ホワイトカラーでも、ブルーカラーでもない。
グレーカラーなリスタイルのバイヤーという仕事
「バイヤー」と聞くと、どんな仕事を想像するでしょうか。
展示会に行って商品を選ぶ。市場の動向を読んで、何が売れるかを考える。パソコンの前で数字を見ながら、仕入れをする。
たぶん、そんなイメージを持つ人も多いと思います。
でも、リスタイルのバイヤーは少し違います。
パソコンも使います。相場も調べます。数字も見ます。お客様とも話します。
でも、その一方で、トラックにも乗るし、家具も運ぶ。
汚れた家具も触るし、現場で汗もかきます。
私は、この仕事はホワイトカラーとブルーカラーが合わさった仕事だと思っています。
最近では、こうしたホワイトカラーとブルーカラーの両方の性質を持つ仕事を「グレーカラー」と呼ぶこともあるそうです。
リスタイルのバイヤーは、まさにそんな仕事かもしれません。
査定は、かなり頭を使う仕事
リスタイルでは、買取のお問い合わせの多くがLINEやメールから入ってきます。
写真を見て、メーカーはどこか、デザイナーは誰か、年代はいつ頃か、現在の中古相場はいくらか、状態はどうか、どれくらいの期間で売れそうか、いくらで販売できそうか。
そこから「いくらなら買えるか」を判断します。
ただ相場を見るだけではありません。
人気が上がっているのか、下がっているのか。
店頭向きなのか、EC向きなのか。
今の在庫とのバランスはどうか。
この商品を仕入れることで、お店全体にどんな効果があるか。場合によっては、粗利だけでは判断しません。
中古家具は新品と違って、一点物です。
同じ商品が、同じ状態で、同じ価格でまた仕入れられるとは限らない。
だから一件一件、判断が必要になります。
ここは完全にホワイトカラー的な仕事だと思います。
でも、買取が決まれば現場に行く
査定をして「では買い取らせてください」となったら、それで終わりではありません。
今度は現場です。お客様のご自宅へ伺い、家具の状態を確認し、搬出する。
大きなソファもあります。重い無垢材のテーブルもあります。
階段しかない家もあります。
暑い日もあれば、寒い日もある。ホコリまみれになることもあります。
「思っていたより大きいな」なんてことも普通にあります。
つまり、パソコンの前で考えて仕入れた家具を、今度は自分たちの手で運ぶわけです。
ここだけ見れば、かなりブルーカラーの仕事です。
でも僕は、この両方をやることに意味があると思っています。
現場に行かないと分からないことがある
写真だけでは分からないことがあります。
家具の質感、重量、構造、補修跡、臭い、使われ方。
お客様がどういう家具を大事にしてきたのかも、現場に行くと見えてきます。
「あ、この家具は写真で見るよりずっといいな」と思うこともあるし、逆に「これは思った以上に傷んでいるな」ということもあります。それを何百回、何千回と経験することで、査定の精度も上がっていきます。
だから、査定する人と運ぶ人と販売する人を、完全に分ければいいとは思っていません。
少なくとも、家具のことを本当に分かる人になるまでは、現場に触れることが必要だと思っています。
買取して終わりではない
持ち帰った家具も、そのまま売れるわけではありません。
汚れていれば掃除をする。木部の状態を見る。必要なら簡単なリペアをする。
どうすれば、より良い状態で次の人に渡せるかを考える。
そして、その方法を自分だけができる技術で終わらせず、「こうやったらきれいになる」「この補修なら店舗でもできる」という形にして、他のスタッフにも伝えていく。
これも、リスタイルのバイヤーにやってほしい仕事です。
仕入れだけではなく、「商品そのものの価値を上げるところまで関わる。」
私はそこまで含めてバイヤーだと思っています。
「目利き」は知識だけでは身につかない
家具の知識を覚えることは大切です。
デザイナー名、メーカー名、年代、素材、市場価格。
もちろん勉強は必要です。
でも、それだけでは目利きにはなれません。
実際に持ってみる。裏を見る。引き出しを開ける。金物を見る。座ってみる。掃除してみる。直してみる。売ってみる。
そして、お客様の反応を見る。
この繰り返しでしか身につかないことがたくさんあります。
だからリスタイルのバイヤーは、頭だけ良くても難しい。
体力だけあっても難しい。
接客だけできても難しい。
いろんな能力が必要になります。
その分、身につくことも多い仕事です。
AIに食われにくい仕事
これから、ホワイトカラーの仕事の一部は、かなりAIに置き換わっていくと思います。
相場を調べる。過去の販売データを分析する。商品説明を書く。写真からメーカー候補を出す。販売価格の目安を出す。
こういう仕事は、今後ますますAIが得意になっていくでしょう。
リスタイルでも、使えるところはどんどん使っていくべきだと思っています。
でも、それでバイヤーがいらなくなるかというと、僕はそうは思いません。
なぜなら、最後は現物だからです。
写真では分からない違和感。持ったときの重量感。木の質感。補修できるのか、できないのか。搬出できるのか。
この家具なら、どのお客様が喜びそうか。
売主さんとの会話から感じること。
そして、「この家具は、今買うべきか」という最終判断。
ここには、知識だけではなく、経験、感覚、身体性、コミュニケーション、責任を持った判断が全部必要になります。
AIは、ものすごく優秀な補助者にはなると思います。
でも、査定して、現場へ行って、家具を運んで、状態を見て、直して、お客様に価値を伝えて、最後の判断まで全部やる。
そこまで一気に置き換えるのは、簡単ではありません。
だから私は、リスタイルのバイヤーは、
AIに仕事を奪われる側ではなく、AIを使ってもっと強くなる側の仕事
だと思っています。
AI時代に価値が上がるのは「境目にいる人」
これからは、デスクワークだけできる人、現場作業だけできる人、そのどちらか一方よりも、両方をつなげられる人の価値が上がる気がしています。
情報を見て判断できる。
でも、現場にも行ける。数字も分かる。
でも、家具も持てる。AIも使える。
でも、最後は自分の目と手で判断できる。
そういう人です。
まさに、ホワイトカラーでもなく、ブルーカラーでもない。
グレーカラー。
これからの時代には、こういう仕事がむしろ面白くなるんじゃないかと思っています。
仕入れと販売はつながっている
私は、中古家具屋にとって一番重要なのは仕入れだと思っています。
売る商品がなければ、商売はできません。
でも、仕入れだけ上手ければいいわけでもありません。
どう見せれば売れるか。誰に売れるか。いくらなら売れるか。
お客様が何を求めているか。
そこまで分からないと、本当にいい仕入れはできません。
だから、買取する。メンテナンスする。販売する。ECに載せる。お客様の反応を見る。また次の仕入れに活かす。
全部がつながっています。
中古家具のバイヤーは、単なる仕入れ担当ではありません。
商品が入ってきてから、次の持ち主に渡るまでを考える仕事だと思っています。
きれいな仕事だけではない
これは採用でも、ちゃんと伝えておきたいところです。
リスタイルの仕事は、ヴィンテージ家具やデザイナーズ家具に囲まれて、おしゃれな店で働く。
それだけではありません。
家具を運びます。汚れたものも掃除します。夏は暑いし、冬は寒い。
出張買取では体力も使います。地味な作業もかなりあります。
でも、その地味な仕事の先に、「これは何だろう?」「誰が作った家具だろう?」「どうすればもっと良くなるだろう?」「次は誰が使ってくれるだろう?」という面白さがあります。
そこがこの仕事の魅力だと思っています。
「価値を見つける」仕事
リスタイルでは、「価値を見つける。」ということを大切にしています。
誰かにとっては、「古くなった家具」「使わなくなった家具」かもしれない。
でも私たちが見ると、まだ使える。直せる。価値がある。欲しい人がいる。そういう家具がたくさんあります。
その価値を見つけて、買い取って、運んで、きれいにして、正しく伝えて、次の人につなぐ。
これがリスタイルのバイヤーの仕事です。
ホワイトカラーでもない。ブルーカラーでもない。その両方を行き来する、グレーカラーの仕事。
そしてAIを使いながらも、最後は人の目と手と経験が必要になる仕事。
私は、そこがこれからの時代、この仕事がもっと面白くなる理由だと思っています。