皆さんは香川県にどんなイメージがあるでしょうか。おだやかな青い海、現代アートの島々、うどんも美味しくて・・・のんびりとしたイメージがあると思いますが、そんなのんびり香川県に、全くのんびりしていないトンガったデザイン事務所があります。それが「(株)人生は上々だ」という一度聞いたら誰も忘れないクリエイティブカンパニー。その代表であり、アートディレクターである村上モリロー氏は、一説によると「クリエイティブ界の吉田松陰」とも呼ばれているようで・・・
そんなわけで、倒幕の志士たちを育てた吉田松陰の私塾のごとく、AGARU MEDIA PRESSでもクリエイティブを切り口とした、さまざまな考え方や人生に役立つ指南をお届けする、村上モリロー氏の塾を開講したいと思います!
その名も・・・
【クリエイティブ界の吉田松陰・村上モリローの上々村塾(じょうじょうそん塾)】
記念すべき第一回目のテーマは、
「人生が上々になるための9ルール」です。
はじめに
この9ルールはクリエイターの方にとって「なるほど!」という発見があるのはもちろん、クリエイティブ業界に関係のない人にとっても、仕事や日常生活で活かせることが存分にあります。クリエイターの頭の中を覗ける面白さもあるので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
それでは早速まいりましょう!
1.アイデアファースト
デザイナーというのは、やはり職人的な素質を持った人が多いようで、細部のクオリティを追求するもの。もちろん0.01ミリまで手を動かすのがデザイナーの仕事ですが、そもそもその前にある「アイデア」を大切にしなくてはいけない、とモリロー氏は語ります。
「20代のときに、ふと弟に自分の制作物を見せながら『このデザインのこの部分をこだわったんや。これがプロやで』と話をしたことがあって。そしたら弟が『兄ちゃん、そんなん言うけどわからんよ。見ている人はシロウトやで』と言われて、ハッとしたんです」
クオリティを作り込むことは大前提。ただ、それだけではダメだということですね。
「自分がこれカッコええな、と思ったり、同じ業界のプロに認めてもらえることに何の意味もないなと思って。いくらセンスのいい商品パッケージを作ったとしても、その商品が売れなければ意味がないですから」
その商品を売るためにどうしたらいいか、というところで「アイデア」が重要になるわけですね。
「クリエイティブで世の中の役に立とうと思ったら、まずアイデア最優先。その先にクオリティの追求があると思っています」
2.バカになる
一見、アホなことをしろ!という意味合いにも聞こえますが・・・そうではなく「自分が賢いと思うな」という戒めのようです。
「たとえば、クライアントとの打ち合わせでSDGsというワードが出てきたとします。その時に知ったげな顔をして、ふんふんと頷くより、知らないことはどんどん聞いた方がいい、ということですね。知ったふりのままではアイデアなんて出てきませんから」
あぁ、これはどんな業界でもよくあるやつです。会議とかで出てくるワードが分からず、あとでググるか、と思っていると、もうその場の言葉は何も入ってこなくなるんですよね。聞くことが恥ずかしいみたいな自意識は、いい仕事をするためには邪魔なのかもしれません。
「あとは、『普通はこうだよね』という考え方も危険で。その普通って誰が決めたん?そんな常識とかを取っ払ってバカにならないと、クリエイティブなアイデアは出てこないと思うんですよ」
賢い大人になることを止めろ、ということですね。かのA猪木さんも言っています。「バカになれ!」と。
3.憑依レベルで考える
はい、ちょっと怖いワードが飛び出してきました。憑依?これはどういうことが聞いてみると・・・
「クライアントの立場に立って考えるというレベルではなくて、憑依するぐらい相手の思考そのものになって考えることです」
デザイナーというのは、企業やお店、商品の魅力をクライアントの代わりになって伝えるのが役割。だからこそ、クライアントそのものになって考えることが大切なようです。
「もっとクライアントの役に立つためには、相手の頭の中に入っていかないといけないと思っています」
どうやらモリロー氏はこれまで、自分でも意識せずにクライアントに憑依していたようで(なんか怖い言い方ですね)、地元の尊敬する先輩デザイナーから「モリローは相手に憑依するよな」と言われて、やっと気づいたようです。
4.そもそも思考
モリロー氏が普段からお世話になっていて、敬愛するクリエイターのひとりPOOL .incの小西利行さんが「そもそもシンキング」というワードを使っているのですが、同じ感覚をモリロー氏も持っていたようで・・・
「もともと『これって、そもそもさぁ』というのが口グセだったんですよ。デザインの仕事って、スタートからゴールまでの間に色々な意見に揉まれることが多くて、ゴールを見失いがちなんです。そのときに『そもそも』のゴールをクリエイターはもちろん、クライアントにも再認識してもらうことが大事だと思っています」
そもそも思考が、ゴールへの目印だったり、道しるべになるわけですね。
「クライアントとは憑依レベルで考えてゴールのビジョンを共有しているので、何かあったときもそこに立ち返ることができれば、進む方向を間違えないということです」
そもそも思考は、クリエイティブだけではなくて、仕事でも、プライベートでも使えそうです。恋人や夫婦で口喧嘩になった時なんかも、「そもそも何の話だったっけ?」ということってないですか?
というわけで、後編に続きます!