4K動画が撮影可能です」と技術的な部分を訴求してしまうのですが、それが「どうお客様にとって役に立つ機能なのか」が、言語化できていなかったんです。
まず映像制作のワークフローを知り、僕たち自身もクリエイター目線に立ちたいと思った時に、その糸口となってくれたのがVookさんとのお取り組みでした。
ーーLIVE配信業務を請け負う会社は複数ありますが、なぜVookとのお付き合いが続いたのですか?
塩見:VookさんのLIVE配信は、ただ情報を伝えるだけではなく、映像の色や画作りまでこだわってくださるんです。「クリエイターにとっての魅力的なポイントを踏まえつつ、製品をどう見せるか」を見出し、私たちとは違う目線から、製品の価値を伝えようとしてくださる。メーカーとしては心強いんですよね。
中西:Vook 代表の岡本さんが掲げている「映像クリエイターを無敵に。」というVISIONに共感したことも、理由の一つです。それを体現するために、映像制作に関わる人たちとのつながりを持ち、制作の機会提供や情報提供を行っていて。
LUMIXとしてもそのような活動を目指していきたいのですが、まず映像クリエイターさんとの接点が少なかったんですよね。接点を作ろうと頑張ってはいるものの、信頼関係は一朝一夕で出来るものではない。そして、信頼関係がないところから良いクリエイティブは出ないものだとも思っています。
すでにクリエイターさんとの信頼関係を築いているVookさんとのお取り組みを通じて、我々は勉強させてもらっているんですよね。それが、我々にとってはLIVE配信してもらう以上に、価値のあることだと感じています。
LUMIXとVook、異なる文化がお互いに与えた刺激とは。
ーーCP+がオンライン開催と決まったのが、開催日の3ヶ月前。イベント内容をほぼ0から練り直したとのことですが、どのように進行したのですか?
中西:普段この規模のイベントには少なくとも1年はかける弊社にとって、Vookさんのスピード感には本当に助けられました…。大変でしたよね?(笑)
村上:すべてオンラインに切り替わったことで、アサインするクリエイターさんが、6名から29名に増えましたよね(笑)。
Vookは動画や映像制作に関するTipsを集積したプラットフォームを運営していることもあり、もともとたくさんのクリエイターさんとのお付き合いがあります。しかし、この規模でのイベント運営は弊社としても初めての経験で…。もう、やるしかないって感じでしたね(笑)。
ーー進めていく上で、特に難しかった点はありますか?
中西:今回、難しいだろうなと思いながらVookさんにお願いしたのは、「僕たちメーカーとクリエイターという対極の存在をつないでほしい」ということなんです。
塩見:Vookさんはクリエイターファーストを重んじる社風で、クリエイターにとってカメラがどうあるべきかというロジックが得意なはず。一方我々がCP+に出展する一番の理由は「カメラを売るため」なんです。そのため、コンテンツのゴールをいかに「LUMIXのカメラが欲しい」につなげていくかは、すごく考えていただいたと思います。
村上:そうですね。Vookとしては、「クリエイターファーストであること」と同じくらい「コンテンツを見られるものにしたい」とも考えていました。なので、「メーカーの色が強くなりすぎると面白みに欠けてしまうのでは」と、企画チームが懸念していたことは事実です。
ーー両者がそれぞれ大切にしている目的がありながら、どのように足並みを揃えたのですか?
中西:「Creators with LUMIX」この言葉の存在は大きかったと思います。あくまでクリエイターにとって良いものを作るという認識が、共通していたんですよね。
村上:そこが一致していたことが、良かったですよね。Vookが一番大切にしていたことは、「メーカーにとってもクリエイターにとっても中立的な媒体である」ということ。そのため、無作為にクリエイターさんをアサインすることや、使っていないのに「この機材は良いですよ」とPRを依頼することは、どうしてもできないというのが社内の認識でした。
クリエイターさんに実際に機材をお使いいただいて、「この機材はよかった」と体感してもらった上でアサインする。時間がない中で、その時間をかける価値を理解してくださったことに、とても感謝しています。
ーーイベント全体のディレクションを務めた伊藤さんから見て、どのようなイベントでしたか?
伊藤:僕はS1Hのお取り組みからLUMIXさんとご一緒しているのですが、「ここまでクリエイターに寄り添ってくれるメーカーはない!」と実感したイベントでした。主に企画を担当した代表の岡本の提案は、僕から見ても「実現できるの!?」と思うものが正直たくさんあったんですよ。例えば、「CP+の会場をそのままオンライン上に持っていく」企画とか。
ーー「僕らとCP+2021“突撃!LUMIXブース”」ですね。
伊藤:クリエイターが製品ブースに突撃し、機種の担当者であるみなさんに忖度のない意見をぶつけ、その様子をLIVE配信した企画です。リアルタイムで、しかもコメント欄をONにしての配信を良しとしてくれたところに、LUMIXさんの「クリエイターに寄り添う」ことへの覚悟を感じました(笑)
亀井:CP+の醍醐味というのは、忌憚のないご意見をもとにユーザーさんと直接やりとりできることなんです。あの企画は、LUMIXがクリエイターに寄り添っていくという考え方があったからこそ生まれたコンテンツでした。視聴者代表として、YouTuber / 動画クリエイターのギュイーントクガワさんとエマークさんにご登場いただいたのですが、正直、最初は不安だらけでした。でも、コメント欄で視聴者さんも一体となって楽しんでいる反応を見て、意味のあるコンテンツだったんだなと感じられて。
塩見:今回私たちが重視したかったのは、ライブ感。ギュイーンさんとエマークさんは、事前に自身のYouTubeチャンネルで質問を募集してくださっていて、視聴者代表としてメーカーに物申してくれたので、彼らと視聴者との間にチームワークが生まれて、コメント欄がすごく盛り上がったんです。
私たちとしては苦しいことを言われる場面もありましたが、それがリアルだし、CP+らしさ。今後のために受け止めていきたいと、覚悟していました。
亀井:振り返ってみると、あのコンテンツは社内からの評判も高かったんですよね。
伊藤:「視聴者さんが求めているから」と自分たちで選択して実現するって、こんなにクリエイターに寄り添ってくれるメーカーがあるのかとびっくりしましたね。我々としても、信頼して任せてもらえることで、「もっと良いものにしたい」と追求したくなる。いい循環ができていたなと思います。イベント終盤、想いが溢れて泣き出すスタッフもいましたから(笑)。
村上:コメント欄やSNSでの反応をチェックしたときに、視聴者さんから「やっぱりLUMIXが好きでよかった」というコメントがすごく多くて。さらには「このイベントを実現してくれたVookにもありがとう」と、わたしたちにまで声をかけてくださる投稿が、嬉しくて仕方がありませんでした。タイトなスケジュールの中で出演してくださった方も「楽しかった!」と伝えてくださって...見ている人も、出演する人も裏方で働く人も、全員一体になれたイベントになったんだなと、すごく安心しました。
「Creators Live! with LUMIX」終了から3ヶ月。LUMIXとVookは新たな挑戦へ
ーー「Creators Live! with LUMIX」終了から約3ヶ月、次の企画もすでに公開されていますよね?
中西:5月26日に発表したGH5Ⅱのイベント企画・運営と、今回はさらにプロモーション全般まで、Vookさんとご一緒しています!
イベントは「Creators Live! with LUMIX GH」と題して、さまざまなジャンルで活躍されているクリエイターさんにGH5Ⅱを使用していただき、その使用感を語っていただくコンテンツをLIVE配信しました。
「こんな機能を持ったカメラがあり、それを使うクリエイターさんがいて、そのクリエイターさんが目指す世界にどう使ってもらえるのか」。この一連の流れを維持したまま世に出していくことを望んでいたので、インフルエンサーのゆうこすさんやYouTuberのふたりclipさんらをはじめ、クリエイター目線を軸に、プロモーションしています。
村上:今回のイベントでは、S5のイベントで起用したクリエイターが再度集結していて。作品事例動画はTOSH SHINTANIさんに、LIVE配信は森田良紀さんを起用してくださっています。VookがつないだクリエイターさんとLUMIXさんが更なるお取り組みをしてくださることが、とても嬉しいんですよね。
中西:司会してくださった岸田さんもCP+からのご縁ですし、我々にとっても、Vookさんを通じて「この人に頼みたい」という縁が増えたのが、とても嬉しいんですよね。
塩見:そして、5月30日(日)に「LUMIX BASE TOKYO」という弊社の新しい拠点がオープンしました。この場所はCreators with LUMIXをより体現する場所にしたいと考えておりまして、ほぼ全面的にVookさんに運営に入り込んでいただいています。
伊藤:LUMIXの活動拠点でありながら、映像制作に必要な他の会社の機材にも触れられる場所です。映像をつくる上でカメラと並んで大切な照明も音声などの機材にも、同じ場所で触れられる。この提案が通った時は、いち映像クリエイターとしてもワクワクしました!
塩見:Vookさんにご提案いただいたからこそ、実現しようと思えた企画です。
村上:これがもし、「LUMIXを売るための場所にして欲しい」とご依頼いただいていたら、Vookではお力になれなかったかもしれないですよね。でも、「クリエイターになるための場所にしたいから、必要なものを提案してほしい」というご依頼内容で任せていただいたからこそ、お引き受けしました。
伊藤:だからこそ、僕たちVookも、カメラの価値を伝えやすいんですよね。
塩見:これまでのVookさんとのお取り組みの中で、Vookの皆さんや、その先でお仕事してくださるクリエイターの方々への信頼感というか、「この人たちに賭けてみたい」という手応えが、我々にもあるんです。これからも、よろしくお願いします。
村上:私たちVookは、もともと映像制作の中でもニッチな人たちだけが知るような規模の会社でした。今回の経験は、私たちももっと大きな場に出ていけるんだと道がひらけたようで、これから更なる挑戦をしていく上での自信になります。本日は、ありがとうございました。