What we do
一枚の絵から、服をつくっています。
株式会社ezu(エズ)は、群馬県桐生市の創作ブランドです。ブランド名は日本語の「絵図」、絵で描いた地図のことです。
デザイナー・岩野久美子が描いた絵が、テキスタイル(布の柄)になり、その布が服になります。デザイン画から始まるのではなく、一枚の絵から始まる。この順序が、ezuのものづくりの中心にあります。拠点の桐生は、絹織物とともに1300年つづいてきた繊維の町です。
【つくっているもの】
ワンピース、ブラウス、シャツ、スカートなどの衣服を中心に、靴下やレッグウォーマー、ハンカチ、バッグ、珈琲まで。岩野の絵そのものも作品として販売しています。
素材はリネン、コットン、ヘンプ、シルクといった天然繊維が中心です。染めは自分たちの手で行っていて、独学から24年、藍染め・籠染め・反応染を使い分けながら、これまでに1万色を超える色を生み出してきました。型紙、裁断、縫製は、桐生で長く同じ仕事を続けてきた職人たちが担っています。今年からは、モンゴルの工房と組んで、カシミヤやフェルト、革の作品づくりも始まりました。
【届けかた】
・桐生のアトリエショップ(山あいにあり、毎月1日から7日までの7日間だけ開きます)
・オンラインストア
・全国でのポップアップ(百貨店、ギャラリー、雑貨店、家具店、カフェ、美容室など)
・海外の常設店(中国の上海・北京、マレーシアのクアラルンプール)
【法人向けのサービス】
店舗や企業の方に向けて、5つのサービスを行っています。
・卸売(お店でezuの作品を取り扱っていただく)
・展示会・ポップアップの共同企画
・スタッフユニフォームの制作
・トータルコーディネートの制作(お一人の内面を表す一式をお仕立てする)
・講演、セミナー(ブランドづくり、情緒的価値、ものづくりについて)
【海外での取り組み】
香港、バンクーバー、ニューヨーク、パリのコレクションでの発表を経て、いまはモナコに拠点となる会社を持ち、中国とマレーシアで販売しています。それだけでなく、シンガポールでの個展、フィリピンのカオハガン島でのキルトづくり、モンゴルでのカシミヤ・フェルト・革のものづくりなど、その土地の素材と手仕事に根ざしたプロジェクトを進めています。
【絵の活動】
岩野は画家としても活動し、個展を重ねています。2021年には書籍『ひとつずつの色 ひとつずつの形 ひとつずつの生き方』を出版しました。
【体制】
前身は2009年創業のリップル洋品店。2024年にezuへ改名し、株式会社ezuとして法人化しました。経営は、つくり手である岩野と、マーケティングを担う平岡の2人。ここに、桐生の職人たち、各地の届け手、海外のパートナーが加わって、ひとつのものづくりが動いています。
Why we do
問い続けることで、世界を広げる。
これが、ezuの企業理念です。
【「わたしらしくいられる服」という言葉から】
前身のリップル洋品店として15年、衣服をつくってきたなかで、お客さまからいちばん多くいただいた言葉があります。「わたしらしくいられる服」でした。
服には、そういう力があります。着ているだけで背筋が伸びたり、何でもない一日が少しだけ機嫌よく過ぎたりする。ブランド名の「ezu」は、日本語の「絵図」、絵で描いた地図のことです。一人ひとりが自分らしく歩いていくための地図でありたい。そう願って名づけました。
【広げたいのは、市場ではなく、その人の世界です】
理念にある「世界」は、売上や市場規模のことではありません。関わる人の内側にある価値観や、未来への視野、可能性、他者との関係。そういうものを指しています。
私たちは、服が人を変えるとは考えていません。ezuの服は、その人の中にすでに在るものを思い出すための器だと思っています。自分はこれでいいのだと肯定できること。新しい自分を始める勇気が湧くこと。その瞬間のために、ものづくりを続けています。
人間が一人ひとり違うように、ezuの作品も一つずつ違います。同じ赤の中にも無限のグラデーションがあり、青が十着あれば十通りの表情がある。その違いが並んでいる状態こそがいちばん美しいと、私たちは信じています。
【一着が、誰かの景色の一部になる】
10歳の頃の思い出を、ひとつ思い出してみてください。家族との食卓でも、旅行でも構いません。その記憶の中の人は、必ず服を着ています。
記憶は、服を着た状態で呼び起こされる。だからezuは、誰かの忘れられない景色に映る一着をつくっているのだと考えています。実際に、闘病中の窓辺に掛けられ、旅立ちの日に着ていただいた一着もありました。誰かの最後の一着になるかもしれないものをつくっている。その自覚が、私たちの仕事の重さです。
【だから、やらないことがあります】
速く、安く、似たものをたくさんつくる競争には入りません。効率がいいからという理由だけで工程を省くこともしません。すべての人に広げようともしません。ezuが届けたいのは、この感覚に共鳴してくださる方たちのところです。
一見すると、非効率な選択の連続です。山の上にあるお店。月に7日だけの営業日。一着ずつ違う服。それでもこの道を選んでいるのは、デジタル化や自動化では代わりのきかない価値が確かにあり、それを事業として成立させられると考えているからです。
【これから】
ezuは、自らを「思想の置き場所」だと定義しています。服だけの会社ではありません。すでに絵画、珈琲、モンゴルでのカシミヤや革のものづくりへと広がり、これから焼き菓子や空間づくりも始まっていきます。かたちは変わっても、届けたいものは同じです。
答えを固定せず、問い続けること。それ自体が、ezuという会社の在り方です。
How we do
【4つの行動指針】
1. 関わるすべての人をがっかりさせない
私たちの活動は、作り手・届け手・使い手の三者が信頼で結ばれて成り立っています。積み重ねてきた時間と信頼の質を、安易な妥協で損なわない。
2. 思考停止した施策を排除する
効率がいいから工程を省く、といった思想との接続がない判断はしません。それが誰の、どのような世界を広げるのかという問いに、誠実な答えを持っているかどうかで決めます。
3. 授かった縁を自ら断ち切らない
ezuと出会ってくださる方との関係は、途方もない確率のなかで生まれた縁です。それを雑に扱うことを、最大の過ちだと定義しています。
4. 服を売るのではなく、その人の世界が広がる体験を届ける
かたちは服でも、絵でも、珈琲でもいい。届けたいのは、世界が一歩広がる体験のほうです。
【意思決定のしかた】
判断と決断を分けています。情報を整理し、選択肢を並べ、反証するところまでが判断。最後に自分の名前で引き受けるのが決断です。判断は道具を使って効率よく、決断は人間が引き受ける。この線引きを崩しません。
迷ったときに立ち返るのは、数字ではなく作品です。作品にとってどうか、関わる人ががっかりしないか、誰の世界が広がるのか。その順で考えます。
経営は2人。つくり手の岩野が「意味」を、平岡が「論理」を担います。まだ言葉になっていないつながりを見つけるのが意味の仕事、それを価格や流通や組織という社会の言語に翻訳して、必要としている人に接続するのが論理の仕事です。どちらが欠けても、ものづくりは続きません。
【一緒につくる人たちとの関わり】
裁断も、縫製も、桐生で長く同じ仕事を続けてきた職人たちが担っています。20年近く一緒にやっている人もいます。海外のパートナーも、条件で選ぶのではなく、事前に調べ、実際に訪ね、話を重ねたうえでご一緒することを決めています。取引ではなく交流。この温度感を大事にしています。
【大切にしている価値観】
・プロダクト愛。自分たちが着たいものをつくり、見えない縫い目にも手を入れる
・プロダクトドリブン。作品が先、届け方はその後。売り方に合わせて作品を変えない
・IQよりEQ。数字にならないものを扱う仕事だから、人の心の動きを感じ取る力を重んじる
・お客さまとのコミュニティ。新しい展開は、たいていお客さまの一言から始まっている
・ワークアズライフ。仕事と暮らしの境目はあまりなく、旅も山を歩く時間も制作につながる
・失敗を恐れない。やり直せることはまず試す。一度切ったら戻せない場面だけ、慎重に