起業の原体験と幼少期の環境
私は栃木県宇都宮市で育ちました。父が半導体商社の経営者、母が家族を強く支える存在でした。「半導体で未来をつくる」という父の姿勢は、私にとって大きな影響を与え、自然と起業の道を目指すきっかけとなりました。両親は高卒でしたが、私にはより良い生活を提供したいという強い思いから、熱心に教育を支援してくれました。その結果、私は県内トップの進学校に進学することができました。
しかし、進学後は燃え尽きてしまい、大学受験でも失敗を経験しました。二浪しても志望校に合格できず、深い挫折感に打ちのめされました。周囲が名門大学へ進む中、自分が偏差値至上主義に縛られていたことに気づきました。
就職活動でも苦難は続きました。100社以上に落ちるという経験を経て、社会に対する自信を失っていた時、インターンで出会った起業家たちの姿に触れ、私の考え方が変わりました。彼らは、自らの挑戦を通じて未来を切り拓いていました。それが私の人生において大きな転機となり、起業家としての道を確信した瞬間です。
社会の課題解決を目指して
インターンの後、新卒でエスキュービズム社に入社し、営業会社の立ち上げなど様々な経験を積みました。しかし、仕事を進める中で「本当に社会に貢献できるのか?」という問いが頭を離れなくなりました。次に挑んだのは、日本美食(現TakeMe)でのインバウンドビジネス×フィンテックの決済インフラ構築です。この経験を通じて、社会課題の解決を目指すサービスを提供したいという思いが強くなりました。
そして2019年、私はKAENを創業しました。起業の理由は家族のため、そして自分自身が描くビジョンを実現するためでした。自己資金でスタートしたものの、コロナ禍が襲い、事業は厳しい状況に直面しました。それでも、私は情熱を持って銀行に融資を頼み込み、破格の条件で融資を得ることができました。この資金を元にプロダクト開発や仲間集めを進め、KAENは新たな未来に向かって動き出しました。
2年間売上が伸びず、人も離れていった先の快進撃
創業当初、エンジェル投資家の有安伸宏氏から出資を受け、私とCTO、そして社員1名の3人でプロダクトのPMF(プロダクト・マーケット・フィット)を進めていました。
しかし、2年間はほとんど売上が伸びず、支出超過の状態が続きました。会社のキャッシュも減少の一途を辿り、2020年7月にはCTOと唯一の社員が退職。私は一人きりで会社を運営することになり、正直なところ、オフィスで泣きました。「これで終わった」と思ったことを今でも覚えています。
しかし、その翌月、状況が劇的に変わりました。エンタープライズ企業が当社のプロダクトを本格的に使い始めたことで、売上が倍増したのです。既にプロダクトの基盤が整っていたため、その後は毎月、右肩上がりの急成長を遂げました。
SaaSベンダーのペインを解決する「TAAAN」の強み
私たちが提供している「TAAAN」は、完全成果報酬型の商談創出プラットフォームで、主にSaaSベンダーがクライアントです。現在、国内のトップベンダーの多くが当社のサービスをご利用頂いています。TAAANは、SaaSベンダーが抱える課題に対して効果的なソリューションを提供しています。これが、多くのベンダーに選ばれている理由の一つです。
TAAANでは、販売代理店の顧客データや実績を集積し、それを基にSaaSベンダーが本当にリーチしたい顧客にアプローチできる仕組みを提供しています。FacebookやGoogleのようなグローバルプラットフォームでは対応しきれない、SaaSベンダー特有の課題に対して効果的なソリューションを提供できる点が、我々の最大の強みです。この優位性が市場に認知され、急速に普及しました。
息を吹き返した組織とともに、第二創業期としてさらなる成長へ
2020年7月、人が去り、一人で会社を再建する状況に直面しましたが、その後も成長が続く中で「もう一度、仲間と共に挑戦したい」という思いが強まりました。そこから人の紹介を通じて新たなメンバーと出会い、2023年1月にはKAENが再び息を吹き返しました。
今後はプロダクトのリニューアルや事業の多角化を進め、第二創業期としてさらなる成長を目指しています。これからも多くの壁にぶつかることが予想されますが、一つひとつの経験から学びながら、全員が楽しく働ける環境を維持し、スケーリングしていく組織を作り上げたいと考えています。挑戦を続ける中で、私は「挑戦こそが人を成長させる」と確信しています。
KAENは、挑戦者の道を切り拓く企業であり続けます。
株式会社KAENでは、一緒に時代を変える産業に火をつける仲間を募集しています。