「不動産プロのためのAIツールボックス」
この言葉を初めてサイトに載せたとき、正直まだ半信半疑だった。かっこよく聞こえるか、ではなく——本当にそれが、自分が作っているものの正体なのか、という確信が持てていなかった。
この記事は、そのコンセプトワードがどのように生まれ、なぜ今また「宅建コーチ」というより絞り込んだ言葉へと進化したか、その思考の変遷を正直に話すものだ。
■ 最初は「コンセプト」なんてなかった
サービスを作り始めたとき、私の頭の中にあったのは「これがあれば便利だ」という機能の断片だった。
宅建の勉強をしているとき、わからない問題をその場でAIに聞けたら——。
物件チラシを作るのに毎回1時間かけているなら、自動化できるはずだ——。
査定の根拠を毎回ゼロから調べるのは非効率だ——。
これらはバラバラな「不満の解決」として生まれた機能だ。最初から「不動産業界のDXを支援する総合プラットフォームを作ろう」などとは考えていなかった。
機能が増えるたびに、「これは何のサービスなのか」という問いが重くなっていった。
■ 「ツールボックス」という言葉との出会い
あるとき、ユーザーから届いたメッセージにこんな一文があった。
「このサービス、使える道具が全部入ってるんですね。まるで工具箱みたいだ」
工具箱。ツールボックス。
その言葉を読んだとき、何かがカチッとはまった感覚があった。
大工が現場に持っていく工具箱には、ドライバーも、ハンマーも、メジャーも入っている。ひとつひとつは単機能だが、それが揃っているから「何でも対応できる」という安心感が生まれる。不動産AIが目指していたのも、これだと思った。
チラシを作る道具、査定する道具、重説をチェックする道具、宅建を勉強する道具——それが一箇所に揃っている。「AIツールボックス」という言葉はユーザーから教わった言葉だ。
■ 「プロのための」という限定の意味
ツールボックスという言葉が決まっても、もうひとつ悩みがあった。誰のためのサービスか、という問いだ。
宅建受験者に向けて話すのか、不動産会社の営業担当に向けて話すのか、投資家に向けて話すのか。ターゲットが曖昧なまま「誰でも使えます」と言い続けていた時期がある。
しかしそれでは、誰にも深く刺さらなかった。
転機は、利用データを丁寧に分析したことだった。ヘビーユーザーの属性を見ると、不動産業に携わっているか、宅建合格を目指して独学しているか、そのどちらかに集中していた。「なんとなく不動産に興味がある人」はほとんどいなかった。
そこで「プロのための」という言葉を前に置くことを決めた。不動産を仕事にしている人、あるいはこれから仕事にしようとしている人——その人たちに向けて、真剣に届けようとする意志を示す言葉として。
「不動産プロのためのAIツールボックス」——この言葉はそうして完成した。
■ それでもまだ、届かなかった人がいた
コンセプトワードが決まって、サイトも整理して、ツールも増えた。にもかかわらず、あるユーザーセグメントへの届き方が弱いことに気づいた。
宅建を独学で勉強している人たちだ。
彼らは「不動産プロのための」という言葉を見たとき、自分のことだと思わない場合がある。まだプロではないから。資格も持っていないから。
しかし、サービスの利用データは逆のことを示していた。最もよく使われているのは、宅建学習機能だった。 毎日ログインして、問題を解いて、AI解説を読んでいるのは、まだ合格していない独学者たちだった。
「プロのための」という言葉が、最も熱心なユーザーを入口で弾いていたかもしれない——そう気づいたとき、コンセプトを見直す必要性を感じた。
■ 「宅建コーチ」への進化:絞ることで届く
長い検討の末に辿り着いたのが、「宅建コーチ」というブランドへのリニューアルだ。
「不動産プロのためのAIツールボックス」は広くて力強い言葉だった。しかし広さは、時に深さを妨げる。
「宅建コーチ」は狭い。宅建合格を目指す人のための、AIコーチ。それだけだ。しかしその狭さの中に、届けるべき人への真剣さがある。
宅建試験は毎年約25万人が受験し、合格率は17%前後。落ちる人の多くは、勉強量の問題ではなく、何をどう学べばいいかわからないまま時間が溶けていくという問題を抱えている。その問題に正面から向き合うコーチが、必要だと思った。
コンセプトワードは、ビジネスの看板ではなく、誰に何を約束するかの宣言だ。
「不動産プロのためのAIツールボックス」は機能の宣言だった。「宅建コーチ」はコミットメントの宣言だ。今日やることを一緒に決めて、合格まで伴走する——そのコミットメントを、言葉に込めた。
■ コンセプトワードは、ユーザーから学ぶ
最後にひとつ、言葉の作り方について思うことを書いておきたい。
「AIツールボックス」という言葉はユーザーから教わった。「コーチ」という役割は、何度もフィードバックを読む中で見えてきた。自分の頭だけで考えたコンセプトは、たいていどこかズレている。
使ってくれている人の言葉の中に、本当のコンセプトが眠っている。それを見つけるまでの時間と寄り道が、ブランドを作るということだと、今は思っている。
宅建コーチは、まだ進化の途中だ。
▶ 宅建コーチ(旧・不動産AI)→ https://www.takkenai.jp
#宅建コーチ #不動産AI #ブランディング #コンセプト設計 #スタートアップ #プロダクト思想 #宅建 #個人開発 #TakkenAI #不動産テック