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旅館やホテルの事業再生について思うこと

株式会社一井の代表取締役、グッドハイブ株式会社の代表取締役をつとめる岡本匠です。現在株式会社一井では旅館の事業再生に一緒に取り組んでくれるメンバーを募集しています。

今回のストーリーでは、僕自身のこれまでのキャリアと旅館やホテルの事業再生にこれまで携わってきて感じたことをお話させて頂きたいと思います。

再生計画を机上の空論で終わらせないために

僕はアメリカの大学でホテル経営学部を卒業後、複数のコンサルティング会社のホテル専門チームの一員として不良債権となった旅館・ホテルの事業価値評価や運営改善プロジェクト、新規開業計画の作成など計100件ほどのプロジェクトに携わりました。

コンサルタントとして客観的な立場から、企業の状況を分析したり、改善の方向性を提案するレポートを作成したり、改善収支計画を作ったりする実務を6年ほど経験し、その後、運営・事業再生の現場に移ってから13年ほど経ちます。

運営においては、経営難のスキー場併設ホテル、地方都市のシティホテル、青森のビジネスホテル、閉鎖旅館の再生など、責任者またはそれに準ずる立場で再生現場に携わってきました。

上手くいった事例もあれば、うまくできなかった案件もある中で、一つ確実に言えることは、客観的な視点で作成された再生計画がどれだけ論理的で的を得ていようとも、それを再生現場に落とし込んでアクションを実行していく人材がいなければ、まったく何も進まないということです。言い換えると、事業再生計画は現場でそれを担う人がいなければ、絵にかいた餅にしかなりません。

ハチャメチャな再生現場の実態

僕自身、投資家やオーナーの視点で計画を作る側と、実行する側の両方の経験を持っていることが自分のキャリアの強みであると自負しており、だからこそ、宿泊施設の再生という課題をライフワークにしているわけですが、単純にどちらがしんどいかと聞かれれば、運営現場のほうだと即答します。

運営現場では毎日いろいろなことが発生します。とくに再生現場では通常の企業ではあり得ないこともおこります。

たとえば...

  • スタッフに業務の指示をしても返事だけでやらない
  • 自分の都合で勝手に職場を離れて喫煙しに行く
  • 備品が壊れていても報告しない
  • お客様の目につくところに段ボールが放置してあっても気にならない
  • フロントが散らかっていても気にならない
  • 何年前の物かわからない張り紙が貼りっぱなし
  • 厨房が異常に汚い
  • 水漏れしていても修理しない
  • 冷めた料理を平気で出す
  • 欠けたお茶碗を平気でお客様に出す
  • 売れば売るほど赤字になる商品を販売している

など、これ以外にもエピソードは山ほどあります。

もちろん、一言で再生現場と言ってもその企業状態に程度の差があると思いますが、僕らが考える事業再生案件というのは、商売がうまくいかず、借金を約束通りに返すことができなくなり、金融機関の支援を受けて、それでも立ち直れずにいる宿泊施設です。

その状態まで行きつくと、転職できる人は早々と辞めているでしょう。会社には設備投資に回すお金もなく、従業員が修理や必要な物品購入を上申しても梨の礫。その結果、従業員は言うことすらあきらめて何もやらない無気力状態になります。もしかすると、給与の遅延などもあるかもしれません。

こんな背景が、多かれ少なかれどこの再生現場でもあるので、従業員だけが悪いのではありません。きちんとトレーニングや研修をして従業員を育成してこなかった会社にこそ大きな責任があります。

どん底からの脱却にしかない楽しさややりがい

借金をどうするのか、旧経営者の経営責任をどうするかは、弁護士や会計士、金融機関やファンド等の支援に委ねるとして、僕らは、そこまで至ってしまった宿泊施設の運営を立て直すことを仕事としています。

従業員の中には、いままでの無気力な状態から抜け出せず、ずっと反発を続ける人、俗にいう抵抗勢力がいる一方で、それまで大変な状況にあったけれど体制が変わったとたんに力を発揮する人や、チャレンジ精神を持ち合わせている人もいます。

このような環境の中で、数値計画をアクションプランに落とし込み、スタッフの信頼を得て、みんなと一緒に一つ一つ改善を積み上げていく本当に骨の折れる仕事ですが、これがまた、やりがいがあって面白い!人はいつでも成長できる可能性を持った生き物だと思います。しばらく無気力だったとしても、ちょっとした気づき次第で、どんどん成長する人も出てきます。

新体制にジョインしてくれる仲間を募集中

一井の事業を引き継いで代表に就任した2021年8月以降、料理長やゲストサービスマネージャーをはじめ旅館再生に対して同じ志を持つメンバーが新たにチームに参画してくれています。

弊社では、飲食や宿泊現場での実務経験がある無しに関わらず、人と話すことが好きでコミュニケーションに長けている人を求めています。もちろん、新卒の方もウェルカムです。

僕自身、一井の代表として弊社の再生に全力を尽くしている傍ら、代表を兼務するグッドハイブ株式会社では、新たな事業再生の取り組み案件を探しています。まずは、一井の運営を軌道に乗せ、培ったノウハウを持って新たな再生案件にチャレンジしていきたいと思います。我々のチームに興味がある方、ぜひ、コンタクトしてください。お待ちしています。

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