私はいま、NPO法人スペシャルオリンピックス日本・広島(SON広島)という知的障害者のスポーツ活動を支援する団体の副理事長をしています。このスペシャルオリンピックスというのは国際的な組織で、オリンピックと同様に4年に1度夏季大会・冬季大会が行われ、世界大会・国内大会に向けた継続的なスポーツ活動の場を提供しているところが特徴です。
SON広島は知的障害者の家族を中心に運営されてきましたが、2022年に夏季ナショナルゲームを広島に招致したことをきっかけに企業や経済団体の関わりが増えました。私も青年会議所(JC)の一員として関わったことで理事になりました。
私自身が、こうした知的障害者の支援にもともと積極的だったわけではありません。むしろ障害を持つ方やその周辺の方々とどう関わっていいのかとまどっていた、というのが正直なところです。けれども、自分の子供がもし障害を持って生まれてきたらということは考えましたし、同世代の知り合いの子供が障害を抱えているということを聞くこともあります。こうしたことはあけすけにオープンにすることでもないので、自分が気付いていないだけで、実は身の回りに障害と関わる方はたくさんいるのではと思っています。ですので、私はSON広島の活動に関わることで、障害者をとりまく社会に対する自分の中にあった心の壁を取り払えるのではと考え、腰を据えて関わることを決めました。
この活動に関わることで、気付くことはたくさんあります。ほとんどの皆さんが家族に知的障害者がいるなか、私の家族はみんな健常者ではありますが、ここでは私の方がマイノリティであること。健常者ばかりの家族で私は当事者でないと引け目を感じる中、知的障害者の兄弟は当たり前ですが健常者であり、私の家族と何も変わらないこと。障害と健常の境目が、もちろんあるときはあるんですが、その境目を過剰に意識していたのは自分自身だったのだなと改めて気付かされます。
SON広島の活動はまだまだ家族の無償ボランティアと善意で成り立っているところが多く、企業が関わることで改善できる余地はたくさんあるように感じています。自分の会社の経営が第一ではありますが、こちらの組織運営も改善して当事者の方たちがスポーツ活動に専念できる環境を整えていければと思います。