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6年間勤めた伊藤忠商事を退職して、ラグジュアリーファッションシェアリングサービス"HIVE Collective"を立ち上げた話

【2022年2月1日、ラグジュアリーファッションのシェアリング(共有)サービス『HIVE Collecive 』クローズドβ版の公開を開始しました!!】
https://hivecollective.jp/

初めまして、佐藤直樹と申します。
現在、新卒で6年間勤めた伊藤忠商事を退職して、スタートアップにチャレンジすべく起業し、ラグジュアリーファッションシェアリングサービス"HIVE Collective"を開発しています。

本日、無事にクローズドβ版のリリースを行いましたので、ご報告と、僕が伊藤忠に入社してから6年間どんな事を経験してきて、なぜ退職を決意したのかを前編としまして、どうしてこのタイミングで退職しラグジュアリーファッションシェアリングサービスという領域でスタートアップを立ち上げるに至ったのかという内容を後編としてまとめてみました。

あまり文章で物を書くのは慣れていなく、読みづらかったらすいません汗
そして書き終えてみると余裕で1万字を超えており、どう考えても長くなりすぎました。。笑

ただ、頑張って精一杯書きましたので、是非ご一読頂けますと幸いです!!
シェア等して頂けたら飛んで喜びます!!

目次

  1. 結論:起業して何をやるのか
  2. 前編:伊藤忠商事に入社〜ロンドンへ赴任
  3. 何も考えずに臨んだ就職活動
  4. 伊藤忠商事に入社、そしていきなりの出向宣告
  5. 2年間の経理部での経験
  6. 営業課に戻り、立ち上がったばかりの新規事業を担当
  7. ロンドンへ赴任
  8. 初めての投資案件
  9. 投資検討開始〜投資実行
  10. 突然のロックダウン

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結論:起業して何をやるのか

先に結論からまとめると、"HIVE Collective"という個人間のラグジュアリーブランドに特化したファッションシェアリングサービスを開発しています。
ブランドの洋服や鞄を個人から預かって、検品・保管・クリーニングを全て実施し、借りたい人へのマッチング、受発送業務を請け負うサービスになっています。
ブランドファッションをシェアリングという選択肢を通じて、もっと気軽に楽しめる様にしたいという思いで、起業してからメンバーと試行錯誤しながら、この様なサービスを世の中に出してみよう!!と決めました。サービスの詳細は後編にまとめますので是非興味のある方は最後まで読んで頂けますと幸いです。

前編:伊藤忠商事に入社〜ロンドンへ赴任

何も考えずに臨んだ就職活動

2014年当時、慶應義塾大学の法学部法律学科に在籍していた僕は、大した準備もせずに就職活動に臨んでいました。
よくある話ですが、当時は特にやりたい事が明確にあった訳ではなく、なんとなく名の知れた会社を受けてどっかに入れればいいや、くらいに思っていたのを覚えています。
そんな僕もゼミの活動は頑張っていた方で、田村次朗研究会というゼミで代表を務めていました。
国際経済法・独禁法について隔週でハードなディベートを行うゼミだったので、毎週実家に班のメンバーで泊まり込みで作業をしていて、「勉強は楽しく、遊びは真剣に」という教授の教えもありハードに過ごしていました。
今思えばそんな作業も楽しかったなと思える今日この頃です。何事も真剣に本気で取り組んだ先に楽しさがあるなと教えてもらった場所でした。

振り返ると中々優秀な怪物達の集まりの様なゼミで、同期の約半分は総合商社、残りも外資の金融やコンサル、大手広告代理店などThe就活無双なメンバー達と2年間勉学を共にしていて、僕も自然と周りの影響で総合商社/テレビ局/広告代理店など、ミーハーな就職活動を経て、伊藤忠商事にお世話になることになります。
(実は、軽い気持ちで受けたフジテレビのアナウンサー職の最終面接まで進んだのは、ここだけの話です。人生どうなるかなんて本当に分からないものです。)

就職活動では、大雑把に誰かの課題を解決できる仕事に付けたらな位に考えていて、どこの業種じゃないとダメ!!みたいな考えはなく、結果として伊藤忠商事という会社では最高の環境で仕事をさせて貰い、目の前の事に全力で取り組んだ先に次の未来があると学びました。

伊藤忠商事に入社、そしていきなりの出向宣告

2015年に伊藤忠商事に入社することになるのですが、入社の約半年前に配属先が決定します。属に言う「配属ガチャ」と呼ばれるものは明確に存在して、中には配属が決まった瞬間に内定辞退をする人もいるくらい、今後の会社生活を大きく左右する瞬間です。

大きな括りで分別すると、総合商社は「営業組織」と「職能組織」に分かれていて、個々人によりますが、絶対に営業で仕事がしたい!!という強い想いで入社した人が職能組織に配属されるケースが所謂「配属ガチャ」と呼ばれるものの多くを占めています。なので、今後総合商社への入社を希望している学生の方には、ここのリスクを良く理解した上でのチャレンジをオススメします。

一方で伊藤忠商事には、「部署先決め」という、特定の部署への配属が決められた上での、入社試験も行われているので、絶対にこの部署で仕事がしたい!!という人は、そちらの試験に臨むべきです。

ちなみに僕自身は、これといった大きな拘りはなく、営業組織でなるべく川下に近い領域がいいなぁ位に考えていたので、繊維カンパニーや住生活カンパニーを希望していて、運よく、当時の住生活カンパニー内の情報・通信部門、通信・モバイルビジネス部という部署に配属される事となります。

4月に入社式を行い、1ヶ月弱の新入社員研修を経て、自分の部署の上司から課レベルでの配属先の宣告が行われます。横にいる同期が続々と、部門内の営業課への配属を宣告される中、最後だった僕は、「経理部子会社への出向!!」と高らかに宣言されます。
当時、「出向」の意味も分からず、ドラマ「半沢直樹」が世間を賑わせていた事もあり、「自分は何か悪いことをしていきなり左遷させられたのでは。。。。」と、(勿論、上司の説明があり、この様なキャリアパスの存在をすぐに理解するのですが)まさに青天の霹靂でした。笑

2年間の経理部での経験

さて、そんなこんなで、自分が所属している営業部署の営業経理(営業課の適正決算の管理、新規ビジネスの会計・税務上のアドバイス等を行う部署)での仕事が始まります。
正直、最初は、退屈そうだなぁと思っていたのですが、日々の決算業務だけではなく、営業課から新規ビジネスの相談を受け、会計・税務の観点で寄り添ったアドバイスを行ったり、適切なスキーム作りについて勉強していく中で、自らが営業課に戻った時に、気をつけなければならないポイントを把握する事が出来てPL/BS/CFについても知識がついたので、今となっては本当に有意義な期間だったなと思っています。

今回起業するにあたっても、日々の経理処理や、在庫の管理、内部統制上注意すべきポイントなどが明確に分かった上で、起業する事が出来ているのは、大きなアドバンテージになったなと痛感しています。

営業課に戻り、立ち上がったばかりの新規事業を担当

2年間の経理部への出向期間を終えると、原籍の営業課に戻り、立ち上がったばかりの新規事業を担当する事になりました。
内部情報を含む為、ここでは、詳細は伏せますが、所謂トレードビジネスを行なっていて、商品の仕入れ・倉庫での入庫検品・販売までを5-6人の少ない人数で立ち上げていて、戻ってからの1年間は主に倉庫の立ち上げを担当します。
立ち上げた当初は、会計の処理の方法を経理と相談して決めたり、税務調査や監査の対応など、経理部に出向していた経験を存分に活かした仕事も任されていました。
倉庫の運営に関しては、日々商品が入荷してくる中で、最も効率の良いオペレーション構築、人材採用、システム構築など、想像を超える量の業務を担当しました。
たまたまですが、新規事業だった事もあり、現場レベルの担当者がそのビジネスに最も詳しくなるという点、ビジネス設計が急務だった事もあり、かなりの裁量を与えてもらい、仕事をさせてもらいました。
ビジネススキームをどういった仕組みにするのが最適かを自ら考え、上司を論理的に説得し、承諾を得た上で実行プロセスまで担う。新たに事業を立ち上げるための一通りのフローを担当する事が出来た事が、自分の中でとても大きな自信になり、起業するにあたっての後押しになりました。

入社3-4年目の若手である自分を信頼して仕事を任せてもらい、頼りにしてくれた当時の上司の方々には、本当に感謝しかありません。

偶然ですが、倉庫の運営の大変さは、身に染みて痛感しましたし、抑えるべきポイントも把握出来たつもりです。今回の起業に際しても倉庫運営を行うことになりますが、どの様な倉庫を構えて、オペレーションを行うかのイメージを沸かす事ができました。

倉庫のオペレーションが一段落すると、販路の拡大を行っていくのですが、想定を超えるスピードで事業が急拡大してきた事で、システム面での課題が浮き彫りになってきます。
あくまで立ち上げ当時に、急ピッチで導入したバラバラのシステムを使って運営していた為、入庫から販売まで一気通貫のシステム開発を自社で行うという方針の基、新システムの要件定義をSIerと実施していきます。

これは、総合商社特有なのかは分かっていませんが、大体2年周期で部署異動があったり、事業会社への出向・駐在など担当変更する事が多く、こんなに高頻度でメンバーが変わっていく中で、新規のビジネスが立ち上がり、拡大していくあたり、伊藤忠の社員の方々の優秀さと実行力は凄まじいものがありました。

そうこうして、気づけば僕が異動してきてから1年半が経っていて、このビジネスの最古株となっており、既存のオペレーションがどういう背景で、どういう仕組みになっているか、それをどの様な形にするのが理想系なのか、を考えて新システムを導入するプロジェクトのプロジェクトリーダーとなります。

当時、システムの作り方なんて全く分かっていない中で、まずは外部のSIerの方と、既存のビジネスフローの洗い出し、新システムの要件定義について毎日5時間以上のミーティングが行われる、とてもタフな作業となりましたが、システムというのは、こういうプロセスで作られていくのかという事を知る事ができたとても大きな経験でした。

起業してからのサービス開発にあたっても、要件定義からスムーズにイメージしながら作業を行える事が出来ているのは、この頃の経験があった事が大きいです。

ロンドンへ赴任

入社して5年目となる2019年4月から、ロンドンへの赴任を命じられます。
当時、ロンドンには部署の若手の駐在員がいない中で、新規での派遣だったという事もあり、何か新たな事業を作る事、そして欧州のスタートアップ企業へのベンチャー投資実行を大命題として試行錯誤しながら過ごす2年間が始まります。(この時には、まさか任期の半分がロックダウンするなんて思ってもいませんでした笑)

ロンドンでは、沢山の先輩・同僚の方に助けていただきました。中でも当時の上司だった野澤さんには本当に支えてもらい、社会人として何ステップも成長する事が出来ました。この場を借りて、御礼申し上げます。

意外に知られていないのですが、伊藤忠はスタートアップへの投資への歴史は長く、積極的に実行しています。
30年以上前からシリコンバレーに拠点を設けており、特に僕が在籍していた、情報・通信部門という組織では長年、独自にスタートアップ企業への投資を行っていました。
伊藤忠テクノロジーベンチャーズというVCは、同部門のグループ会社でもありますし、加えて海外の有数なVCへのLP出資も行っており、LP出資先のVCのポートフォリオ企業などを日々スクリーニングしながら、協業検討・直接投資を検討しています。

初めての投資案件

ロンドンに赴任後の僕は、様々なスタートアップ企業やVCとの面談を行い、投資検討価値のある企業を発掘して、実際に投資を実行することになります。
要領はVCの行うそれと似ているのですが、大きく異なるのは、単純なキャピタルゲイン目的ではなく、既存のビジネスとの協業シナジーが見込める企業、且つ資金調達を検討していて、アーリーステージ過ぎない(プレシードなどではない)企業を探して投資検討を行います。

沢山の企業と話をしていく上で、偶然ですが、全ての条件に合致する企業を見つけ出し、先方のCEOとも投資検討について前向きに合意した事をきっかけに、初めての投資案件がスタートします。
(この時は、あそこまで胃が痛くなるほど大変な案件になるとは思っていませんでした。。)

投資検討開始〜投資実行

いざ投資検討を本格的に開始する事になるのですが、最終的な決裁権は東京の本社にある為、まずは本社の担当部署に納得してもらう為の資料作成から始まります。

なぜ今この企業に出資すべきなのか、現業とのシナジーはどれくらいあるのか、競合優位性はどこなのか、将来性はあるのか等、様々な観点から説得していきます。

足りない情報や本社に求められる情報があれば、先方のCEOにヒアリングをして資料を修正して、また本社を説得する。という作業が繰り返し行われるのです。
その過程で、スケジュール調整や先方の資金繰りの状況などもタイムリーに把握しながら、各所の調整を行うのが僕の仕事でした。
この頃の2-3ヶ月はほぼ毎日先方のCEOと打ち合わせを行い、ビジネスモデルや協業シナジーについて、詰めていました。
(結果的にこの期間で英語が飛躍的に喋れるようになりました笑)

本社営業組織の了承を得た後も、法務部や経理部との調整も行う必要があり、最終的には、後1週間以内に投資実行が完了しないと、先方のキャッシュが尽きるという状況で無事に支払いを完了できた際には、心から安堵しました。。。

この案件では、スタートアップ企業がどのように成長を考えて日々業務に邁進しているのか、また資金調達をどの様に行っているのかを目の前で知ることが出来ましたし、投資実行する側として、社内でどの様な決裁プロセスが行われているかを知ることが出来たことは、僕が今回スタートアップ起業へチャレンジする大きな後押しとなっています。

突然のロックダウン

ロンドンに来てから約1年が経った2020年3月、新型コロナウイルスの流行により、突然のロックダウンに見舞われます。
当時は、得体の知れない恐怖の中、街からは人がいなくなり、ニュースでは毎日数万人単位で感染者が増えていくのを見ていて、とても恐怖に感じていました。

ロックダウンは、家に一人でいる時間が長くなる事もあり、必然的に自分の将来について考え直すきっかけとなりました。
伊藤忠での社会人生活は、入社してから毎日が刺激的で、沢山の裁量を持って仕事をさせてもらい、日々業務に追われていた事もあって、正直退職という選択肢を考える暇すらなかった様な気がします。
皮肉にもロックダウンという、辛い体験がきっかけではありますが、改めて自分の将来を見つめ直すこととなります。

後編:退職を決意、スタートアップの起業を志す

実は、起業という選択肢を選ぶきっかけとなったのは、KAUCHE(カウシェ)のCEO門奈氏の影響が大きいです。
門奈とは高校時代からの同級生で、大学でも4年間同じサークルで共に生活していました。

門奈は大学在学中からReluxに入って、現在は急成長中のシェア買いアプリ「KAUCHE」を運営しています。(詳細は下記参照)


当時からスタートアップの世界で生きてきた彼と、久しぶりにロンドンで再会したのはロックダウンする少し前の年末でした。

当時の門奈はKAUCHE(カウシェ)の創業前の段階で、ビジネスモデルについてもまだはっきりと決めきっていない状態でした。そんな彼と壁打ちをしていくにつれて、自分の経験も踏まえると、もしかしたら僕もスタートアップを起業する事が出来るんじゃないかと意識していく事になります。
門奈は、「やろうと思う気持ちがあるなら絶対に起業すべき。やらない理由を探すのはやらない人間がやる事だから、やるべき理由を探すべき」と後押ししてくれました。
ちなみに、ここから1年もしない内に、KAUCHE(カウシェ)は創業され、サービスローンチし、大バズりします。
この頃にようやく、自分の中で、退職してスタートアップを起業する事を決心した気がします。
門奈は今でも1番のメンターとして相談に乗ってもらってます。
いつもありがとう。またサウナ行こう。

僕がやるべき理由

ラグジュアリーファッションシェアリングのサービスをなぜ僕がやる必要があるのか?それは、一言で言えば「運命」だからです。僕にしか出来ない、正確には「僕にしか、最後まで信念を持ってやり切れない」と確信しているからです。

「Connecting the dots」

スティーブ・ジョブズが2005年の米国スタンフォード大学卒業式の祝賀式で卒業生に向けて行ったスピーチで有名なフレーズに、
’Connecting the dots’というものがあります。(以下引用参照)

Text of Steve Jobs' Commencement address (2005) |STANFORD UNIVERSITY

「ハングリーであれ。愚か者であれ」 ジョブズ氏スピーチ全訳|日本経済新聞you can’t connect the dots looking forward;you can only connect them looking backwards.So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.You have to trust in something — your gut, destiny, life, karma, whatever.This approach has never let me down, and it has made all the difference in my life.(繰り返しですが、将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。運命、カルマ…、何にせよ我々は何かを信じないとやっていけないのです。私はこのやり方で後悔したことはありません。むしろ、今になって大きな差をもたらしてくれたと思います。)

ジョブス氏は、このスピーチを通じて、将来の事を見越し、逆算して行動するのではなく、自分が目の前で行っている事(dots=点)を信じて精一杯取り組む事が、いつか将来の成功(線)に繋がると述べています。

僕は生まれてから今日まで、将来ラグジュアリーファッション業界での起業やスタートアップを起業しようと思って何か行動した事は一つもありません。たまたま今回、ロックダウンというタイミングで人生を振り返ってみた時に、自分がやるべき事はこれだ。と、僕が打ってきたdots=点が、線になっていた事に気が付けたから、この領域にチャレンジしようと思えたのです。

言い換えれば、この領域で起業する事で必要なオペレーション、市場の可能性について明確にイメージができ、且つタイミングとしても今しかない!と思えたからです。

そこに勝ち筋があると確信したのです。

以下で、僕の人生におけるdots=点を交えながら、この領域にチャレンジする理由をまとめていきます。

①:なぜスタートアップなのか?

一言で言えば、スタートアップのエコシステムを知る事が出来たからです。
今回、僕がチャレンジする様なビジネスモデルは所謂Jカーブを掘る形になります。簡単に言うと、投資が先行して、創業から一定の期間は赤字の状況でユーザーを獲得していき、一定を超えたタイミングで大きな利益を生む事を目指すようなビジネスモデルです。
その際に必要な資金調達プロセスとして、VCや投資家の方々から株式の一部と引き換えに資金を供給してもらうビジネスモデルです。
この様な、スタートアップの世界では常識の様な話ですら、大企業で勤めている人や、一般の人々は中々知らないと言うのが現状です。

スタートアップ業界は、近年すごい勢いで拡大しつつありますが、まだまだ世の中では詳しく知らない人が多い業界です。

この業界について、僕自身、伊藤忠に入社するまでは一切知りませんでしたし、何となくのイメージしかついていませんでした。

しかし、前述の通り、伊藤忠でベンチャー業界について深く知る事が出来ただけでなく、実際に投資先のEXITを目の当たりにしたり、自らが案件の発掘から投資実行までの全プロセスを担った経験があるからこそ、スタートアップ企業の中を深く知れましたし、投資家としての内部プロセスについても学ぶ事が出来ました。

加えて、2年間の経理部での経験も含めて、決算管理を含む、経営管理についても自分だから出来ると思っています。

つまり、実際に自分で触れてみた経験があるからこそ、自分でもやれる!と思えたのです。

②:なぜラグジュアリーファッション領域なのか?

それは、ラグジュアリーファッション業界がまだまだプロダクトアウトな市場であり、マーケットのニーズを拾いきれていないと思うからです。

ラグジュアリーファッションブランドは、毎年新作を作り続けて、売り続ける必要があります。その為に毎年、ファッション業界がその年のトレンドを決めて、新作を流行らせるように努力します。
つまり、ユーザーが何を求めているか、ではなく業界が流行らせたいものを作ってそれを売るという、マーケットインとは逆行した、プロダクトアウトな業界構造になっているのです。

結果として、世界の中古のブランド市場は大きく伸びています。コンサルタント企業ベインの調査によると、中古品の市場規模は2017年から2021年のわずか4年の間で約65%成長。2021年には330億ユーロ(約4兆3000億ドル)になるとみられていて、これに対し、同期間における高級ブランド品の成長率は12%にとどまっており、ラグジュアリーブランドも海外においては、続々と中古市場への参入を進めてきています。

つまり、人々は毎年販売される新作ではなく、より安価な価格で中古のアイテムをチョイスしているといえます。

僕自身、ロンドンに2年間住んでいて、中古ブランドのリセーラーを専業とするスタートアップ企業が急成長し、様々なブランドからの資金調達や、事業提携を行っているのを、肌で実感しました。

特に日本は、ブランド志向が強い国です。伊藤忠でスマホの流通事業も行っていましたが、iPhoneのシェアが50%を超えているのは世界を見ても、日本だけです。1台10万円を超えていても、半分以上の人がiPhoneを持ちたいと思っているのが、日本という市場なのです。

この領域は日本ではまだまだ伸びていきます。

③:なぜシェアリングサービス(レンタル)なのか?

リセールよりもレンタルの方がマーケットのニーズに合致していると考えているからです。
上述の通り、ラグジュアリーブランド市場においては、リセール市場の伸びが顕著です。その理由は新作ではなくても、中古のアイテムを安く手に入れられるなら、そのほうが経済的に合理的だと考えているからです。

一方で、ブランドの洋服やカバンを持つ目的は、それを着てどこかに出かける。という点にあるはずです。
つまり、その商品を着てどこかに出かけたいユーザーにとっては、中古で購入するよりも、レンタルの方が経済的にメリットがあれば、そちらを求めているはずだと思います。

「供給量さえ確保出来ればレンタルをするニーズは必ずある」
中古リセール市場に流通するアイテムは、誰かにとってもう不要となったものです。当然ですが、まだ使うかもしれないアイテムは中古リセール市場には流通してきません。
日本の女性のクローゼットには平均150-200着のアイテムが存在していて、その内、75%が月に一回も着用されていない状況です。
それでもまだ使うかもしれないから、売却や処分はしていないのです。

これらの商品を手放す事なく、貸し出す事でマネタイズできる様になれば、人々は貸し出してくれると確信しています。

今回のβ版リリースに先立って、SNSを通じて、友人から商品を預けてもらい、レンタルを希望するお客様への貸し出しを何回か行ってみました。
最初は抵抗を感じながら、渋々貸し出してくれた友人も実際にレンタルされてレンタル料が支払われると、次々と追加で商品を貸し出してくれたのです。

手持ちのアイテムを手放さずにマネタイズできる」これは貸し出す人にとって、明確に大きなメリットになっていましたし、加えて、自宅の保管場所スペースが空けられる。というのも貸し出しのモチベーションになる事を知りました。

当然、安心して預けて貰えるような仕組み作りは大前提です。
詳細はここでは割愛しますが、セキュアなプラットフォーム構築・オペレーション倉庫の設営・滅菌クリーニングや保険付与等、取り組むべき要素は、ユーザーヒアリングも実施しながら、創業メンバーで明確に策定しています。

④:なぜ今なのか?

ここ数年で消費者のマインドは大きく変化しています。
特に・シェアリングエコノミーの普及・投資マインドの加速化・サステナビリティな取り組みへの意識が普及という3点を踏まえて、タイミングとして今やるべきだと確信しました。

シェアリングエコノミーについては、ここ数年で、AirbnbやUberから始まり、メルカリの普及などによって、ある程度、市場に文化として根付いてきています。

投資マインドについては、老後2,000万円問題などが世間を賑わすにつれて、預金から投資へという流れが加速している様に思えます。
我々のビジネスは、既存のタンスに眠っている商品を、手放さずに投資ができるというサービスであり、初期投資が不要で収益をあげることが出来ます。
勿論、特定の人気商品については、高頻度で借りられれば借りられる程、収益は上がっていくので、長期的にみると転売するよりも大きな収益を生む可能性があり、安定した投資が出来る可能性も高いです。

サステナビリティへの意識については、メディア等では騒がれてきていますが、欧州と比べると国民の意識としては、まだまだ低いと思っています。
僕がロンドンにいた頃は、スーパーにエコバッグを忘れて行くと、店員さんに「サステナブルじゃないわね。」と笑いながら注意される事も多く、ここまで文化として根付いている事に驚きを感じましたし、その流れは間違いなく日本にもあと5年もしない内に来ると思っています。

企業としてもサステナブルを意識しないとマーケットに受け入れられなくなってきているのが欧州市場です。
現に我々が開発している様なサービスも、ロンドンではいくつか出てきており、シードで数億単位の調達を行い始めています。
いくつかのサービサーは、現地の有名なデパートや、ラグジュアリーブランドと提携も始めてきており、欧州や米国のスタートアップのビジネスモデルが数年遅れで、輸入されるケースが日本では多い事も踏まえ、このタイミングで我々が参入すべきと判断した一つの要素でもあります。

まとめ

ここまで読んでくれた方、本当にありがとうございました。笑
今回の起業にあたっての想いを、過去を振り返りながら、書いて行くうちに、筆が止まらずに気がつけば、こんなに長い文章になってしまいました汗

ただ、改めて僕たちはこの領域に確信を持って、最大熱量でサービスの開発をやり切ることが出来るなと再確認しました。
2022年、HIVE Collectiveを宜しくお願い致します。スタートアップ界隈を賑わせる様に精一杯全力疾走で走り切ります!!!!

最後に

クローズドβ版に参加してくれる方(女性限定・100名上限)募集中です!
・ファッションが好きな方
・自分の商品を貸し出してみたい方
・掲載されている商品を借りてみたい方
・僕らの想いに少しでも共感してくれた方
・奥さん・彼女の洋服や鞄が多すぎてどうにかならんかなという殿方。笑

エンジニアの方、絶賛採用募集中です!
・Webフロント/バックエンドエンジニア大募集!!
・Typescript、React(Next.js)、Node.js、Graphql、抑えてる方大歓迎!
・サービスに共感してくれる方
・アーリーなスタートアップで開発したいという方
・とりあえず話聞きたいだけでも大歓迎

投資家の皆様、VCの方々、起業家の皆様
5月に創業してから、プロダクトに全集中しており、調達については動いていませんでしたが、このタイミングで資金調達に動いていくつもりです!
是非、お話しさせてください!
投資家やVCの方に知り合いがいる方も是非紹介して頂きたいです!!

こんなに長い文章を、ここまで読んでくれた方は全員とお話ししたいです!!
メールでもTwitterのDMでもお気軽にご連絡ください!
僕からもバシバシご連絡させて頂きます!!!笑

・Twitter
https://twitter.com/1102naoki

・メールアドレス
naoki.sato@hive-japan.com

・HIVE Collectiveサービスサイト
https://hivecollective.jp/

・HIVE Collectiveコーポレートサイト
https://about.hivecollective.jp/

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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