『ザ・グローリー』『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』
—なぜ韓国ドラマは、気づいたら朝まで見てしまうのか?
はい、早速結論↓
「9ビート構成」だからです!
9ビート構成???
韓国ドラマに共通する構成の「型」があります。
ハリウッド式の三幕構成でも、6ビート理論でもない。
1話の中に9つの山場を配置する、韓国ドラマ発の設計図です。
今回は、この「9つのストーリービート」と呼ばれるフレームワークについて、
その由来から構造的な特徴、実際に使われている作品までご紹介します。
目次
自己紹介
9ビート構成とは?
9ビート構成の特徴
近年の世界的ヒット韓ドラに共通している
構造的な特徴とは?
①刺激の「最適間隔」
②感情線という第二のライン
③ゴールからの逆算
9つのビートの中身
①オープニング:インパクトある冒頭にしよう ②問題発生:事件を発生させる ③核心ジレンマ:地獄の二択を作る ④努力の失敗:主人公を挫折させる ⑤ターニングポイント:主人公の覚悟が決まる瞬間 ⑥危機の高まり:それでも局面はさらに悪化する ⑦危機のピーク:最大の危機 ⑧クライマックス:予測を裏切りつつ、感情は満足させる ⑨エンディングのカタルシス:視聴者の心を浄化する締め
9ビート構成が読み取れる作品
韓国ドラマ編
まとめ
自己紹介
はい、株式会社OneAcre(ワンエーカー)で、
「ショートドラマ」や「おもしろ企画」を作ってる金子です。
プレスが出てる範囲内で言うと、
スシローさんのTikTokは4年ほど運用してます(2022年2月〜現在まで)
高3の17歳からYouTuberになってもう12年。
視聴者が面白がるコンテンツを、ずっと作ってます。
直近だとショートドラマを作って、DMMショートで半年ほど1位を取ってました。
企画/脚本も作るので、勉強的に映画やドラマも見ている中で、違和感がありました。
それは…
「どう考えてもこれ…起承転結とか三幕構成じゃねえぞ!」
「なんか習ってないの出てきてるぞ!?」
です。
今回はその正体を暴きましたので、共有です。
9ビート構成とは?
9ビート構成とは、1話(60〜70分)のドラマの中に、
物語の重要な転換点=「ストーリービート」を9つ配置する構成法です。
このフレームワークは、
韓国の地上波ドラマ局長・プロデューサーとして30年以上のキャリアを持つパク・ソンス氏が、著書『韓国式ストーリーのつくりかた』(原題:스틸 – 마음을 훔치는 드라마 쓰기)で提唱したものです。
(めっちゃくちゃ勉強になるので必読。現代の脚本術。)
源流をたどると、ハリウッドの映画理論があります。
ハリウッドでは伝統的に「120分の映画に6つのビート」とされてきました。
つまり約20分に1回の山場です。
パク・ソンス氏の理論の決定的な違いは、
これを60〜70分に9つ、つまり約7分に1回まで密度を上げたこと。
スマホで倍速視聴する「ドーパミン中毒」の現代視聴者を前提に、
山場の間隔を再設計したのが9ビート構成です。(ここがすごい、現代ナイズされてる)
土台は古典的な三幕構成のまま、そこに9つのビートを載せます。
- 1幕:①オープニング → ②問題発生 → ③核心ジレンマの浮上
- 2幕:④努力の失敗 → ⑤ターニングポイント → ⑥危機の高まり
- 3幕:⑦危機のピーク → ⑧クライマックス → ⑨エンディングのカタルシス
それぞれの説明は後ほど
9ビート構成の特徴
近年の世界的ヒット韓ドラに共通している
『ザ・グローリー』『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』『良くも、悪くも、だって母親』など、
Netflixで世界ヒットした韓国ドラマの1話を分解すると、
この9つの山場がきれいに検出できます。
完全に同じ配置ではなくても、
「約7分に1回、感情が動く出来事が起きる」というリズムは共通しています。
構造的な特徴とは?
①刺激の「最適間隔」
ポイントは、単に山場を増やせばいいわけではないことです。
刺激の間隔を詰めすぎると、視聴者はかえって刺激に慣れて退屈してしまう。
7分に1回という間隔は、
「飽きる前に次が来る」かつ「刺激慣れしない」ギリギリのライン。
解決させないまま次へ運ぶことで駆動感を維持しています。
(これを考えるのが難しい。すごい。)
②感情線という第二のライン
9ビート構成では、事件の起伏を示す「劇線」とは別に、
主人公の内面を示す「感情線」を並走させます。
コード進行における「ベースライン」と「メロディ」の関係に近く、
事件が動いていない場面でも感情線が動いていれば視聴者は離脱しません。
起伏の少ないロマンスものでも成立するのは、この第二のラインがあるからです。
③ゴールからの逆算
作品のテーマ、最終結末、余韻を残すセリフやイメージ
——物語が最終的に到達すべきゴールを先に立て、そこから全ビートを逆算します。
「ハッピーエンドなら序盤は不幸に、サッドエンドなら序盤は思い切り幸せに」という有名な公式も、ゴールからの逆算で初めて機能します。
9つのビートの中身
①オープニング:インパクトある冒頭にしよう
②問題発生:事件を発生させる
③核心ジレンマ:地獄の二択を作る
④努力の失敗:主人公を挫折させる
⑤ターニングポイント:主人公の覚悟が決まる瞬間
⑥危機の高まり:それでも局面はさらに悪化する
⑦危機のピーク:最大の危機
⑧クライマックス:予測を裏切りつつ、感情は満足させる
⑨エンディングのカタルシス:視聴者の心を浄化する締め
(詳細は本書で)
9ビート構成が読み取れる作品
この章では、9ビートの各要素が明確に読み取れる作品をご紹介します。
韓国ドラマ編
『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』
②問題発生(復讐の宣言)、⑤ターニングポイント(1話35分頃、いじめられ続けた主人公が突然態度を変える瞬間)、⑨最終話の「愛してる」のカタルシスまで、9ビートの教科書のような設計。
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』
①オープニングで主人公の「弱点と天才性」を一度に見せ、③核心ジレンマ(初事件に失敗すれば事務所を追われる)、⑨依頼人の涙の感謝で1話を浄化して締める。
その他
- 『良くも、悪くも、だって母親』(⑤の態度変化と、予想の一歩先を行く灯台設計)
- 『医師チャ・ジョンスク』(⑥危機の高まりに視聴者を参加させる描写)
- 『イルタ・スキャンダル』(①空間スケッチ型オープニング)
まとめ
すごく参考になる書籍なので、ぜひ買ってください。
私は電子と冊子の2冊買ってます。
こんな感じで、参考になる考え方などを書いていきます。
普段から色々ずーっと考えているタイプなので、お話ししたい人はぜひご連絡ください。
kosaburo.kaneko@1-acre.com
参考:パク・ソンス『韓国式ストーリーのつくりかた』(原著2024年、日本語版2025年)