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【Vol.4】コーポレートカラーはカリフォルニアブルー

当社のような地方の中小企業は正しいブランディングが出来ていないことが多い。
経営者の個人的な嗜好やデザイン会社・広告代理店から提案されたものを疑いもなく取り入れてしまい、チグハグ・バラバラになってしまった結果、会社のイメージが認識されにくくなってしまう。以前の当社もまさしくそんな感じの典型的な田舎の零細企業だった。

そんな中、10年前に一つのキッカケでデザインに対する考え方が180度変わった。
それは工業デザイナー水戸岡鋭治先生との出会い。九州新幹線全線開業の2011年、当社が運航する定期航路「天草宝島ライン」が接続運行しているJR三角線にJR九州の新しい観光列車の投入準備が進められていた。その列車とは特急「A列車で行こう」。天草の南蛮文化をイメージし、大人(アダルト)をターゲットにしたデザインは高級感溢れる雰囲気。それと比較して当社の使用船舶は旅客船としてはそんなに悪いという訳ではなかったが、A列車で行こうのデザインと比較すると大きく見劣りするのは誰の目から見ても明らか。運行開始に向け協議を進めている中でJR九州から「船を改装してデザインを合わせないか?」と提案があり、勢いで「お願いします!」と即答したことで水戸岡鋭治先生にお会いすることに。



水戸岡先生にはデザインについて様々なことをご教示頂いた。特に印象的だったのは下記の内容。

・モダンなデザインはその時は良いが、時間が経つと古さを感じる
・スタンダードなデザインはいつの時代でもスタンダード
・デザインを維持するためにメンテナンスが重要。手間隙を惜しむな
・古いものを大切にしなさい

何より、お会いするまでのイメージと違ったのが水戸岡先生はデザイナーというより経営者の色が強かったこと。1時間打ち合わせをするならデザインの話は15分程度で、残り45分は経営談義。企業経営にデザインをどうやって活かしていくのか、企業のイメージ・ブランディングの重要性を教わった。

その体験をキッカケにデザインの持つ可能性を学び、古いものにデザインで新しい命を吹き込むリノベーションに興味を持つことに。その結果が本社社屋リノベーション、滞在型宿泊施設「シークルーズハウスナビオ」の開業につながっていった。


当社のコーポレートカラーとは

冒頭書いたように、以前の当社はブランディングが全く出来ていなかったが、水戸岡鋭治先生との出会いによりデザインを意識するようになり、船舶やCIは水戸岡デザインで統一されていった。
九州新幹線全線開業・特急「A列車で行こう」の開業効果で乗客が増え、その効果で前島エリアの再開発が進んで行ったことは別のストーリーで書いた通り。

航路を核としたまちづくり。地場資本でのエリアマネジメント。 | 株式会社シークルーズ
シークルーズの拠点がある上天草前島エリアはここ10年で急速に発展してきた注目のリゾートエリア。「 ホテル竜宮」や「 ホテルろまん館」などOTAで九州の人気ランキング常連の宿泊施設やオシャレなカフェやレストランが人気の「 リゾラテラス天草」、当社と九州産交グループが共同運営する上天草市観光拠点施設「 ミオカミーノ天草」、老舗観光施設「 天草パールセンター 」など地方では珍しい観光集積エリアだ。
https://www.wantedly.com/companies/company_5769084/post_articles/310691


開発が進んでいく中で当社の事務所も古さを感じるようになってきたためにリニューアルをすることに。船舶やCIは黒と金を貴重としたデザインだったが流石に社屋には向かないと思い、改めてポートフォリオを見つめ直し、当社のコーポレートカラーってなんだろう?と考え始めた。当社の事業はボート免許事業から始まり、マリーナ運営・クルージング事業・定期航路事業と全て海に関するサービスばかり。となるとブルーに行き着くのは必然のこと。しかし、普通の青は嫌だなと思っていた時に設計を担当したデザイナーから「この色はどうですか? カリフォルニアブルーと言います」と提案が。

カリフォルニアを中心としたアメリカ西海岸ってシリコンバレー・スタートアップ・サーファー・サードウェーブのコーヒーショップが流行っているようなオシャレなところみたいなミーハーな知識しかなかったけど、地域に新しい付加価値を作り出したい・まちづくりを進めていきたいと革新的な取り組みを目指していた当社の方針にピッタリのカラーだと直感的に感じて採用した。デザイナーが私の性格や目指している方向性を感じ取って提案してくれたのだと思う。リニューアルの前後は下記の通り。


リノベーション工事が完了したときの印象は「うちの会社のコーポーレートカラーはこれだ!」と確信。新しくなったのに今まで以上にしっくりくる。それがカリフォルニアブルーだった。その後、宿泊事業に進出することになった際に真っ先に決まったことが二つ。

・新築ではなく古い建物をリノベーションで建設
・外観の色はカリフォルニアブルー

この基本方針のもとにシークルーズハウスナビオが完成。ナビオの意味はポルトガル語で”船”を意味し、港の側に建つナビオを起点に様々な航海(旅行)が始まることを願って名付けた。田舎の港町にも違和感なく調和している外観は落ち着いたトーンのカリフォルニアブルーだからこそ。



本社社屋、ナビオの2施設に”カリフォルニアブルー”がシークルーズのコーポレートカラーとして認知され始めた効果は大きく、片方の施設を訪れたことがある方はすぐにもう一方を当社の施設として認識していただけるようになった。また、この2施設のデザインにひかれて入社希望をしてくれる若者も増加する結果に。そんな中、当社で1箇所だけ別のカラーのまま残っていた施設がある。それはシークルーズマリーナ。観光色が強い本社及びナビオと違い、ボート免許やクルーザーの保管・販売をする部門。しかし、以前からカラーを統一した方が良いと思っていた中で今月、マリーナもカリフォルニアブルーに改装。


まだサイン関係の工事が終わっていないので少し殺風景だが、これでマリーナも同じカラーにすることができた。今回はクラブハウスだけでなく整備工場もカリフォルニアブルーに。マリーナでボートを保管頂いているオーナー様からも「シークルーズらしい色だね。」「本社やホテルと同じ色にしたんだ。」など既にオーナー様にも当社のカラーだと認識して頂いていることがわかった。

偶然のキッカケで当社のコーポレートカラーは”カリフォルニアブルー”になったが、やはりデザイン、カラーって本当に重要だと実感している。たかがカラー。されどカラー。田舎の小さな会社だからこそ、ブランディングは大切にしたいと思う。

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