ideaflow(アイデアフロー)|知財×AIでビジネスアイデアを生み出す共創プラットフォーム
ideaflowは、公開されている特許情報から、その技術を活用したビジネスアイデアを大量に作成するWebサービスです。生成AIを活用し、特許の要約とアイディエーションを瞬時に行います。
https://business.idea-flow.ai/
Konel創業3年目から現在までエンジニアとして活躍するJayさん。
実はデザイナーとして入社したそうです。今年6月に知財図鑑からリリースされたAIを使ったアイデア共創プラットフォーム「ideaflow」の開発者でもあります。そんなJayさんに、学生時代から今までのキャリアと、ideaflowにかける思いなどをお聞きしました。
── まずはJayさんの基本的なプロフィールを教えてください。
Jay:韓国のソウルで1988年に生まれました。高校卒業後、韓国の美大に入学し、産業デザイン学科で学びました。当時はプロダクトデザインが非常に注目されていて、携帯電話や車のデザインをしたいと思っていました。大学2年生の時に兵役に入り、約2年間軍務に従事しました。
── 兵役を終えた後はどんな状況だったのでしょうか。
Jay:兵役を終えたのが2010年の終わり頃で、iPhone4が登場しており、韓国のプロダクトデザイン業界にも大きな変化が起こっていました。特にiPhoneの影響で従来の携帯電話デザインの需要が減り、デザイナーの仕事が激減していました。それまで目指していたプロダクトデザインの道は厳しいと思い、自分の将来に対して改めて考えるようになりました。iPhoneの登場は多くの人の人生を良い意味でも悪い意味でも変えたと思いますが、僕もその一人ですね。
── プロダクトデザインへの道を諦め、どんな選択をしたのですか。
Jay:その頃、Web業界が盛り上がり始めていました。HTML5が登場し、Webサイトが動的に表示されるようになりました。また、iPhoneをはじめとしたスマートフォンの普及に伴い、UI/UXデザインの需要も高まっていきました。当時僕は人間工学やUI/UXデザインも学んでいたのでWebやアプリの業界を目指すのが良いかなと考えました。UXをよくするためには当時は動画で表現する必要があったので、Flashなど動画を作成するツールの使い方も身につけて、モーショングラファーになることを目指しました。
── 最初はエンジニアではなくモーショングラファーだったのですね。
Jay:そうです。広告やテレビ番組向けに、2Dのモーショングラフィックを中心に制作していました。そこで2年ほど働いた後、スタートアップに転職します。
── スタートアップでは何をしていたのですか。
Jay:まだ立ち上がったばかりの5人しかいないスタートアップで、ある製品のUI/UXデザインをしないかと誘われて。少人数だったので、実際にはデザインだけでなく、マーケティングやPRの写真撮影、Webサイトの構築や運用まで何でもやらなければなりませんでした。ここで「スタートアップはこうやって作るのか」ということがわかりましたね。1年半ほど頑張っていたのですが、家庭の事情により退職することになりました。
── それから日本へ?
Jay:そうですね。その頃プライベートでも色々あって少し疲れてしまって。その頃28歳だったので、ワーホリを使うラストチャンスだと思い日本に行くことにしました。結構働いていたのでその歳にしてはお金は持っていたので、日本に来ても遊び回っていましたね。京都、大阪、名古屋、福岡、長崎など周遊していました。
その時の状況を見て勇気のある選択を重ねてきたJayさん
── Konelとの出会いや入社のきっかけを教えてください。
Jay:日本でしばらく遊んでから、そろそろ就職するか大学院に行くかを考えるようになって、その時にKonelと出会いました。まだKonelが創業3年目で5人だった頃ですね。オフィスもまだ今の「日本橋地下実験場」に移る前の「馬喰町FACTORY」でした。 グラフィックデザイナーとして採用されたのですが、コーディングの経験もあったのでエンジニアリングもやってみないかという話になって。それで外部の講師を招いて社内で勉強会を始めたり、社内の荻野さんや玉井さんに教えていただきつつ、最初は簡単なWebサイト制作の仕事から始めていきました。そうしたらエンジニアリングの方が楽しくて夢中になっていったんです。
── 今Konelではどんな仕事をしていますか。
Jay:今はフルスタックエンジニアとして、主に「ideaflow」の開発に取り組んでいます。ideaflowは、アイデアの発想と整理をサポートするツールで、AIを活用して多くのアイデアを効率的に生成・整理することを目指しています。私はこのプロジェクトのテックリードとして、技術的な設計や開発を主導しています。
── ideaflowの面白さについて、ぜひJayさんの目線でお聞きしたいです。
Jay:ideaflowは、ブレインストーミングをサポートするもので、アイデアを大量に生み出してからAIで整理するという仕組みのプロダクトです。通常、人間がアイデアを生み出す過程では何もない状態から考えを生み出すのはとても難しいので、AIがそのプロセスを手助けしてくれるというものです。無数のアイデアを生み出していく「発散」と出たアイデアをまとめていく「収束」を繰り返しながら最良のアイデアを見つけ出す「ダイヤモンドプロセス」と呼ばれる手法がありますが、発散させるのが大変なのでideaflowがそこに役立てられたらと考えています。わかりやすく言うと「アイデアのビッグバンを起こす」という思想です。
まさに一番面倒なところをAIがやってくれる、AIの得意とするところを活用したプロダクトだと思います。人が手間取る部分をAIが補い、クリエイティブなプロセスに人が集中できるようにすることがあるべき姿だと思います。
ideaflow アイデア一覧ページ
── Jayさんがideaflowプロジェクトに参加したモチベーションは何ですか?
Jay:ideaflowで技術的なチャレンジをしてみたかったからです。私は元々、AI技術を活用して何か革新的なものを作りたいと考えていました。ideaflowは社会の課題をピンポイントで解決するようなサービスで、まさに「こんな開発をしたい」と思うようなものでした。 AIを使ったソリューションは今後ますます増えていくと思いますし、それに伴って特定の課題にフォーカスしたAI活用の要望も増えていくでしょう。そうしたニーズに応えるためのスキルを身に付けることが、私のモチベーションになっています。
── AIを活用したソフトウェア開発の利点について教えてください。
Jay:これまでPCに命令できなかったことが、簡単にできるようになったという点です。従来はプログラムでの命令が必要でしたが、大規模言語モデル(LLM)の登場によって、人にしか理解できなかったことがPCも柔軟に理解できるようになったのです。ChatGPTなど会話で使われていることが多いと思いますが、革新的な技術なのでプロダクト開発にももっと活用していかないともったいないですね。
── ideaflowでは具体的にどのようにAIを活用しているのですか?
Jay:ideaflowでは、LLMを使うことで、書かなくてはいけないプログラムの量を大幅に減らしつつ、より確実にタスクを実行することが可能となっています。また、本来であればユーザーがタスクを細かく分離し、都度命令をする必要があるのですが、LLMでは内部の仕組みが自動的に制御しながらタスクを行っています。ideaflowではとにかく多くのアイデアを出すことを優先しているので、短い時間で大量のタスクがこなせることが重要です。
ideaflow 特許一覧ページ
── 今後、ideaflowはどのように発展していく予定ですか?
Jay:今後、ideaflowはより多くのユーザーがアイデアに対してコメントを残し、シェアし合えるプラットフォームに進化させていく予定です。ユーザー間で意見を交換し合い、アイデアを発展させることができるような機能を充実させていきたいと考えています。また、無数に生まれたアイデアの中から、使えるものや価値のあるものを素早く見つけ出し選別するために、AIを活用したフィルタリング機能も追加したいです。
ideaflow AIエージェント会話画面(※現時点では開発中の機能となります)
── AI全体の動きについてはどのように見ていますか?
Jay:現在、大規模なモデルの開発は主に大企業が担っています。大規模な汎用モデルを作るのは非常にコストがかかるため、中小企業やスタートアップは特定の分野に集中する必要があります。例えば、DeepLは翻訳に特化しており、OpenAIとは直接競争しない戦略を取っています。ideaflowも、事業アイデアの創出に特化しています。
AIの話はいつまでも語ってくれそうでした。もっと色々教えてほしい…!
── Jayさんはこれからどんな人と一緒に働きたいですか?
Jay:意見をしっかり持っていて、それを率直に伝えてくれる人と一緒に働きたいですね。日本で働いていて感じるのは、意見を交わす場面で遠慮してしまう人が多いのではないかということです。意見をぶつけ合いながら、より良いアイデアや解決策を見つけていくプロセスはとても重要だと思います。Konelのチームはとてもオープンで、意見を率直にぶつけ合える環境です。 また、AI技術に興味を持ち、遊び心を持ってそれを活用できる人が良いですね。私ももっとそうなりたいと思っています。AIに対してすごい技術だと思い込み、難しいからと敬遠してしまうのは良くないです。AIが何なのかを真に理解を重ねた上でツールとして活用すれば、もっと面白いことができると思います。
聞き手・執筆:石原杏奈
撮影:七田千紗
現在、Konelではideaflowプロジェクトに参加するエンジニア(バックエンド、フロントエンド)を募集しています。AIを活用した革新的なアイデア発想ツールの開発に興味がある方はぜひ以下よりご応募、ご連絡ください。
ideaflow ウェブサイト:https://business.idea-flow.ai/