こんにちは。株式会社リアルアキバ・コミュニケーションズの倉光です。
今回は、仕事をしていればどうしても避けられない「トラブル」について書いてみようと思います。
イベント、広告、コンテンツ制作、タレント、クリエイターとの仕事。
どれだけ準備していても、想定外のことは起こります。
制作物が間に合わない。
告知内容に間違いがあった。
出演者のスケジュールが変わった。
発注内容と納品物が違う。
関係者への連絡が漏れていた。
本番当日に機材トラブルが起きた。
私自身、これまでいろいろなプロジェクトに関わってきましたが、トラブルが一度もなかった仕事のほうが少ないかもしれません。
だから大切なのは、
「トラブルを絶対に起こさないこと」だけではなく、「起きたときにどう動くか」
だと思っています。
そして私がトラブルが起きたとき、最初に意識していることがあります。
まず、事実を確認する。
これです。
最初に「誰が悪いか」を探さない
トラブルが起きると、どうしても原因を探したくなります。
「誰が確認したんだっけ?」
「なんでこうなったの?」
「○○さんがやるはずじゃなかった?」
気持ちは分かります。
原因究明は必要ですし、再発防止のためには責任の所在を整理しなければならない場合もあります。
ただ、それは最初にやることではないと思っています。
例えば、イベント当日に必要なものが届いていない。
その状況で、
「誰が発注を忘れたのか」
を30分議論しても、必要なものは届きません。
まず考えるべきなのは、
「本番に間に合わせるために、今できることは何か」
です。
近くで調達できないか。
代用品はないか。
別の場所から持ってこられないか。
仕様を変更できないか。
まず目の前の問題を解決する。
原因究明は、そのあとです。
「事実」と「推測」を分ける
トラブル時に怖いのは、情報が錯綜することです。
「○○さんが確認したらしいです」
「先方には伝わっていると思います」
「たぶん昨日発送されています」
こうした情報が増えていく。
でも、
「らしい」「思う」「たぶん」は、事実ではありません。
私はトラブルが起きたとき、できるだけ、
分かっていること。
分かっていないこと。
確認中のこと。
を分けるようにしています。
例えば、
「商品が届いていない」
これは事実。
「昨日発送された」
これは発送記録を確認できるまでは未確認。
「配送会社で止まっている」
これも確認できるまでは推測です。
ここを混ぜてしまうと、間違った前提で対応を進めて、さらに問題が大きくなることがあります。
焦っているときほど、
「今、確実に分かっていることは何か」
を整理する。
これはかなり重要です。
次に見るのは「影響範囲」
事実を確認したら、次に考えるのは、
「この問題が、どこまで影響するのか」
です。
例えばSNSの告知に誤りがあった。
その場合、
投稿だけ直せばいいのか。
公式サイトにも同じ情報が載っているのか。
チケットページはどうなっているのか。
すでに購入したお客様への影響はあるのか。
取引先にも間違った情報を送っていないか。
一つのミスに見えても、複数の場所へ広がっていることがあります。
だから、
「間違いを見つけたので直しました」
だけで終わらせない。
その情報がどこまで伝わっているのかを確認する。
これもトラブル対応では大切です。
悪い情報ほど、早く共有する
以前のコラムでも書きましたが、これは何度でも言いたいことです。
悪い報告ほど、早くしてほしい。
トラブルを起こした本人は、
「もう少し自分でなんとかしてから報告しよう」
と思うことがあります。
怒られたくない。
迷惑をかけたくない。
自分で解決したい。
その気持ちは分かります。
でも、時間が経つほど対応できる選択肢は減っていきます。
イベントの1週間前なら変更できる。
前日だと難しい。
本番5分前なら、できることはかなり限られる。
だから、
「問題が起きたこと」より「問題を抱えたまま時間が経つこと」のほうが怖い。
と私は思っています。
全部整理できていなくても構いません。
「今こういう問題が起きています。ここまでは確認できています。ここから先は確認中です」
これだけでもいい。
早く共有してもらえれば、周りも一緒に考えられます。
報告するときは「どうしましょう?」だけにしない
トラブル時の報告でもう一つ大切なのは、
問題だけを投げないことです。
「○○が間に合いません。どうしましょう?」
だけでは、受け取った人がゼロから考えることになります。
できれば、
「○○が間に合わない可能性があります。Aなら予定通り実施できます。Bなら内容を一部変更する必要があります。私はAが良いと思います」
まで整理する。
もちろん、緊急時にそこまで考える余裕がない場合もあります。
それでも、
問題+現在地+選択肢
まで伝えられる人は強いです。
トラブルが起きたときほど、「自分なりの次の一手」を考える習慣を持ってほしいと思っています。
お客様への影響を最優先に考える
エンタメの仕事では、トラブルの先にファンやお客様がいることがあります。
イベント。
チケット。
商品。
配信。
告知。
何か問題が起きたとき、社内事情だけを見てはいけません。
「この問題によって、お客様にどんな影響が出るのか」
を最初に考える必要があります。
場合によっては、謝罪や訂正が必要になります。
そのとき大切なのは、会社側の事情を長々説明することではなく、
何が起きたのか。
お客様にどんな影響があるのか。
どう対応するのか。
を分かりやすく伝えることだと思っています。
トラブル時のコミュニケーションは、会社の姿勢が一番見える瞬間でもあります。
現場では「完璧な対応」より「今できる最善」
特にイベントの現場では、ゆっくり考えている時間がありません。
本番は待ってくれません。
何かが壊れた。
人が来ない。
進行が遅れている。
予定していた演出ができない。
そんなときに、
「本来ならこうだったのに」
と考え続けても状況は変わりません。
必要なのは、
「今ある条件の中で、一番いい方法は何か」
を決めることです。
100点の予定が崩れたなら、80点でも70点でも、本番を成立させる。
その場ではまず前に進める。
終わったあとに、なぜ100点でできなかったのかを振り返る。
この順番が大事です。
落ち着いている人が一人いるだけで、現場は変わる
トラブルが起きると、現場全体が焦ります。
声が大きくなる。
情報が飛び交う。
何人もの人が同じ確認を始める。
こういうとき、誰か一人でも、
「まず状況を整理しましょう」
と言える人がいると、かなり変わります。
私は、トラブル対応が上手い人は、
問題を一瞬で解決できる人ではなく、混乱している状況を整理できる人
だと思っています。
何が起きているのか。
誰が確認するのか。
誰が対応するのか。
いつまでに判断するのか。
一つずつ整理する。
それだけで、現場は動き始めます。
トラブルが終わったら、必ず「仕組み」に戻す
目の前の問題を解決して、
「よかった、なんとかなった」
で終わらせてはいけません。
ここからが大切です。
なぜ起きたのか。
どこで気づけたのか。
確認フローに問題はなかったか。
次回はどうすれば防げるか。
を振り返ります。
そして、チェックリストを追加する。
確認者を決める。
締切を前倒しする。
共有方法を変える。
マニュアルに残す。
個人の反省だけで終わらせず、仕組みにする。
これが再発防止だと思っています。
「次から気をつけます」は大切ですが、人は忘れます。
仕組みなら、次に担当する人も使えます。
トラブル対応で、その人の仕事の姿勢が見える
仕事をしていれば、失敗することはあります。
私自身もたくさんあります。
だから私は、
ミスをしたことだけで、その人を判断したくありません。
むしろ、その後どう動いたかを見ています。
隠さず報告したか。
事実を確認したか。
解決方法を考えたか。
周りに助けを求められたか。
最後まで対応したか。
そして、次に同じことが起きないようにしたか。
トラブルが起きたときには、その人の仕事への向き合い方がよく見えます。
だからこそ、若いメンバーにも「失敗するな」ではなく、
「問題が起きたら、早く言って。一緒に解決しよう」
と伝えたいと思っています。
トラブルは起きます。
大切なのは、そこで止まらないことです。
事実を確認する。
影響範囲を把握する。
早く共有する。
今できる最善を決める。
そして最後に、仕組みに戻す。
これが、私がトラブルが起きたときに意識している順番です。
問題が起きないチームを目指すことも大切です。
でも、それ以上に、
問題が起きても立て直せるチームをつくること。
私は、そのほうが強い組織だと思っています。