こんにちは、スタジオユリグラフ採用広報チームです。
わたしたちユリグラフは、「ことば」を軸に、以下の4つの事業を展開しています。
- 外部受託による企画・制作
- AIライティングアシスタント「Xaris」
- 古書交換サービス「思い出書店」
- 自社メディア「こえラボ」
今回はそのうち「思い出書店」事業についてご紹介いたします。
「本を通じて、人と人のつながりをつくりたい」——そんな想いを込めて運営しているのが「思い出書店」。カフェや美容室などの店舗に本棚を設置し、本に添えられた“思い出”を介して、利用者同士が本を交換しあうサービスです。
立ち上げ当初から開発と運営に関わり、自らユリグラフ本社がある沖縄へ移住もしたという、事業責任者・エンジニアの水野にお話を聞きました。
「思い出の本」を通じて、本や人との出会いを繋ぐ
ーーまずは、思い出書店の仕組みについて、簡単に教えてください。
水野:一言で言うと、さまざまな場所に設置された交換スポットで、思い出の本を交換できるサービスです。
交換スポットの本には、持ち主の「思い出」が書かれた帯が巻かれており、自分の持ってきた本に帯を巻いて思い出を書き、それを別の思い出の本と交換するという仕組み。
利用料はいただいておらず、本棚を置くお店側から月額利用料をいただく形で運営しています。
ーーお店側からお金を頂いているのですね。どういう目的で設置しているのでしょうか?
水野:大きく二つあります。まず一つは、「町に本屋がないから、本に触れられる場所を増やしたい」というケース。全国で無書店自治体(書店がゼロの自治体)が増えている中で、わたしたちの取組や世界観に共感してくださった方です。
二つ目は、「本を通じて人とのつながりを生み出したい」というケース。
たとえば、ブックカフェや図書館といった場所で今導入を進めて頂いているのですが、こうした場所は例えば「本を置いたけど手にとってもらえない」「利用者どうしが繋がる仕組みを作りたい」といった需要があり、思い出書店を利用してくれています。
ーー「本」がない場所と「本」がある場所、双方で導入されているのですね。
はい。ただ本を借りられるだけでなく、帯に書かれた思い出が、店主さんや他の利用者の人柄を知るきっかけになる……そんな体験も思い出書店の大きな価値となっています。
アプリを通じて、「場」と「場」をゆるやかに連携
ーーお店側が自分で本棚を置く、という形もあると思うのですが、それとはどう違うのでしょうか?
水野:複数の場所で人を繋げる仕組みがある、という部分が違います。
LINE連携のアプリで貸し借りの手続きを行っているので、たとえばある場所のカフェで借りた本を別の場所の美容室で返す——というようなこともできます。
また、自分が寄付した本が交換された際にLINEで通知が届いたり、借りた本を返却する際に持ち主にメッセージを送れたりといった仕掛けもあり、本の交換が、設置するお店の再訪や、新しいお店へ行くきっかけになるようなつくりなんですね。
ーーなるほど。プラットフォームになっているのですね。
はい。一店舗で本を置くお店はありますが、思い出書店はアプリを通じて、さまざまな拠点どうしを緩やかにつなげられる点に強みがあるのかなと思います。
ーー現在、交換拠点はどのくらいあるのですか?
水野:全国で10拠点です。沖縄に7拠点、福岡と滋賀にそれぞれ1拠点、そして東京に準備中の拠点が1つですね。
「ポスト資本主義」に挑戦する姿勢に共感
ーー名護に移住し、フルコミットする形になったわけですが、決断の理由は何だったんでしょう?
水野:これ言っていいのかな……もともと別に受けた会社があったんですが、落ちてしまって。ちょうどそのタイミングで代表の森石から別事業の「Xaris」に関わってほしいという話があったんですね。
ちょうど行きたかった会社が求める技術が勉強できるということだったから…というのが率直な理由です(笑)。
でも、スタジオユリグラフの思想が個人的な価値観と近かったっていうのも大きかったですね。
「ポスト資本主義の時代」と言われているように、今の資本主義という仕組みには限界が見え始めている…と個人的には思っていて。
皆、このままじゃよくないと薄々分かってるのに、代替案がないから続けている……という社会の中で、ユリグラフは資本主義の「次」に来る価値感に挑戦している。
思い出書店もそうですし、AIライティングアシスタントの「Xaris」も、ビジネスユースだけでなく小説を書く人向けにも展開したりと、プロダクトの中に思想がちゃんと根付いている。
そういうところが自分がこれから目指す働き方と合ってるなと思いますね。
「文化のインフラ」を目指して、さらに活動を広げたい
ーー今後、どのような取り組みを増やしていく予定でしょうか。
水野:
まずは拠点を増やすこと。特に拠点どうしの交流をもっと増やしたいので、「薄く広く」ではなく、1つのエリアにたくさんの交換拠点を集中して作りたいです。文化のインフラになることを目指したいので、将来的にはコンビニくらいの数が欲しいです。
もうひとつは、思い出書店の活動を通じて、書店の売上に貢献できる形を作ること。読者人口のパイを書店と奪い合うのではなく、共存できる仕組みを整えたい。
たとえば、借りた本を返す時、「面白かったので手元に置いておきたい」と言ってくださる方もいます。そういった方に、たとえば古書通販サイトと連携し、同じ本の在庫が書店さんを紹介するといったこともできるのではないかと思っています。
(インタビュー・執筆:鈴木光平)