こんにちは!医療AI推進機構、通称MAPIです。
MAPIでは、「医療AIが溢れる世界を創る」というミッションを掲げ、医療データの利活用を促進し、患者さん一人ひとりに最良のケアが行き渡る未来に向けて様々な分野で取り組みを行っています!
そんなMAPIの中では、どのようなメンバーが、どのような思いで働いているのか。
少しでもイメージを持っていただくために、メンバーにインタビューをしていきます!
【プロフィール】
菊地 智博/Director
新潟大学医学部卒(医師)、放射線診断専門医、医学博士(自治医科大学)、公衆衛生学修士(東京大学)。現在は自治医科大学データサイエンスセンターで講師として医療AI研究に従事。臨床医、研究者、公衆衛生学的な視点から日本でのAI普及に注力している。
目次
MAPIとの出会いと共通の課題感
医用画像の価値を最大限発揮する
専門と経験を活かしてデータマネジメントに取り組む
専門医の視点を持ちながら、ビジネスや技術の現場に関わること
MAPIとの出会いと共通の課題感
私自身はアカデミアで医療AIの研究をずっと続けているのですが、この分野に関心を持ったのは、AIの画像認識技術が飛躍的に進化していたという時代の流れがありました。私が放射線科医として働き始めた2016年頃、AIが花や動物の画像を高精度に識別し、「人間の認識能力を超えた」と話題になっていたのです。
技術の進化に強い衝撃を受けると同時に、AIへの関心が一気に高まりました。
しかし、研究で取り組んでいることと、実際の医療現場で求められているものとの間には、少し距離を感じてもいました。現場で本当に役立つAIとはどういうものか。それを実現するためには、どう医療データを活用すべきなのか。そうした問いを持ち続けるようになりました。
そんな時に目に入ったのが、Xでの島原さんの投稿です。
エルピクセル時代から島原さんの存在は目立っていましたし、関心を寄せていました。内容はMAPIについてと「医療データの利活用を進めるために、広く関わってくれる人を探しています」という趣旨であったと記憶しています。
当時、自分が感じていた課題と重なる部分も多く、何か一緒にできるかもしれないと思い、メッセージを送りました。研究で取り組んでいることや考えていることを伝える中で、問題意識を共有でき、MAPIで取り組む課題に近いと感じ、参画を決めました。
医用画像の価値を最大限発揮する
いま最も強く感じているのは、医用画像が持つ価値のポテンシャルが、現時点では十分に活かされていないということです。
AIを活用した研究により、画像検査から今まではできなかったような疾患リスクや予後の予測が可能であることが示されつつあります。画像検査は単に「ある疾患を発見・除外するための手段」にとどまらず、個人の健康情報を多面的に捉える機会になりつつあります。
しかし現状では、たとえば頭痛で受診して脳のCTを撮影したとしても、明らかな異常がなければ、その画像はそれ以上は何にも使われず、一定期間保存されたのちに廃棄されてしまいます。将来にわたって有用な情報が蓄積されているにもかかわらず、それが何の活用もされないまま施設内に眠っている、この現実にもったいなさと無力感があります。
今後、AIと医用画像によって新たに得られる知見はさらに増えていくでしょう。
そんなAIの開発や利用を促進するためにも、AIの学習や検証に活用可能な画像データを適切に収集・整備していくことが重要です。
専門と経験を活かしてデータマネジメントに取り組む
現在、MAPIではデータマネジメントやおよび情報収集・加工に関する業務フローの最適化に取り組んでいます。
どのような条件のデータがどこにどれだけ存在するかを把握し、それを効率的に収集・活用できるよう設計・整理することが主な役割です。ここでは放射線科医・研究者としての画像の取り扱いの経験が活かせています。
データの提供者・利用者の双方とコミュニケーションをとり、提供すスキームやニーズに応じて、目的別に最適な形式でデータを切り出すことも担当範囲に入っています。「取得・加工・活用」という全体プロセスを見渡しながら、持続的かつ柔軟に運用可能なフローの構築を進めています。
医用画像は極めてセンシティブな情報であり、その利活用には慎重かつ丁寧な設計が不可欠です。
MAPIでは、まずその土台を構築し、安全かつ有効に医用画像を活用するモデルケースを示すことを目指しています。次世代医療基盤法の枠組みにおいても、画像を中核に据えたロールモデルを具体化する責任があると感じています。
AIの進化は加速度的に進んでおり、医療現場における最適な実装のかたちはまだ見えていません。
ただ、多様な人材が集まるMAPIだからこそ、この領域の未来を方向づける役割を果たせると信じています。
専門医の視点を持ちながら、ビジネスや技術の現場に関わること
MAPIでの活動を通して強く実感しているのは、関わる人の専門性によって、医療AIに対する見え方が大きく違うということです。
医師同士の会話は、どうしてもそれぞれの専門分野に偏りがちです。
しかし、MAPIの中では、医療にとどまらず、ビジネス・制度・テクノロジーなど多様な観点から議論が展開されます。飛び交う言葉も、話の内容もまったく異なっており、「自分の中に別の辞書ができていく」ような感覚を覚えます。医師として臨床に向き合っているときと、MAPIで議論に加わっているときとでは、まるで異なるスイッチが入っているように感じます。
私の周囲には、医師としてスタートアップに関わろうとする人は多くなく、どう関わればいいかを相談できる相手も限られていました。今も手探りの部分は多いですが、それでも振り返ってみると、飛び込んで本当によかったと感じています。
もちろん、臨床に専念し、現場を支えている医師の姿勢には深く敬意を抱いていますし、社会的にも必要とされています。ただ私自身は、自分の課題意識や興味を起点に動いてみたことで、新たな視点や出会いに恵まれ、自分の役割を再確認することができました。
専門性を深めることと視野を広げることは、決して相反するものではないと今は感じています。
いかがでしょうか?
少しでも組織やメンバーについて、イメージを持っていただけたら嬉しいです。
興味を持っていただけた方は、ぜひお気軽に「話を聞きにいきたい」ボタンからご連絡ください!