広島県観光連盟(HIT)では、2025年10月15日~10日間、大正大学社会共生学部公共政策学科3年の吉田さんをインターンとして受け入れました。インターンの方からみた観光地「広島」とHITの業務について、記事を書いていただきました。
インターンの方には、インターンの最終日に記事を記載いただきましたので、記事の文章は10月24日時点のものとなります。予め、ご了承ください。
目次
【はじめまして。広島県】
【広島市の町並み】
【インターン開始】
【広島で味わった葛藤と癒し】
【10日間を振り返って】
【広島での経験をこれからに活かす】
【はじめまして。広島県】
10月15日から10日間、広島県観光連盟(HIT)でインターンをさせていただくことになった。
私自身、広島に足を踏み入れることが初めてだったため、事前学習を通じ、なるべく多くのイメージを抱えながら広島に向かった。東京駅から約4時間、多くの荷物と多くのイメージを抱えた、言わば準備万端の状態で広島駅に着いた吉田だったが、、、
「髭剃りを忘れた…」
と言うのは冗談で、事前学習から蓄えた広島のイメージと違い、驚きと戸惑いから始まる初広島、初インターン(吉田は就活始めてないからインターンも初)となった。
【広島市の町並み】
広島に着き、最初に感じたことは「意外に栄えているんだなぁ」ということだった。もっとマシな感想を持てと思っただろう。しかし、東京生まれ東京育ち、1年に1回設けられたこの実習の期間と旅行以外は、基本的に東京にいる吉田。昨年の実習では山形県に行った吉田。コンビニまで片道30分と聞き、山形で泣きそうになった吉田。「意外に栄えている」というファーストインプレッションは妥当だろう。広電に乗車後、運賃の支払い方に戸惑いながらも、人に聞くという特性を持ち合わせていない吉田は、車内に説明書が吊るされているのを見つけ、どうにかHITさんの目の前の駅、「原爆ドーム前駅」に到着した。メディアでしか見たことがない原爆ドーム、実際に見たらやはり雰囲気があるのだろうか、思っているより小さかったりするのだろうか、わくわくを抑えきれずに、人目を気にせず少し口角を上げていただろう吉田は、ついに広島の象徴、原爆ドームと対面した。
「怖い」「恐ろしい」
はじめて来る広島という場所を楽しめていないわけではない。ただ、原爆ドームの雰囲気に圧倒され、上がっていた口角はいつの間にか下がっていた。
【インターン開始】
インターン1日目、朝が早いなぁと思いつつも良い緊張からか、大学内でおなじみの連鎖的な眠気は来ず、はきはきとした状態でインターンが始まった。1日目の午前は挨拶(一言話すと思っていなかったから、めっちゃもたついた吉田。)と、概要がほとんどで、まずは10日間ここでお世話になるということから環境に慣れることから始まった。しかし、午後は三次市というところでHYPPのワークショップに参加することとなっていたので、1日目の昼食は移動中の車内だった。
~1日目からすごく濃い内容だなぁ~
と感じながら、後部座席で肉まんを頬張った。
三次市に着くと、初めて広島で感じた「栄えている感」は一気に消え、急に「あぁ、田舎に来たんだ」と感じる町並みだった。ワークショップでは、観光プロダクトとして自分たちで運営している人が集まり、ディスカッションをするという、内容的には大学でやっているようなものだったが、口を開いてみるとびっくり仰天。当たり前だが、話す内容が大学生ではない。ディスカッション中は、たくさん勉強になることがあり、自然にメモをとっていた。ここで感じたのは、「観光政策の可能性」だった。
いろんなプロダクトを抱えた、いろんな人が居る。そこでのワークショップはこんなにも、学びが詰まっていたのかと、宝物を見つけ出した子供のような思いで、一気にこの10日間が楽しみになって、1日目を終えた。
【広島で味わった葛藤と癒し】
あんなにもわくわくした気持ちで1日目を終えた吉田だったが、2日目以降、我に返った。朝から始まるHYPP定例ミーティングは広島2日目の自分にとっては重たい空気感。観光施策の立案という壮大な課題。2日目にしてへこみそうになった吉田であった。
3日目は、オフィスではなく、西広島駅で集合をし、Bside体験モニターというプロダクトの体験ツアーに参加した。ここでは多くは語らないが、インターン3日目にして観光目線が身についてきたところからすると、このプロダクトには感じる部分があり、アンケートシートにいくつか記入した。ここで、自分は無意識に観光施策という目線が備わってきているのかもしれないと、心の中で少しニヤニヤした。午後は、また一風変わって、エディオンピースウィング広島というサッカースタジアムに出向き、サンフレッチェ広島とのコラボイベントの業務に携わらせていただいた。KINSAIという観光アプリケーションをダウンロードしていただき、登録とチェックインをしていただいた方に限定シールを配布するという業務内容で、広島へ来て以来、一番大きな声で集客に努めた。(居酒屋の呼び込み経験があった吉田。使えた。)
4日目の土曜日は、ゼミ長と考えたモデルコースを実際に回ってみるということで、車を出していただいた。広島の自然を感じた。宮島にも初めて行き、有名なあの鳥居を見た。
久しぶりに自然を感じ、癒された吉田だった。
週が明け、HITの雰囲気にも慣れ始めたところ。月曜日の午後にMICEユニークベニューに参加させていただき、県民の浜へ行った。広島の自然を存分に感じる時間となり、オフィス外の業務では一番印象に残っている。
ここでは、「広島は被爆地だけじゃない」「広島の自然という面も全国に知ってもらいたい」と感じた。
非常に癒され、疲れを忘れた。
インターン期間折り返しということもあり、ワークの進捗からも多少焦りが見えてくるころで、身体的にも少し疲れてきたなと感じていた8日目の午後、ひろしま神楽を鑑賞させていただいた。正直私は伝統芸能や舞台系のものには興味がなく、基本的な知識すらない。そんな状態で見させていただいたが、圧巻だった。音楽と言い、舞と言い、素晴らしいステージで吉田は感動した。しかし、個人的にもっと感動する出来事がこの後に起こった。
前提として、広島県の外国人観光客のほとんどは欧米人だ。関東に住む人が慣れているアジア系の観光客は少なく、インターン中もほぼ目にしなかった。欧米人のイメージと言えば、あの大げさなリアクション。大きな身体を存分に使い、大きな声で笑い、それが起こったのだ。神楽が終わった後、沸き起こったのは歓声とスタンディングオベーション。HITの方もここまでのリアクションは初めて見たと言っていた。この風景を見た吉田は、また「観光の可能性」を感じた。
9日目、2度目のHYPP定例ミーティング。相変わらずの雰囲気だった。話を振っていただいたので、例の体験モニターの感想を話したが、正直とてつもなく緊張していた。午後は、ローカルガイド研修の受付業務に携わらせていただき、9日目にしてようやく「仕事感」ある業務内容だった。が、会場設営と撤収、会場の受付案内という業務内容のなかで、あらゆる人とコミュニケーションを交わすとても良い時間になった。
そしてこれで一通りのインターンの内容が終了した。長いようで短い時間だった。
10日目、最終日ということで提示していただいていた課題を報告するという、10日間の集大成を最終報告としてプレゼンする1番大切な日が来た。緊張した。先ほどプレゼンが終わり、重荷が下りた状態でこれを書いている。緊張した。
【10日間を振り返って】
最初に感じた、原爆ドームへの「怖さ」「恐ろしさ」は、不思議なことに今はあまり感じていない。もちろん今でも、あの存在感には圧倒されるが、初日に感じた怖さとはまた違った印象なのだ。しかし、最終報告をするうえで、観光施策の切り口となってくる部分は「そこ」なのかもしれないと思った。10日間いるだけで原爆ドームという存在に「慣れ」を覚えてしまうのだ。しかし、その代わり「広島の自然をみんなにも知ってもらいたい!」と初日では絶対に感じていない気持ちになっている。観光施策を考えていく中で模範解答はない。感じ方は人それぞれで、歳、人種、国内でも住んでいる地域によって全く違う。今回のインターンでは、そこの部分を一番感じた。しかし、持続可能な観光を考えていく中で大切になってくるものの1つとして、確実に言えることは、
「あらゆる角度から見てみる」
という部分だと思う。少なくとも私はこの10日間で、そう感じた。
私、吉田はこの10日間で「初めて見る原爆ドーム」と「慣れを感じ出した原爆ドーム」この2つの角度から原爆ドームを見た。また、あまり知られていない広島の魅力(自然面)も見ることができた。
【広島での経験をこれからに活かす】
観光資源とは何か。伝統文化に乗っ取った、既存の建造物や風景か。それとも人が作り出す近代的な建造物やビルが立ち並ぶ風景か。それとも、どちらもなのか。
吉田の卒業論文の大きな枠組みのテーマは「観光資源」の予定だ。研究を重ねていく中で、今回広島で感じたこと見たこと体験したことは、卒業論文を書くことだけでなく、全国各地を回っていくであろう、この先の人生で大きなピースの1つとなると思います。決して大げさな表現ではなく、初めて来る広島という地で、視点が一つ増えたと思っている。この視点を忘れずに、必ずまた広島に訪れようと思う。