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業界騒然!サンドボックス環境の立ち上げ秘話


「sunabar -GMOあおぞらネット銀行API実験場-(以下、「sunabar」)」はGMOあおぞらネット銀行のAPI実験場で、外部から口座情報を取得や、振込処理を可能にする銀行API機能を自由に試せるサンドボックス環境(sandbox/通常ユーザが利用するシステムに影響がでない、独立した環境)です。

プロジェクトメンバー

2020年4月7日にリリースしてからこれまでの2年間で、利用者を増やすための
マーケティング活動や、よりビジネスに直結させるサンドボックスとしての役割を
アップデートするなどの工夫を行ってきました。
今回は、sunabarの立ち上げや、普及活動に深く関わるメンバーに
インタビューし、立ち上げ当時の苦労や今後の展望などを語ってもらいました。

社内公募で手を挙げたメンバーによる、国内銀行初の革新的なプロジェクト

まずは、それぞれのメンバーの役割について教えてください。

矢上:
今回のsunabarの立ち上げメンバーは、エンジニアの社内公募で募集しました。その中で、私は、プロジェクトマネージャーとして、プロジェクト全体の進行・管理を担当しました。
当社としても初めての試みだったこともあり、各メンバーには苦労をかけた部分もありますが、基本的には「自由にやっていい」という方針でプロジェクトマネジメントをしていました。

山城:
私は、インフラの設計と構築を担当しました。
銀行のメインシステムはオンプレミス(自社内での構築・運用)なので、本格的にAWSクラウドを使うのはsunabarが初めてでした。

橋口:
私は、銀行システムをオンプレミスからAWSに移行する箇所の開発リーダーを担当しました。実務部分はグループ会社に依頼し、開発者コントロールをメインに行っていました。

櫃ノ上:
私は、APIゲートウェイと呼ばれる入口部分を担当しました。
APIの管理や利用ユーザーの認証を行うところになります。
APIの本番環境では他社サービスを利用している部分ですが、コスト削減や内製化を進めたいという全体の方針もあり、AWSを使って内製で構築しました。


渋谷の銀行からエンジニアに向けての発信

プロジェクトをスタートした背景を教えてください。

矢上:
当社は、2018年7月にインターネット銀行事業開始時より、渋谷の地からエンジニア向けにバイラルマーケティングを仕掛けるべきだという想いがあり、検討を開始しました。

施策としてイベントや勉強会はどこもやっているので、それだけではインパクトが弱いため、「エンジニアが困っている部分」にフォーカスして、銀行APIをテストする環境を常時提供しようという話になりました。
それまで、FinTechに代表される金融システム系のエンジニアの方が銀行APIを試したいと思っても、審査やセキュリティ基準が厳しく、簡単に試すことはできませんでした。
試用のハードルが高いことで銀行APIの普及が進まなくなるのは当社にとっても課題だと考え、敷居を低くするための施策として、sunabarのコンセプトを決定しました。

sunabarは通常のテスト環境や本番環境から完全に独立し、お客さま情報も保持せず、何をしても情報漏洩にならない作りにしてあるので、審査がないどころか当社の銀行口座を持っていればどなたでも利用できる仕様にしています。
このようなサンドボックス環境の常時無償提供は、サービス開始当時(2020年4月)から現在(2022年12がつ)まで国内唯一の取組です(当社調べ)


櫃ノ上:
ちなみに、サンドボックス環境のsunabarは、サンドボックスの「砂場」と人が集う場所の「bar」を意味して命名しました。
オンラインだけでなく、オフラインでも「GMOインターネットグループのシナジーカフェ」にエンジニアが集う、渋谷発金融エンジニアコミュニティの醸成を目指し、立ち上げました。

企画からリリースまで約半年。当社の強みを体現した“スピード感”

プロジェクトを推進するうえでの困難だったことを教えてください。

橋口:
実は、sunabarは計画からリリースまで約半年という短期間で進行したプロジェクトでした。
2019年10月から企画がスタートし、11月半ばに開発がスタートし、2019年12月から2020年3月初旬くらいまで設計・構築・テストを行い、2020年4月7日にsunabarをリリースしました。
限られた時間の中で、「思い切ったことにチャンレンジしたい」と熱意を持ったエンジニアが集ったので、溢れ出る思いを上手く調整しながらスケジュールを守ることに苦労しました。

山城:
AWSでの開発経験がないメンバーばかりだったので、知識やスキルのすり合わせが大変でした。
その分、「なんでも好きにしていい」と言われていたので、新しい端末を導入したり、新しい技術を使ったり、色々と試すことができたのが、とても面白かったですね。
せっかくなので、クラウドネイティブ(基盤だけでなくアプリもクラウドで作る)で作ろうと試みたところ、知識不足から何度も設計を見直し苦労しましたが、その過程が今では深い理解につながっています。

橋口:
まさに私がプロジェクトの進捗を管理する役割をしていたので、「あれもやってみたいこれも試したい」と盛り上がったメンバーをコントロールしながらスケジュールを守るのに苦労した思い出があります。(笑)

山城:
橋口さんには苦労を掛けていると当時も感じていました(笑)

矢上:
プロジェクトマネジメントの観点から考えると、次々と出てくる不安要素をどうやって払拭させるかというところが1番大変でした。
当社としても初の試みだったため、社内の理解を得るための働きかけは、プロジェクトを円滑に進めるうえで必要なミッションであると考え、失敗した時のリカバリ、期日に対するリスクヘッジ、将来的にAPIゲートウェイの内製化にも活きるという将来性など、出せる情報をすべてまとめて各所を回り、1つずつ不安を解消していきました。

サンドボックス環境「sunabar」誕生後のマーケティング活動

リリースから2年。これまでの取り組みと成果を教えてください。

橋口:
sunabarリリース後の取り組みとしては、エンジニア向けのイベントをこれまで18回開催してきました。
18回のエンジニア向けイベントでは、FinTechの第一線で活躍するゲストをお招きして、時流をディスカッションしたり、sunabarを活用したデモアプリケーションを制作して披露するなど、さまざまな活動を行ってきました。
イベントの効果もあり、sunabarを活用するユーザー数も増え、最近では、テックアカデミーの講義でのsunabarの活用や、sunabarを用いたハッカソンの開催などが成果として挙げられます。
実際、「sunabarってすごい!」などのユーザーの生の声がダイレクト聞こえ、作って良かったと実感しています。



櫃ノ上:
sunabarはサンドボックス環境ですが、ビジネスの観点でいうとマーケティングツールの1つでもあります。
当社が提供する「銀行API」を含む「かんたん組込型金融サービス」契約数累計は336契約(2022年7月31日時点)ですが、この半数近くの会社が、sunabarを実験場として活用いただいております。
無償で使えるsunabarだからこそ、敷居が低く、「まずはやってみる」という事業者さまの初めの一歩に貢献しています。
エンジニアが常時使用できる環境は、エンジニアが経営に携わっていることの多いFinTech企業にとって、ビジネスに直結するマーケティングに利用できるわけです。

橋口:
また、sunabarから発展して、当社が注力する“組込型金融”を発展させるために、「ichibar組込型金融マーケットプレイス(以下、ichibar)」を立ち上げました。
組込型金融を始めようとしている事業者さまが、金融機能を組み込んだサービスを実現するために、ichibarで出品されているパーツを活用することで、ビジネスアイデアの試行とブラッシュアップを可能にすることを目的にしています。

今後も「誰もやっていないことをやる」がコンセプト

sunabarの今後の展望について教えてください。

山城:
少しハードルは高いですが、APIを個人に開放することも検討していきたいです。
個人が銀行APIを活用してプロダクトサンプルを作り、ichibarに出品をして、事業者さまが銀行機能をichibarで購入する世界を作りたいです。
そのために、もっとエンジニアへの発信をさらに強化して、sunabarの存在を盛り上げていく必要があると感じています。

櫃ノ上:
これまで、外部の方のsunabarの活用は広まってきましたが、当社内での本番の開発でも、実験場として活用できる余地があると思います。
次のステップとしては、sunabarで開発したAPIを当社事業のAPIにフィードバックをする流れを進めていきたいです。
また、当社の本番環境をよりセキュアな環境へアップデートするための技術検証の場としてもsunabarを活用していくことを考えています。

矢上:
sunabarは、GMOあおぞらネット銀行の口座を持っている人ならだれでも利用できますので、もっと認知度を高め利用者を増やしていきます。
皆さんも、ぜひ使ってみてください。

今回sunabarを立ち上げたメンバーにインタビューを行いました。
まさに当社が普段から体現している、“スピード感”と“銀行らしくない”が色濃く表れているプロジェクトになっていると感じました。
銀行でありながら、テック企業のようなスピード感を持ち、革新的な取り組みに全社でチャレンジしていくのが当社らしさです。
ぜひ、ご応募をお待ちしております!

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