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【Vol.1】JR九州との連携で日本初の鉄道と船が連動した路線を構築

2008年末。2年後の2011年3月に全線開業を控えた九州新幹線に期待が高まる一方の熊本県の中で蚊帳の外に置かれていた天草。何故なら天草五橋で九州本土と繋がっているとはいえ離島だから勿論線路はない。天草の住民は九州新幹線には全くと言って良いほど関心がない状況だった。

そこで何とか九州新幹線から観光客を呼び込む方法がないかと考えた中で思いついたのがJR三角線の終着駅である三角駅の目の前にある三角港から接続する航路。三角地区は全国的にも稀な駅と港が近接しているエリアで改札から港までの距離はわずか250メートル! 東海道新幹線16両編成の長さ400mよりも短い距離で鉄道から船に乗り換えが可能なところに着目したという訳です。

また、当時天草市本渡港と熊本市熊本港を結ぶ高速船が経営難で2009年3月末をもって休止になることが決定していたこともあり、天草と熊本方面は橋1本でのみ繋がる、交通インフラがとても貧弱な地域となることが決まっていたこともあり、周囲から無謀だと止められたが、わずか3ヶ月の準備期間ののち2009年4月1日より本渡〜松島〜三角航路「天草宝島ライン」を就航。当初の2年間は正直周囲から忠告された通り、大赤字が続き会社が債務超過の一歩寸前まで追い込まれ苦境に。

しかし、接続運行するJR九州から利用促進の多大な側面支援を頂いたこともあり何とか踏みとどまり、九州新幹線の全線開業後は右肩上がりで乗客が増え、同年10月にJR三角線に観光列車の特急「A列車で行こう」の運行が始まると爆発的に利用者が増加した。特にJR西日本とのタイアップ効果もあり、西日本(関西・中国)地区からの観光客が急増し前年比5倍以上を記録。

この路線は工業デザイナー水戸岡鋭治氏の監修の元、列車・駅舎・船のデザインを統一するという世界的にもても珍しいコンセプトだったこともあり、国内外から大反響を呼び新幹線開業後1周年の記念番組では九州新幹線全線開業の最高の成功事例との評価を頂いた。現在はコロナ禍で利用者は一時的に減少しているものの、これからも熊本と天草を結ぶ観光路線として重要な役割を担い続けるだろう。


天草宝島ライン就航前の三角駅

特急「A列車で行こう」運行開始に合わせてリニューアル

特急「A列車で行こう」 運行区間:JR熊本駅〜三角駅

定期航路「天草宝島ライン」 運航区間:三角港〜松島(前島)港 

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