メタジェンセラピューティクス(MGTx)は、山形県鶴岡市に腸内細菌叢移植(FMT: Fecal Microbiota Transplantation)[1]の原材料を製造する採便・原材料サイトを構えています。今回は、同サイトで働く若手社員2名—品質管理を担当する小玉菜穂さんと、製造を担当する矢作理緒奈さんの対談をお届けします。
前職で同僚だった2人が「うんちを薬にする会社」に飛び込んだ経緯、鶴岡での暮らし、そして仕事のやりがいまで。若手社員の率直な感覚を語ります。
小玉 菜穂(こだまなほ) MGTx CMC部 品質管理担当。ジェネリック医薬品の品質管理を経て、2025年2月にMGTxへ。鶴岡サイト在住第一号メンバーとして施設の立ち上げから参画。山形県内陸部出身。
矢作 理緒奈(やはぎりおな) MGTx CMC部 製造担当。ジェネリック医薬品の品質管理を経て、2025年10月にMGTxへ。鶴岡高専卒業で鶴岡在住歴あり。山形県内陸部出身。
小玉:鶴岡サイトで品質管理をしています、小玉菜穂です。2025年2月に入社しました。実は私たち2人は入社前からの知り合いで、前職が一緒でした。
矢作:矢作理緒奈です。2025年10月に入社して、原材料の製造グループで働いています。小玉さんとは前職で一緒にジェネリック医薬品の品質管理をしていました。
小玉:薬関係という共通点はあるけど、微生物とか細菌系、培養系ではなかったので全然違う分野です。実は私が先に入社して、矢作さんを紹介して入ってもらったという関係になっています。
──最初「うんちを薬にする会社」と聞いたとき、どう思いましたか?
矢作:やっぱり驚き、ですよね。でもホームページとか面接のときに調べていくうちに、だんだん「面白いな」という印象に変わっていきました。
小玉:私も求人サイトで最初に見つけたとき、人のうんちとして出たものを口からカプセルとして飲むって本当に実現するのかって正直思った部分はあったんです。でも新しいことにチャレンジしているのがすごくキラキラして見えて、自分も一度しかない人生、若いうちに挑戦したいと思ったんです。ずっと保守的な考えだったので。
小玉:面接のとき、「かしこまらなくていいよ、準備した答えじゃなくて今思っていることを話してね」って言ってもらえたのが、すごく印象に残っていて。一人ひとりの気持ちを大事にしてくれる会社だなと思いました。
矢作:私も絶対に医薬品の会社がいいと思って受けたんですけど、GMP[2]の経験があることで「即戦力だよ」と面接で言っていただけたのがすごく嬉しかったです。学歴や職歴だけでなくて、どういうことをやりたいかを聞いてくださる面接でした。
──ご家族や友人の反応はいかがでしたか?
矢作:「こんな仕事あるんだ」と興味を持ってもらえました。大変じゃないのって聞かれることは多いんですけど、医薬品を自分たちで作っているというところに誇りがあるなと思います。
小玉:両親がすごく背中を押してくれたんです。「日本で唯一の献便施設を建てているときに立ち上げメンバーとして入れるなんて、すごい面白そうだね」「なかなかない経験だからいいんじゃない」って。友達もポジティブに捉えてくれる人が多くて、うんち=汚いものじゃなくて、人を救えるものっていう認識にもっとなったらいいなと思っています。
GMPだって「やりたいことをやっていい」
小玉:実際に入社してみてどうでした? ギャップありましたか?
矢作:ギャップだらけです(笑)。悪い意味じゃなくて。前職のGMPのかっちりしたイメージがどうしても拭えなくて、そういうもんだと思って入社したんですけど、全然自由なんです。「あなたがやりたいと思ったことをやっていいよ」という会社だった。そこが一番のギャップでしたね。
小玉:わかります。私はそもそも入社した時点で、鶴岡に住んでいるメンバーが自分一人だったんです。
矢作:えっ、そうだったんですか。
小玉:初日に「鶴岡在住メンバーは?」って聞いたら「あなたが初です」って。それも嬉しかったし、「このサイトをとりあえず守るぞ」みたいな気持ちになりました。最初の何週間かは直属の上司と私の2人だけで、広い部屋に2人でいて教えてもらいながらちょこちょこ触ってみる、みたいな日がほぼほぼでした。今とはまったく違う状況です。
矢作:初日にびっくりしたのは、自分のデスクとPCが用意されていたことでした。「え、こんなに?」って。前職は人数が多いぶん一人一人にそこまで用意されることはなかったので。自分のメールアドレスもいただいて、かっこいいって思いました。
──数ヶ月経って、変わってきたことはありますか?
矢作:最初はわからないことが多くて勉強から始めたんですけど、3ヶ月、半年経ってちょっとわかるようになってくると、「これってどうなの?」って聞かれることが増えて。一人ですごくやらせてもらえてるという感覚が大きいですね。
小玉:私も数ヶ月経った段階で「もうあなたは新人じゃないから」って言っていただけて。ポジティブな意味で、信頼してもらえてるんだなと。一人一人に責任があるぶん、やりがいもすごくある。GMPって聞くとガチガチで、決められたことしかできないイメージがあると思うんです。でもこの会社はGMPをしっかり守りつつも、スタートアップとしてのスピード感と個人の考えを重視して、新しいことに挑戦していこうという流れがすごくある。普通の製薬会社とはまた違いますね。
美食のまち"鶴岡" での生活
小玉:私たちの1日のスケジュールなんですけど、朝7時15分に献便ルーム[3]がオープンするので、その前に準備があって、6時半過ぎとか7時前には来ています。定時は7時〜16時です。普通のサラリーマンだと8時半〜17時半が多いかなと思うんですけど、ちょっとずれてます。
矢作:最初はやっぱり朝が苦手な部分があって大変だったんですけど、そのかわり早く帰れるって思うとQOLがだいぶ上がります。皆さんが平日仕事してる間に早く帰っていろんなことできるのが、すごくありがたい。
小玉:私はもともと朝型なので苦ではないです。朝と帰りの時間がずれることで道が空いてるのも嬉しい。出社しても早く帰れるし、その後自分の好きなことやろうって思えるから、出社がそんなに嫌だと思わないんです。上の方々も「働け」って言わないですよね。個人に任せてくれていて、無理して働く風潮がない。自分が働きたいときはやればいいし、帰りたい日は帰っていいよ、という感じ。任せてもらえてるからこそ頑張らなきゃいけないこともあるけど、圧迫されることがない。
──鶴岡で暮らす良さを教えてください。
矢作:カフェとか食べ物が大好きなので、鶴岡のご飯が美味しいのが一番です。高専にいたときもいろんなお店に行ったんですけど、まだまだ新しいお店が出てたりして。なんといってもラーメン。本当に美味しいので、ラーメンのために来てもいいと言っても過言ではないです(笑)
小玉:過言ではないですね。全国消費量日本一ですからね。鶴岡はユネスコの食文化創造都市[4]にも選ばれているくらい食にこだわっている街で。私は魚が好きなんですけど、スーパーに行っても見たことない魚がそのまんまで売ってるんです。切り身じゃなくて丸のまま。「これ自分で切るの?」って(笑)。地元の新鮮な野菜や果物も豊富で、生活する上ですごく嬉しいポイントです。
矢作:自然が豊かで空気も水も美味しい。日本酒とかお酒も有名だし、治安もいいので一人暮らしでも安心できる街です。
小玉:オフィスの窓がすごく大きいので、晴れてる日は田んぼと山がどーんと見えるんです。山形出身なので見慣れてはいるんですけど、やっぱり落ち着くなって思います。
──逆に大変なところは?
矢作:皆さん思うと思うんですけど、やっぱり冬ですよね。
小玉:ですよね(笑)山形県は雪国なので、風が強くてホワイトアウトになったり、道路がツルツルになったり。車の運転に慣れてない方は、夏に入社することをおすすめしたいです。
矢作:冬を乗り越えれば何も怖くない、という感じですね。道も広いですし。
うんちは「ありがたい存在」
小玉:仕事をやってきた中で、面白いなって思うことはありますか?
矢作:製造チームなので菌を扱うんですけど、菌が死なないように大切にするっていうところがこの仕事の面白さだと思います。製造チームだからそういう議論に関われないということはなくて、「どう思う?」って聞いてくださるんです。率直な感想を述べると「そういう考えもあるんだ」「その視点から見たことない」って言ってくださって。
小玉:うんちを扱うことへの抵抗感は、今はどうですか?
矢作:半年経つとだいぶ薄まりました。小玉さんが全然抵抗感なく扱ってるように見えて、「なんでそんなに平気なの?」ってすごいなと思ってたんです。でもみんな最初は抵抗感があるから大丈夫だよって言いたい。半年経つとめっちゃ慣れます。
小玉:私も最初は同じでした。順天堂に見学に行ったとき、先輩が扱っているのを見て「なんでそんなに触れるの?」って思った記憶があります。でもいつの間にか、汚いものという認識から「この中にどのくらいの菌がいるんだろう」という興味に変わっていった。私は最初に便を受け取る役割を担っているんですけど、施設がオープンしてすぐの頃は、ドナーさんが来ない日も多くて。一人でも来てくれたら嬉しい、出してくれたら「ありがとう、今日これで検証ができる」って。もう汚いとは絶対に思わなくなりました。ありがたい、感謝の存在として受け取っています。
矢作:私たちにとっては大事な成分のひとつ。それがないと何もできない。
汚染しないようにしっかり整備された場所で扱っているので、匂いや自分への汚染ということは絶対にないですし、そういう環境がきちんと整っているので安心できると思います。
小玉:まだみんなで作り上げている段階だからこそ、「ここまでわかったね」「これこうなってるんだ」みたいな発見が常にあるんです。決められたことをただやるんじゃなくて、新しいものを自分に蓄えていける。このスタートアップに入れたからこそ得られていることがすごく大きいなと思います。
鶴岡CMC部の雰囲気は?
小玉:CMC部[5]は今、鶴岡に5人。20代が多くてアットホームな雰囲気です。仕事のときは皆さん真面目に集中して取り組んでいるんですけど、相談したいときはすごく柔らかく対応してくれる。
矢作:上司との距離感が上手だなって思ってます。かしこまっちゃうタイプなんですけど、上司の方から接しやすくしてくださるので、仕事の相談もしやすい。
小玉:入社歴に関わらず対等な一意見として聞いてくれるというか。「まだ入って数ヶ月だから」という目で見ずに、こちらが提案したら聞いてくれる。この会社ならではの雰囲気だと思います。
──上司[6]はどんな方ですか?
矢作:すごく気さくな方です。面接のとき、事業にすごく面白みと誇りを持って説明されていたのが印象に残っています。
小玉:黒田さんはすごく一人一人を信頼してくださっていて。何かを任せてくださるときも、「これやって」という指示ではなくて、「こういうのをちょっとやってみてくれない?」って大枠で渡してくれる。自分で考える機会、成長する機会を与えていただいてるなと感じます。
私の中で一つすごく大きいのが、面接のとき、ちょっと前職が大変な時期だったんです。黒田さんが「そんなに大変だったら少し休みながらでもこっちに来て頑張ってみたらいいんじゃない」って寄り添ってくださった。それがすごく大きくて、こういう上の方のもとで働きたいなと思ったんです。
矢作:忙しい方なのに、鶴岡にも来てくださって、一人一人に「大丈夫?」「最近どう?」って声をかけてくださる。CMC部も人が多い中で、気を配ってくださるのがすごいなと思います。
▼CMC部 黒田部長の記事はこちら
──最後に、これから応募を考えている方にメッセージをお願いします!
矢作:好奇心旺盛な人が向いている会社です。「これどうしてこうなるんだろう」って考えて、そう思った時点ですぐ行動できる会社なので。全然バイオの知識がなくても、培養系でなくても、やっていけてます。不安はたくさんあると思うんですけど、皆さん受け入れてくれるし、勉強したいという気持ちがあれば全然楽しい会社です。
小玉:どんな職歴とか学歴じゃなくて、新しいことをやっていきたいという気持ちがある人にすごく合う会社だと思います。社会人歴が浅くてもすぐに馴染めるし、戦力になっていける環境だと思います。年齢も経験も関係なく、一人一人を見てくださる方ばかりなので、安心してほしい。鶴岡で待ってますので、ぜひお越しください。
矢作:こんな若い2人がいるので、心配することもないかなって。皆さん話しやすい人ばかりです。待ってます!
CMC人材募集中
メタジェンセラピューティクスでは、鶴岡拠点の原材料製造・品質管理を中心に、CMC人材の採用を強化しています。医薬品業界の経験がある方はもちろん、食品工場や医療機関からのキャリアチェンジも歓迎です。「地元・山形で医薬品づくりに関わりたい」「新しい挑戦をしてみたい」——そんな方のご応募をお待ちしています。
以上、当社CEO中原拓のNote(2026年5月2日)より。
<注釈>
[1] 腸内細菌叢移植(FMT):Fecal Microbiota Transplantation。健康なドナーの便から調製した腸内細菌を患者に移植する治療法。おなかの中の菌を移植することで、崩れた腸内環境を再建する。MGTxはこのFMTを経口カプセル型の医薬品として開発している。
[2] GMP:Good Manufacturing Practice。医薬品の製造管理・品質管理の基準。手順・文書・記録管理まで厳格に定められた「医薬品づくりのルールブック」のようなもの。
[3] 献便ルーム:MGTxが山形県鶴岡市の鶴岡サイエンスパーク内に設置した、日本初の採便施設。健康なドナーが来所して便を提供する。
[4] ユネスコ食文化創造都市:2014年に鶴岡市がユネスコ創造都市ネットワーク(食文化分野)に日本で唯一認定された。在来作物や発酵食文化など、地域固有の食文化が高く評価されている。
[5] CMC部:Chemistry, Manufacturing and Control。医薬品の「化学・製造・品質管理」に関する開発業務の総称。医薬品の品質を組み立て、規格や製造方法を定義していく領域。
【免責事項・利益相反(COI)の開示】 中原拓はメタジェンセラピューティクス株式会社の代表取締役社長CEOであり、博士 (理学)を有する基礎的な科学(バイオインフォマティクス)の専門家です。本記事は、マイクロバイオームサイエンスおよびFMT(腸内細菌叢移植)に関する最新の科学的知見や業界動向の共有、ならびに当社のビジョンをお伝えすることを目的としており、特定の医薬品の広告・宣伝、および個別の患者様への医学的アドバイス(診断・治療の推奨)を目的とするものではありません。 本記事で言及されるFMTや関連技術には、現在研究開発段階にあり、薬機法上の承認を得ていない未承認医薬品・治療法が含まれる可能性があります。これらの有効性や安全性は確立されたものではなく、将来的な承認を保証するものではありません。 ご自身の病気や治療に関しては、必ず主治医や専門医療機関にご相談ください。また、中原拓は当社の株式を保有しており、本記事の内容には当社事業に関連する利益相反(COI)が存在します。