『100BLG』立ち上げメンバーである前田隆行、徳田雄人、猿渡進平、河野禎之、平田知弘が一堂に会し、『100BLG』の発足についてそれぞれの想いを語りました。
— この回では、平田がテレビのディレクターの仕事を通じて出会った認知症のひとたちとの交流のお話を中心にお伝えしていきます。
平田 知弘
『100BLG』のCCO(最高顧客責任者)
映像ディレクターNHKディレクターとして、Eテレ「ハートネットTV」などの制作にたずさわる。介護・医療・認知症・自殺問題を中心に番組を制作。認知症に関する番組に、「[NHKスペシャル]シリーズ認知症その時あなたは」(2006年)などがある。制作協力に、「認知症になっても人生は終わらない 認知症の私が、認知症のあなたに贈ることば」(harunosora)がある。2019年独立。
平田 僕はNHKのディレクターでした。福祉の番組を担当し、制作をしていました。僕の場合は「個人から社会を見る」仕事をしていたと思います。さまざまな生きづらさを抱える人たちを取材し、その人たちの抱える問題や困りごとを通して、社会の問題を映し出すということをしていました。
「認知症」も番組のテーマのひとつでした。「本人の声を聴こう」という番組で、認知症の当事者の方々の声を集めようと、全国からメッセージを募集したんです。そのなかで、大阪の50代でアルツハイマー型認知症と診断された男性の方からの言葉がありました。それが、ぐっと胸に刺さりました。
「アルツハイマーになったら、悪いのでしょうか?」
アルツハイマーになって「辛い」とか「苦しい」ではなくて、「悪いのでしょうか?」。このことばの裏にある、社会からの阻害や偏見、自分で自分を責めている、ご本人の苦しみが感じられて、はっとしたんです。 世の中のゆがんだイメージが、ご本人たちを苦しませているって。メッセージを受け取った身として、このゆがんだ見方、社会の「視線の病」をどうしたら変えていけるだろう? と考えるようになりました。
「認知症」というテーマを掘り下げたいと思っていたとき、ディレクターの先輩から「会っておいたほうがいいひとがいる」と、紹介されたのが「DAYS BLG!」を運営する前田さんでした。