1. 人類発の「発明」から、古代の「基軸通貨」へ
リディアのライオンとアテナイのフクロウが語る富の歴史
今から約2600年前、人類の歴史を決定的に変える「小さな発明」が現在のトルコ西部で産声を上げました。それが、世界最古の鋳造貨幣、リディア王国のエレクトラム貨です。
「重さを量る」から「刻印を見る」時代へ
それまでの世界では金や銀の塊をその都度天秤で量り、取引していました。しかしリディアの王は、天然の金銀合金(エレクトラム)を一定の重さに整え、そこに王家の紋章である「ライオン」を刻みこんだのです。
この刻印こそが「この金属の質と重さは国が保証する」という目印、人類初のコインでした。いちいち天秤を出すことなくライオンの刻印を見るだけで商売ができる!このスピード感が人類の経済活動を爆発的に加速させてのです。
2. 都市の誇りを刻んだ「アテナイのテトラドラクマ」
リディアで生まれたコインの文化は海を越え、古代ギリシャの都市国家(ポリス)へと伝わります。その中で最も広く流通したのは民主主義の故郷・アテナイが発行した「テトラドラクマ銀貨」でした。
このコインにはアテナイの象徴、女神アテナとフクロウが刻まれています。
知恵と戦いの女神・アテナは都市アテナイの守護神であり、コインにその肖像を刻むことは「神の加護を受けた都市」であることを示していました。
アテナイの使いであるフクロウは「知恵」の象徴、背後にはオリーブの枝(平和と繁栄)が描かれています。
では当時、この銀貨(重さは約17グラム)で何を買うことができたのでしょうか?
このフクロウのコイン・1枚は現代の価値に換算すると約10万円から12万円相当、熟練の職人が4日間、あるいは軍艦などの大きな船の漕ぎ手が4日間、命懸けで働いてようやく手に入る1枚。これがあれば家族・4人が1ヶ月食べていけるだけの小麦を買うことができ、あるいは高級な毛皮付きのマントを仕立てることができました。
アテナイはこのフクロウの銀貨を大量に発行し、地中海全域の貿易を支配しました。リディアのライオンが「利便性」を生んだとすればアテナイのフクロウは「ブランド」を生んだのです。
2000年以上も前の人々が手にしていたこの銀貨。実は今でも手に取ることができます。是非一度、ワールドコインズ・ジャパンに遊びに来てみませんか?