目次
故郷の衰退が原点。「産業の継続」が日本を変える
「本の衝撃」が人生の方向を変えた
温かい真剣さ。エコシステム構築を実感する日々
難しさと醍醐味。アトツギの「変革」を間近で見る
アトツギを「後継者」から「挑戦者」へ変える腕の見せどころ
日本を変える熱量を、地域に伝播させる
地方公務員として地域の衰退を目の当たりにし、中小企業診断士として現場の課題に向き合ってきたカッサーノ。なぜ、安定したキャリアを手放し、「アトツギ」というニッチながらも日本経済の未来を担う分野の支援に人生を賭けるのか?
異色の経歴を持つカッサーノが語る、地域変革の原動力となる「アトツギの熱量」、そして彼が社団で見つけた「温かい真剣さ」に迫ります。
故郷の衰退が原点。「産業の継続」が日本を変える
―― 公務員として安定したキャリアを歩む中で、なぜ「アトツギ支援」というフィールドに飛び込もうと思われたのでしょうか?最も大きな原動力は何でしたか?
私の地元は、炭鉱で栄えた福岡県大牟田市です。炭鉱の閉山とともに人口が急減し、通っていた学校さえなくなっていきました。幼少期から「これが日本の数十年後の未来なんだ」と感じてきたことが原点にあります。
地方の衰退をなんとかしたいと公務員になり、特に「産業があって仕事がある」ことが地域継続に不可欠だと考え、中小企業支援を希望しました。
その後、中小企業診断士を取得し、実務補習で企業を支援する中で、「これが自分の一番やりたいこと」だと確信したのが一つ。
そして、もう一つ大きな理由は、祖父の会社が従業員減で廃業したことです。自分は家業を継げなかった分、家業を次の世代に繋ごうと奮闘するアトツギの皆さんを応援したいという強い想いが湧きました。
「本の衝撃」が人生の方向を変えた
―― 転職のきっかけは、県庁の同僚だったマーティ(現・社団メンバー)の存在だったそうですね。
彼が県庁を辞めて人生を賭けて挑戦する理由が気になって、社団代表理事・ジル(山野千枝)が書いた本を読みました。その時、「日本の未来ってここにあるんだ」と衝撃を受けました。
本を読んだのがちょうど子どもが産まれたタイミングで、「自分の子どもに日本や、生まれ育った地域の良さを残したい」という親としての想いと、「アトツギの皆さんが家業を次世代に繋いでいく想い」が重なったんです。
当初は「外資系コンサル出身者など、すごい人ばかり集まったキラキラした組織で、自分には勤まらない」と思っていましたが、マーティが同期だったこともあり、相談を持ちかけました。話を聞くと、とても温かく、メンバーそれぞれの想いや考えを尊重する組織だと知り、面接に進むことを決めました。
温かい真剣さ。エコシステム構築を実感する日々
―― 実際に入社してみて、社団の組織文化やメンバーの雰囲気について、どのような印象を抱いていますか?
当初の「キラキラした組織」という印象はいい意味で裏切られました。
社団は、イングリッシュネームで呼び合うフラットな雰囲気があり、メンバー一人ひとりが温かいです。でも、ただ優しいだけではなく、事業については真剣で、アトツギの「エコシステムを構築する」というミッションビジョンバリューに向けて全員が動いているのを肌で感じます。
県庁時代は机に座って働くことが多かったですが、社団では色々な人と接する機会があり、ネットワークを広げていくなかで、ミッションの実現に向けて動いていることを実感しています。
難しさと醍醐味。アトツギの「変革」を間近で見る
―― 社団での仕事(アトツギ支援プログラム運営など)の中で、最もやりがいを感じる瞬間と、逆に難しさを感じる瞬間を教えてください。
最もやりがいを感じる瞬間は、各地のプログラムでお会いするアトツギの皆さんが、成長していく姿を間近で見られることです。
特に大分県のプログラム「GUSH!」の合宿では、夜も壁打ちをしたり、参加者と深く話ができ、アトツギが少しずつ変わっていく様子を垣間見れました。彼らが成長していく姿を見られるのが、この仕事の醍醐味です。
一方で、難しい点は、様々な考えや想いを持つアトツギや関係者がいる中で、皆さんの考えを尊重しながらも、プログラム全体が進むべき方向へ調整していく点です。
アトツギを「後継者」から「挑戦者」へ変える腕の見せどころ
―― カッサーノがアトツギ支援で最も大切にしている哲学を教えてください。
アトツギは、やるべきことが明確でも、論理ではなく感情的な理由で前に進めない時があります。また、元々「経営がしたい」タイプでない人も多く、チャレンジに慣れていない人がたくさんいます。
大半の理由が論理ではないので、「やればいいじゃん」と思ってしまいがちですが、大切なのはその状況に寄り添い、一歩踏み出す変化をサポートすることです。最初は嫌なことでも、回数をこなすと慣れたり好きになることがある。その変化を目の当たりにすると、心の底からアトツギの可能性を感じられます。
「頼りない」と思う後継者であっても、「アトツギ(挑戦者)」に変わるためにはどうすれば良いかを真剣に考えることこそ、私たちの腕の見せどころだと思います。
日本を変える熱量を、地域に伝播させる
―― 今後のビジョンと、アトツギの皆さんへのメッセージをお願いします。
社団の「エコシステムを作る」というミッションに向けて活動しながら、今後は一社一社、より深く支援できる能力も身につけたいです。そのためにも、ファシリテーションのスキルを高め、経営知識を深めるとともに、適切な人にアプローチできる人脈と行動力を高めていきたいです。
アトツギの皆さんの熱量は、本当に日本を変える原動力になると信じています。
アトツギの皆さんが、組織内や地域の誰かの困りごとに耳を傾けたり、会ったことがなかった人に会うよう外に出かけたり、小さなチャレンジを繰り返すことで、その熱量が地域の人々に伝播し、それが日本全体のプレゼンスや国力向上に繋がっていくと信じています。
一緒になって取り組んでいけたら嬉しいです!