1年目の踏襲では届かない。「5年・10年後の未来」から逆算するPMの役割
ーー 後編では、より具体的なPM(プロジェクトマネージャー)としての働き方や思考法についてお聞きします。マーサは現在、佐賀・熊本・愛媛など複数の地域でプログラムを担当されていますが、それぞれ立ち位置が違うのでしょうか?
そうなんです。案件ごとに自分の「OS」を切り替えるような感覚で関わっています。
例えば、熊本市では元請けの熊本日日新聞社さんとチームを組んで企画運営から関わらせていただいたり、愛媛県ではメイン担当のコニー(メンバー)を後ろからサポートする……といったように、地域やパートナーによって求められる役割は様々です。
ーー 2年目、3年目と続くプログラムも多いと思いますが、過去のやり方をそのまま「前年踏襲」で進めることはないと聞きました。
前年踏襲では、私たちが目指す真のゴールに絶対に届かないんです。
アトツギ支援や地域のエコシステムづくりって、5年、10年という長いスパンで芽が出てくるものです。
地域ごとに特産品や見所が違うように、アトツギ支援における魅力や関わるステークホルダー、目指している未来も違うので、その地域だからこその独自のアトツギエコシステム構築のカタチを、現地のクライアントとディスカッションを続けながら一緒に模索しています。
1年目は手探りで基礎を作ったとしても、2年目になれば1年目にはいなかった「卒業生」という心強い存在が生まれます。「もっと巻き込めるステークホルダーはいないか?」「自走に向けて次はどう変化させるべきか?」と、毎年改善を重ねてバージョンアップしていく。
「5年後にこうなっているために、2年目の今年はこれをやるのはどうでしょう」という長期的な視点を、自治体やパートナーの方々にプロとしてしっかり示し、合意を形成していくのがPMの大切な役割だと思っています。
「このテーブルに座ったら一体何を感じると思う?」先輩から学んだプロの姿勢
ーー 外部の行政・金融機関・アトツギなど、多くの関係者の間で意見がぶつかったり、いわゆる「カオス」な状況に陥った時は、どうやって乗り越えているのですか?
カオスって、結局は「人と人との関わり」の中で生まれるんですよね。
だからこそ、相手が何を求めていて、どういう意図で発言しているのかを逃げずに解きほぐし、お互いが気持ちよく進める落としどころを粘り強く会話していくしかありません。
この立ち回りで迷った時、いつも先輩であるヨハンやマーティの言葉に助けられています。以前ヨハンから言われて今も胸に刻んでいるのが、「想像力の解像度を極限まで上げろ」ということです。
たとえば、審査で誰かを採択する時。
「このアトツギが採択されて集合研修に来た時、このテーブルに座ったら一体何が起きると思う? そして、その人はここで一体何を感じると思う?」
「もしこの電球(メインのプラン)が点かなかったとしたら、どうやって別の電線(選択肢)を繋いで明かりを灯せるか、あらかじめ準備できている?」
と問いかけられました。
単に「これで失敗した」と終わらせるのではなく、どんな状況になっても成功へ持っていけるよう、参加者の感情や場の空気感まで含めてどれだけ多角的な可能性や別解を自分の中に用意して想像できているか。
PMとしての介在価値は、まさにこのイマジネーションの深さと準備力にあるのだと痛感しました。
世界を変える大それた話じゃない。「圧倒的な知的好奇心」が人生を180度変える
ーー マーサがこれほど情熱を持ってPM業務に向き合える「原動力」は何ですか?
格好良いことを言いたいところですが……私、本当にただの「知的好奇心」なんですよね(笑)。
「この人をもっと知りたい」「アトツギたちの挑戦の裏にあるドラマを知りたい」という純粋な欲求が一番のエネルギーです。
世界を変えるような大きな力は私にはないけれど、「知りたい」という原動力だけで飛び込んだこの世界で、アトツギのみなさんに少しでも新しい気づきを提供できているなら、こんなに嬉しい一石二鳥はありません。
それに、アトツギや地域のものづくりに関わるようになってから、自分の見えている世界が180度変わって、人生そのものがすごく豊かになったんです。
日常生活でハサミ一つ、お皿一つ使うにしても、「このハサミの背景にはどんな職人さんや素材のストーリーがあるんだろう」と想像できるようになる。映画の中に飛び込んだような面白さが毎日あります。
最後に:求職者の方へ
ーー 最後に、社団やPMの仕事に興味を持ってくれた方へメッセージをお願いします!
ここに飛び込んでくると、自分の知覚できる世界が本当に広がり、暮らしの解像度が上がります。それくらい魅力的な「人」や「地域の営み」に深く出会える場所です。
正解のないカオスな環境ではありますが、人の可能性を絶対に諦めない、本当に魅力的な仲間たちが待っています。
「人に興味がある」「地域にプラスになる選択肢を増やしたい」「自分の人生をもっと面白くしたい」と少しでも思う方は、ぜひ一度フランクにお話ししに来てください!