その人が大切にしている言葉を知ることで、その人の考え方や生き方に、もっと触れられるかもしれない。「あ、もっと知りたい」そう思う、きっかけになるかもしれない。
そんな想いで始めた、名優で働く人が大切にしている言葉についてインタビューする「a motto(ア モット)」。
第1回は、営業サポート課で働く野口の a motto です。
― 大切にしている言葉を教えてください。
今日のインタビューに向けて、いろいろ書き出してみたんですけど。
なんだろう…わからないです(笑)。
大学生の時はこれ、高校生の時はこれ、中学生の時は…難しい。
その時に言われた言葉で、好きなのはこれ、これ、といった感じです。
・転んだら自分を信じ、打ちのめされたらすぐに立ち上がりなさい。人生は短い。もしあのときー と立ち止まらないで
・青春時代の失敗は、失敗を恐れて挑戦しないこと
・Think globally, act locally
・優しくなりたいから、強くなろう
・愛の反対は憎しみではなく無関心
・人のために灯りをともせば、自分の前が明るくなる
自分がこうなりたいから好き、ということであれば「優しくなりたいから、強くなろう」です。
ー その言葉との出会いは?
高校生の時にみた、資生堂のCMのキャッチコピーなんです。
宮沢りえさんの。
― あ、これキャッチコピーなんですね。
そう、資生堂のアクアレーベルのCMのキャッチコピー。
ちょっと語りかける感じのCMで。最後に、宮沢りえさんが「優しくなりたいから、強くなろう」って言うんです。
今も、YouTube探せばあると思います。ちょっと今、観てみてください(笑)。
ー(視聴後)私も観たことがある気がします。
すごく透明感があって、素敵だなって。
私、学生の頃からあまりお化粧はしないんですけど。大学生になって就職活動の時は、迷わず資生堂を買いましたね(笑)。
それくらい、すごく好きで。
たぶん、これを見た時は、進路に悩んでいた時期だったんです。
行きたいと思っていた第一志望の大学は難しくて、どうしようかなと考えていた時期。
このCMを見てどうなったというエピソードはないんですけど、10数年以上たった今でも、覚えていますね。
― 何かに惹かれたんでしょうね。
憧れかもしれないですね。
透明感。
素直さ。
そういうのに憧れたのかも。
当時の私は、荒んでいたんだと思います。
― 荒んでいた?
ちょっと、今では想像できない人もいるかもしれないですけど。
小さい頃は「野口さんってどういう人?」と言えば、「優しい」だったんですよ(笑)。
小学校の通信簿から「優しい」と書かれていたタイプで。
幼稚園の時は、背が高い方だったんですけど。
少し成長が遅れていた子と手を繋いで歩いていたりとか。面倒を見ていたというとあれですけど。
私の両親のお迎えが遅い方だったので、みんなが帰った後、先生と二人で教室を掃除したりしていました。
でも成長するにつれて、「本当に優しいわけじゃないのに」と思う事がでてきて。
小さい頃は何も考えずに優しかったのかもしれないですけど。中学生や高校生になると、優しい自分でいなきゃとか、人に嫌われないためにこうしておこう、とか。
優しさと、偽善と、保身がぐちゃぐちゃになった時期があったんですよ。そういうのが、自分の中に出てきていたのかもしれません。
今でも「自分は誠実じゃないな」と思う時があるから、この言葉をずっと覚えているのかも。
本当に優しい人になりたい。
― 本当に優しい人でいるために、強くならないといけない
そうですね。
自分に余裕がないと、中々人に優しくなれないこともあると思うんです。
「あ~今の自分嫌だな~」と思うこと、あるんですよ。
会社で働いている時。
本当はいつでも、一人ひとりと面と向かって、お話ししたいんです。
でも、お客様の電話に出ながら書類を渡してしまうことがあったり。きちんと体を向けて「ありがとう」と言えないことがあったり。
仕事だし、テキパキとやらないといけないというのは、わかってはいるんです。ある程度は仕方のないことだと思うし、そうやってできることも増えているから、必要だったと思うんです。
でも本当は、すごくハートフルに生きていたい。
一人ひとり見ていたいし、一人ひとりと誠実に向き合いたい。
それができない時に、まだまだ自分の器量が小さいな…と自己嫌悪になります。
― みんなそんな風に思っていないと思いますけどね(笑)。確かに、業務中と業務外のNさんは結構雰囲気違うかも。
皆さん優しいので、そうかもしれないですね(笑)。
いつも人に優しく在りたい、社会に貢献したい自分と、余裕がなくてできないことがある自分。
入社したての頃は、それこそついていくのに必死で、自分の業務をこなすので精一杯。こんなこと考える余裕もなかったと思うんです。
でも、少しずつ会社での立場も変わってきて。
新しい壁にぶつかり始めたからこそ、思い出した言葉なのかもしれません。
(聞き手:優一)