トップセールスになった後、直江は学生のうちから個人事業主として、営業代行と採用代行の両方に取り組んでいました。
当時、軸になっていたのは採用支援でした。
人を採用したい企業と、新しい働き方を探す人をつなぐ。そこにも大きな意義を感じていました。
一方で、営業支援の現場を見るほど、直江の中ではひとつの違和感が膨らんでいきました。
営業代行を利用しても、期待した成果が出ない。
アポイントは取れても、受注につながらない。
企業のサービスや顧客を理解しないまま、ただ電話をかけてしまう。
市場は伸びている。それなのに、品質に真剣に向き合う会社は、まだ少ないように見えました。
「きちんと成果に向き合って、やるべきことをちゃんとやれば、この業界で上位を目指せると思ったんです」
言葉だけを見ると、大胆な判断に聞こえます。
しかし、直江にとっては、自分が営業で結果を出したときと同じでした。
特別な裏技が必要なのではない。
相手を理解し、結果を分析し、改善を積み重ねる。
当たり前のことを、当たり前ではない密度で続ける。
それができれば、営業支援の価値そのものを変えられるかもしれない。
卒業から約1年。会社をつくる
大学卒業後も個人事業は成長を続け、事業規模の拡大に伴って法人化が必要になりました。
こうして2023年4月、株式会社NoLimitが設立されます。
創業時に掲げたミッションは、「可能性の無限化」。
社名のNoLimitも、ここから生まれました。
「自分たちだけが成長する会社にはしたくありませんでした。クライアントの可能性も、働く人の可能性も広げられる会社にしたかったんです」
子育てをしながら働く人。
海外に暮らしながら働く人。
営業未経験から挑戦する人。
場所や過去の経歴にかかわらず、自分らしい働き方と成長を目指す人。
一つの正解に全員を当てはめるのではなく、それぞれが持つ可能性を広げられる場所をつくりたい。
NoLimitという名前には、事業の目標だけでなく、直江がつくりたい組織の姿も込められていました。
営業も、経理も、契約書も
もちろん、創業と同時に理想の会社が完成したわけではありません。
創業当初、営業活動の多くは直江自身に依存していました。
プレイヤーとして電話をかけ、プロジェクトを進め、その一方で経理、契約書、請求書、領収書の整理まで行う。
朝から夜まで働き、必要があれば週末も仕事をしました。
「代表が、会社で一番働かなければいけないと思っていました」
これは、現在のメンバーに同じ働き方を求めているという話ではありません。
創業者として、自分が動かなければ何も始まらない時期に、直江が選んだ働き方でした。
ただ、すべてを一人で担う状態には限界があります。
会社を大きくするのであれば、個人の頑張りだけに頼るのではなく、誰かが成果を再現できる仕組みをつくらなければならない。
その必要性を、直江は現場の中で痛感していきました。
理想だった言葉が、現実になり始めた
会社をつくった当初、「可能性は無限だ」という言葉には、理想の部分もあったといいます。
大きな会社や何十億、何百億円という事業規模は、遠い世界の話に見えていました。
けれど、一つひとつの仕事に向き合い、一人、また一人と仲間が増え、クライアントから新しい相談をもらううちに、見える景色が変わっていきます。
NoLimitは、1期目の売上5,000万円から、3期目には3.3億円へ成長。業務委託を含むメンバーは110名となり、水道橋、代々木、福岡へ拠点を広げています。
「人が増えて、資金が増えて、チャンスが増える。できることを一つずつ積み上げていけば、10億円、その先も見えてくる。人にも、会社にも、可能性は本当に無限にあるんだと思えるようになりました」
最初は未来への願いだった社名が、少しずつ実感へ変わっていきました。
しかし、NoLimitの成長には不思議な点があります。
営業支援を行う会社でありながら、創業期のNoLimitは、自社のアウトバウンド営業をほとんど行っていなかったというのです。
それでも依頼は増え、1期目の終盤には月間売上が大きく伸びました。
なぜ、営業をしなくても仕事が集まったのか。
答えは、NoLimitが「アポイントの数」より大切にしてきたものにあります。
次回、第3話。
営業会社なのに、自社営業をほとんどしなかった。それでも依頼が増えた理由。