影響
「家が建つ前の基礎を見て、立ち止まった事がありますか?」
「その土地に建つ有名な建築物を中心に、旅行プランを立てることはありますか?」
私がそのような人間になってしまったのには理由があります。
私は、富士山の麓で大工を営む家で生まれ、小さいころから、建築物に携わる物に触れる機会がたくさんありました。休みの日には施工中の家や工場に連れて行かれて、手伝いをさせられたり、のこぎりや金槌(または玄能)を使って小さな箱を作って遊んだり、美術館や博物館に連れて行かれたりしました。
とても裕福とは言えない普通の家庭でしたが、今思えば特殊な家だな。と思うところがあります。
防音の部屋があり大きなスピーカーがいくつも置かれ、レコードを聴いたりカラオケができる部屋があったり、家中USENで音楽を流したり(廊下、お風呂、トイレまでも)・・・
当時は、やりたいこともあり同じ道へは進みませんでしたが、たくさん影響を受けて育ったことは確かです。
「伝統・造形物・自然」惹きつけられるものは、人によって違うと思います。
新しい街が作られる時の多様性や期待感、高層ビル群の夜景、無と化した廃墟。
私が惹きつけられ、行きたいと思う場所のキーワードは、伝統・造形物・自然です。
伝統のある建物はどこか懐かしさを感じさせ、自然を見ることで人は、癒し、リラックス、気持ちを落ち着かせるという心理効果が生まれ、精神的な幸福度が高くなります。
そこに、自然界では作られない造形物の直線が加わることで、美が生まれるような気がします。
人が生活していくために切り開いた自然に感謝しながら住まう事は、地球で共存していく上で重要なことでしょう。
息をしているように自然と共存した建物は、時が流れてもそこに調和し、いつの時代も新しさを感じる建物だと思います。
佐藤可士和展
半月ほど前に、新国立美術館で開催している『佐藤可士和展』に行ってきました。
誰もが見たことがある企業のロゴデザインから、店舗デザインまで手掛ける、日本を代表するクリエイティブディレクターです。
『佐藤可士和展』は本当に楽しかったです。写真撮影できる箇所がたくさんあり、刺激物が満載でした。
その中で気になったのが、佐藤可士和さんと手塚貴晴さん・由比さんご夫婦が手掛けた「ふじようちえん」でした。
手塚貴晴さん・由比さんご夫婦は、子供の為の空間設計を多く手がけています。
空の森クリニック
お二人の作品の中に、沖縄県久米島にある空の森クリニックがあります。
クリニックと言うと、白く硬いイメージの建物が浮かびますが、その考え方を覆すような建物で、行きたいと思って行ける場所ではありませんが、機会があれば見学したい場所の一つです。
一見、モダニズム建築のような、近代建築のような印象を持ちますが、内部は木材の柔らかい雰囲気で日が差すと明るく、温かみのある宿泊施設のような建物です。
建物には、その土地にある素材が使われ、沖縄の強い日差しに時折吹く心地よい風が感じられるような優しい建物です。
今回、別の目的で行った新国立美術館で素晴らしい発見ができて、こういう発見があるから美術館は楽しいんだな〜と改めて思いました。
住居だけでなく、保育や医療の現場にもデザインは大切な役割を担っているんですね!