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【WEBTOON制作】LOCKER ROOMの戦略とクリエイターへの原稿料について


※この記事は2022年2月に公開した以下noteの引用です。

【WEBTOON制作】LOCKER ROOMの戦略とクリエイターへの原稿料について|株式会社LOCKER ROOM|note
こんにちは。LOCKER ROOM代表の朝岡と申します。 ありがたいことに対談や企業からお声かけいただくことも増えてきたので、少しは前より知っていただけているかなあと思っています。 さて、本日noteで執筆したいと思っていることは​弊社、LOCKER ROOM社の ・制作体制・原稿料 / 印税・上記の背景にある戦略 についてお話しさせていただければと思っております。 ...
https://note.com/lockerroom/n/n6fc540e7f4c7

さて、本日は​弊社、LOCKER ROOM社の

・制作体制
・原稿料 / 印税
・上記の背景にある戦略

についてお話しさせていただければと思っております。

目次

  1. 制作体制について
  2. 原稿料 / 印税について
  3. LOCKER ROOM社の戦略について
  4. 最後に

制作体制について


弊社のWEBTOON制作体制としては、上記のように分割しており、各工程別にクリエイターをアサインしております。(おそらくここは会社による違いはほとんどない制作工程かと思います。)

企画 / 原作開発

こちらについては、会社にもよると思いますが、弊社では小説PF(小説家になろう、カクヨムなど)の原作をWEBTOON化することは積極的には行っておりません。
なぜならば、既存コンテンツをWEBTOON化すること自体そこまで簡単ではなく、
特にWEBTOON化という観点で、「タイトルの変更」「お話しとしての盛り上がりをどこに置くか = WEBTOONならではのクリフハンガーを作れるか」「ビジネス上の座組み」「クリエイターとの企画すり合わせ」などを考えた時に自社で原作開発した方が良いと判断し、現在私と弊社プロデューサーとクリエイターでチームを組み原作開発をしています。今年の5-6月くらいには、10本程度発表できるかと思います。

以下のようなフォーマットで作っています。

原稿料 / 印税について

上記工程をベースに以下のような原稿料で弊社は進めております。

企画/原作開発:31,000円〜54,000円 / 1話
シナリオ:15,000円〜27,000円 / 1話
ネーム:31,000円〜54,000円 / 1話
線画(キャラデザ含):99,000円〜176,000円 / 1話
着彩/仕上げ:99,000円〜176,000円 / 1話

※上記は自社オリジナル/協業案件の場合です(受託制作の場合は除く)
※上記は目指す作品クオリティや制作メンバーの能力/実績で変動します。
※1話=70~90コマを想定しております。
※上記は税込になります。

印税につきましては上記工程の方には全てお支払いする予定をしております。
具体的な印税比率としては、LOCKER ROOM社に入金される金額の30%前後で進めております。
一方で工程別の印税比率を記載できていない理由としては、作品によっては「作画(線画/着彩)に注力しよう」や「著名なシナリオライターとタッグを組もう」などといった条件によって変わってしまうため、コンテンツごとに振り分けを変更するためです。

こちら公開した理由としては、No.9さんも公開しておりますが、僕としてもより情報をオープンに公開し、クリエイターが安心してWEBTOON業界に踏み入れ、WEBTOON制作を目指す作家様を増やしたかったこと。
そして僕たちはヒット作を出しているわけではなく、まだ「何者」でもないです。加えていうと、僕たちプロデューサーや編集者はなんとなくすごそうには見えますし、偉そうに見える部分はありますが、結局のところ僕たちはクリエイターに選んでもらう立場であると思っています。

だからこそ、情報をフルオープンにし、出版社 - クリエイターとの関係性をフェアにしていきたいと思っています。

LOCKER ROOM社の戦略について

他社様同等もしくは少し高い水準で僕たちは原稿料 / 印税のお支払いをしている背景は僕たちの考え方と戦略に関連しています。

僕たちの考え方

以前記事でも記載しましたが、僕たちは漫画家 / クリエイターファーストで物事を意思決定しています。(以下は以前記載した作家様の課題)

  • 漫画執筆だけでご飯を食べられる漫画家さんはほとんど存在しないこと
  • アシスタント業務や広告漫画など漫画家さんの名前が残らない漫画の仕事が多く存在すること
  • 漫画家を目指す学生がどんどん減ってきていること

僕たちは日本が生み出した偉大な漫画文化を絶やさないためには、クリエイター自体が減ってはいけないと思い、クリエイターへの還元や、漫画市場自体への貢献を前提として考えています。

僕たちの戦略

その上で、僕たちは3つの重点戦略をとっています。

①:コンテンツを量産しヒットを目指さず、一球入魂で大ヒット
②:原作を獲得するのではなく、原作を僕たちの手で創る
③:流行りに乗るのではなく、長く漫画業界に貢献する

戦略①については、特に出版業界においては10本に1本がヒット(基本赤字)で、100本に1本大ヒット級(社会現象クラス)を作っています。
僕たちも当初10本作って1本ヒットを当てることを考えていましたが、2つの理由から、他の出版社様が1作品あたり1000万程度の予算のところを倍以上の予算でコンテンツを作ることに決めました。

理由1:WEBNTOONの売上およびヒットにはPF(漫画アプリ)のマーケティングが非常に重要であること
現在PFのマーケティングに依存し切っており、コンテンツ自体が面白いのは当然として、どこの棚においてもらうか、プロモーションはどれくらい打ってもらえるかが重要です。
僕たちは自社でもマーケティングの予算を投入することで、成功確度を高めます。

理由2:僕たちが作る意義を大切にして、日本や海外があっと驚くコンテンツを作りたかったから。
正直ベースに言うと、ここが一番大きい理由ではあります。
日本国産でブームとなり得るものを作りたい。
そう考えた時になるべく安価で大量に作るという手法があまり僕たちの考え方とは異なってるなと思い、1作品あたりにかける予算を増やしました。

したがって、クリエイターにお支払いする原稿料を他社様よりも高い水準で提供し、ハイクオリティな作品を年1-2本作っていきます。

もちろんリスクとして作品本数が少ないことから、打席に立つ数が少ないという問題は孕んでいます。

戦略②については、原作を他小説PFから獲得するのがWEBTOONの潮流ではありますが、正直なところ1000万弱の予算の作品を10-20本作るほど潤沢なキャッシュがあるわけではありません。
加えて僕個人の考えとしては、自分自身の目利きで、作品を獲得しWEBTOON化することもリスクだと捉えております。

僕たちは企画を一から立ち上げ、低コストで1話を複数本作成し、実際に読んでいただき、その上でKPIを取得し、改善を見える状態にした上でお客様の感想/反応などを総合的に判断し、連載するかどうかを踏み切る予定です。

戦略③については、僕たちは短期的に成功するのではなく、10年20年と長く続けて長期的に成功し、漫画業界、クリエイターへ還元していきたいと思っています。
そのために、経営者としては長く戦い続けられるだけの企業としての資金力や、編集やプロデュースに長けたチーム組成、何よりもクリエイターと良い関係性を築き続ける会社文化を醸成させていく予定です。
現在クリエイターとのコミュニティや、イベントなども実施する予定です。

最後に

かなり赤裸々に原稿料や、制作印税、僕たちの戦略までお話しさせていただきました。
鼻で笑われるような夢物語を描いていると自分でも自覚しています。それでも僕は漫画が大好きで、日本が誇る漫画文化を絶やすことなく、ワクワクで夜も眠れないくらいの漫画を創り続け、クリエイターがちゃんとご飯を食べていける社会を作っていきたいと思っています。

そんな青臭い僕たちですが、一緒に働きたいと思っていただけた方いらっしゃればご連絡ください。ぜひお会いしたいです!

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