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ECコンサルティングサービスへの思い(中編:起業〜経営方針の確立)

Photo by ZENG YILI on Unsplash

■メーカー企業

お客様はECをやっていこうとする、小売業者とメーカー企業と大きく分けて2つありました。結果的には今メーカー企業とのみお付き合いしていますが、理由としては、私自身との相性の問題だと思います。小売業者の社長は天才肌な方が多いです。私も人としては好きです。ただ事業の目的が、楽しむためとか、お金を持って遊ぶため、とか、そういう目的の方が多かったです。会社経営の目的として普通と言えば普通かも分かりませんが。私が30歳くらいの時、顧客の小売業者の社長と飲みに行った時、「君は良い車にも乗りたくなくて、良い女も抱きたくなくて、何のために会社経営やっているのか?」と言われたことがありましたが、その時に会社経営の目的が全く違うのだなと思いました。日本経済を良くしたくて会社経営をしている。というのは恥ずかしくてその時は言えませんでしたが。

そんな中、32歳の時に山本海苔店さんという海苔のメーカー企業から仕事を発注いただき、社長(当時は事業部長)と慶應義塾大学の同窓で同年代だったこともあり、経営に対する考え方を聞く機会が多かったです。初代から7代目までの歴史や海苔の育成の事まで、聞きすぎるくらい聞きましたが、大枠私が感じ入った点が3つ。1つ目は商品に対する情熱、品質に対する拘りを強く持っていること。2つ目は海苔業界や日本橋への地域経済への貢献の意識を強く持っていること。3つ目は短期目標だけでなく長期目標も追いかけていること。これだ!と思いました。共感できる部分が多く、こういった企業を支援することで日本経済活性化に寄与したいと思うようになりました。因みに後で調べましたが、日本の全産業の中で製造業は売上第1位、実に25%を占めています。実際に製造業を支援することが日本経済の活性化に寄与することも分かったので、自分の使命にも即しています。


■戦略

29歳の時に独立して数年が経って、会社経営も問題なく回っている中で、ビジョンや使命感を見失いつつありました。そんな時にある師匠に出会い、のめり込んでいったのが、100年経営研究機構という日本の長寿企業研究第一人者の後藤教授が代表理事をやっている組織と、新志塾というジョンソンエンドジョンソン社長など、大手企業で社長や副社長を歴任された新先生が経営の原理原則を教えてくれる経営塾です。どちらも32、33歳ころからの話です。これは社会に出て2度目の青春くらい楽しかったです。

後藤先生の講義は何度も聞きましたし、大学院的な全6回程度の講義も受講しましたし、韓国済州島で行われるアジアに向けた研究発表にも3年連続ついていきました。日本の長寿企業がなぜ続いているかを研究するので、江戸時代の石田梅岩から始まる経営理念の歴史とか、シャボン玉石鹸など、長寿企業が危機突破をしたケーススタディとか、数多くの事を学びました。

新先生の講義も何度も聞きました。2日で30万円くらいする新志塾を2度受講しましたし、地方の講演にもついていきましたし、本も何冊も買ってそのうち1冊をバイブルにしています。これは新先生がまとめた経営の原理原則を学ぶものです。経営者品質から始まって従業員品質、サービス品質、顧客満足、株主品質、業績、とループしていく、『黄金のループ』というのが教えの要になっています。理念的なことから実務的なことまで多くを教わりました。

この辺りで学んだことを会社経営にも多く生かしているのですが、新先生の教えの中で、『戦術の失敗は戦略で取り返せるが、戦略の失敗は戦術で取り返せない』というものがあります。彼は、「リーダーは戦略を定めること。戦術は理解できる必要はあるが、実行は部下に任せれば良い。」と言っています。これをECサイトに当てはめてみると、面白い発見がありました。EC業界というのは主にECサイトの運営者である、小売店、メーカー、またそれらを支援するコンサル会社、システム会社などの支援業者、がプレーヤーとして存在します。彼らが課題にしていることや議論していることが、全て戦術の話だということに気づいたのです。要するに、導線をどうする?とかLPをどうする?とか広告をどうする?とかメルマガをどうする?とか。全部戦術の話なのです。戦術の話は確かに重要だと思います。ですが、新先生の教え通りだと戦略の失敗は戦術で取り返せないはずです。また、楽天市場に出店している企業はほとんど赤字だとか、大半が売上作れていない、とかという話もありましたし、私も支援している中でそういった実感はありました。これって戦略が良くないのでは?と思うようになりました。

また、33歳の時にNINTというビックデータ分析システムと出会うことになります。今でこそ1000社以上の取引先があるサービスだそうですが、当時は販売してすぐ、中国支社からテレアポしてきていた時代でした。かなり怪しい感じでしたが、何となくピンときて、1年分先入金で支払い、契約をスタートさせました。これのお陰でECの市場を知ることができました。市場を知って競合を知って自社を知れば3C分析ができます。3C分析ができると、どの市場に参入すべきか、どういった商品を投入すべきか、他社とどういった差別化をすべきか、等の戦略を設計することが可能です。新先生の教えにも沿っています。うちの競合であるコンサル会社は皆、LP改善とか広告運用とか、その結果KPIがどうなったかという戦術のPDCAを回しているから、うちはどういう市場を攻めて、どういう商品で攻めて、どういう差別化で攻めて、その結果市場シェアがどう伸びたか、という戦略のPDCAを回してみようと思いました。

オンリーワンの手法なので、社員ですらなかなか理解するのが難しく、壁にぶつかる機会も多かったですが、結果としては、グラフィコ様から相談いただいた際は攻める市場、商品の変更を提案し、オキシクリーンという化け物商品の拡販に一役買い、結果上場されました。山本海苔店様でも海苔市場をセグメントして贈答で攻めて、少し高級な焼きのりを出して、お土産需要を攻めてとして、あれだけ高級路線のメーカーでも楽天内でシェア4位(確か)までいきました。丸上食品様では、EC用の商品がないところから始まり、価格や個数、差別化要素を考えて商品開発し、年商1億円を達成させました。中村屋様、紀文食品様、シオノギ様、マルサンアイ様、etc..戦略アプローチでV字回復、大幅伸長させた事例をたくさん作ることができました。

因みにこういった実績を持った後にメーカー企業の楽天サイトを見てみると、戦略をしっかり組み立てているなという企業に出会う確率は20社見て1社あるかどうかくらいです。ほとんどが戦略を組み立てられていません。恐らく戦術を頑張っているのかなと思います。


■厳選

そういったメーカー企業に対する営業アプローチとしてはテレアポがメインです。なぜテレアポをメインにしているかと言うと狙った企業にアプローチできるからです。我々は小さなコンサルティング会社です。でも使命は日本経済の活性化です。ではどうすれば良いか?大きな企業(メーカー)と組むことだと思っています。日本のメーカーは先述した通り日本経済の25%の売上、日本経済をけん引している存在です。日本のメーカー企業は優良な経営資源を持っています。すなわちヒト・モノ・カネです。戦略というのはヒト・モノ・カネを有効的に使って売上に繋げていく手段です。日本のメーカー企業はその他サービス業等に比べて生産性は高いです。すなわちヒト・モノ・カネが有効的に売上に繋がっています。一方ECに関しては先述の通り生産性が低い状況です。理由は戦略に課題があるからです。テレアポで、優良な経営資源を持っているが、ECの戦略に課題がある企業にアプローチし、戦略課題を解決し、売上向上につなげ、結果日本経済活性化に繋げるということをしたいため、テレアポをメインに活動しています。

1つEC進出において重要な点は、市場が全国に広がる分、競合が全国に広がる点です。地域で一番の饅頭屋とかはECでは太刀打ちできないのです。全国規模で見てもオンリーワンの価値を出せる商品がないとECでは戦えません。なので、そういった商品を持っている、もしくは開発する気力のある企業とのみお付き合いするので、そういった企業を探しています。

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