エフデザインがこの場所に移転してきたのは2014年の冬の事でした。きれいなオフィスは家賃が高く、どこもビルの上階でした。しかし、かつて印刷会社だったこの場所は、トイレが和式という古さでしたが、オフィスも広く、1階の路面という立地でした。大家さんは自分たちでリノベーションすれば家賃も下げてくれると言ってくれたので、あまりに古くて嫌がるスタッフを説得してこの場所を借りる事にしました。そしてトイレは男女別に、キッチンもリニューアルして、1階は打ち合わせスペースとして生まれ変わりました。
この地域は、江戸時代からモノづくりが盛んで、2011年から始まった台東モノマチ協会のエリアでした。蔵前~浅草橋、御徒町周辺を指す通称カチクラエリアと呼ばれる地域で、若いクリエイターが集まる新しいまちでもありました。店づくりもモノづくりという事で、すぐに第5回モノマチから参加しました。そして、東京都建築士事務所協会の台東支部にも加入して、一級建築士事務所としても、無料建築相談や区有施設点検などに参加して地域に少しずつ貢献しています。1階は路面という事もあり、たくさんのこどもたちが、当社のワークショップに集まってくれました。今年で14回目になるモノマチにも参加しますので、興味のある方は気軽に遊びに来て下さい。
その後、スタッフのセルフビルドで、オフィスをきれいにしましたが、コロナ禍のリモートワークや、たくさんのカタログや大きなコピー機を処分し、昨年1階をグループ会社である藤田建装の家具ブランド「cazari」のショールームとして、当社がデザインし生まれ変わりました。エントランス横に取り付けたサインは、モノマチで知り合った近所の陶芸教室「dakota工房」の先生でクリエイターの芸林さんがつくってくれた陶器のサインです。陶器は金属やアクリルにはない、あたたかみがあります。来年は、この場所に移転して10年目、節目の年、更なる成長を目指していきたいと思います。