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リヴリーチームが大切にしていること

※この記事は2021年1月12日に「cocone Designer」noteに掲載された記事を再録したものです。
※一部誤字脱字、表現などを修正しています。
※数字等記載内容は元の記事の掲載時のデータであり、イベント等については終了している場合があります。

少し遅れてしまいましたが、皆さん明けましておめでとうございます!
まだ始まったばかりのcocone Designer noteですが、2021年もよろしくお願い致します。

今回は、昨年ココネが著作権を取得をしたサービス『リヴリーアイランド』の生みの親でもあるデザイナーのツチヤさんから、過去の体験をもとにチームが大切にしていることについてお伺いしました。

“リヴリー”とは、錬金術によって生まれた不思議ないきもので、中世時代に絶滅したのですが、独学生物学者ミュラー博士の力で現代に蘇りました。
箱庭ほどの小さな島“アイランド”の上で飼うことができ、昆虫を食べて宝石のうんちをします。

そんな『リヴリーアイランド』は、前身の『Livly〜不思議なペット〜』から合わせると17年つづいたオンラインサービスのタイトルで、一昨年末、その歴史に幕を閉じました。
しかし、2020年、権利をココネが譲り受け、新たに生まれ変わることがアナウンスされました。

『Livly〜不思議なペット〜』は、もともとミュラー博士と共に、開発者2人、デザイナー2人(内のひとりが私です)で立ち上げたタイトルなのですが、『リヴリーアイランド』になって6〜7年程した時に、訳あってミュラー博士以外が離れることになりました。

それから10年経ち、現在ココネに務める私は、また『リヴリーアイランド』に携われることになり、本当に感動しています。

リヴリーと離れていた10年間、私は恵まれたことに、いくつものキャラクターや世界観のデザインに関わることができたのですが、一貫して大切にしてきていることがあります。
今回はそのお話をしたいと思います。


一言にすると「自分(たち)がつくったものを世に出す責任」です。

特に、キャラクターという存在は、人から愛着や愛情といった気持ちをいただき生きられる存在。
ますます、つくり手としての責任を感じます。
私は、チームメンバーと2つの約束をしました。

1.終わりが来た時、人の気持ちを無下にした閉じ方はしないこと。
2.常に「なんとなく」つくったものを出さないこと。

1は、リヴリー以外のこれまでの仕事でも各クラアントにお願いしてきたことで、プロジェクトがはじまる段階でお話します。
リリース前に話すのはおかしなことと思われるかもしれません。
不吉な気配が漂ってしまいますし……
実際、相手はポカーンとした表情をされます。
ただ、これには事前に話す意味があります。

大概のサービスは突如閉じられるもので、それは当たり前のことで、終わるサービスに余計なコストはかけられないからで……であれば、そうなる前に準備ができるように。
そして、お客さんやファンのみなさんとの信頼関係をできる限り壊さないように。
次のタイトルにまた期待してもらえる関係を築くことが必要と思うからです。

2は、大切な相手に食べてもらう料理と考えるとわかりやすいかもしれません。

スープをつくったとします。
具材? なんだろう。
味付け? よくわからない。

そんなスープは、相手は怖くて飲めません。

つくり手なりに一生懸命つくってはいるのですが、実はよく考えていなかったりで、なんとなくだったということが意外とよくあるのです。

翼の絵を描く。
しかし、実際に鳥の翼を見たことも研究もしていない。
誰かが描いた翼を頼りに、そういうものだと描いてしまう。

椅子を描く。
何製なのか、木製ならば何の木なのか。
決めずに謎だらけのものをどうして描けるのか。

文字を改行する。
スペースのはじっこの方まできたので、
特に深く考えずに次の行へ送っただけ。

実は、この最後の改行の話は、私自身がデザイナーとして駆け出しの頃にやってしまったことです。
その時にたいへんお世話になっていたアートディレクターさんにこう言われました。

「死ねば?」

脳天から全身へビリビリー!!と電撃が走りました。
そのアートディレクターさんは、普段とても温厚な方で、企業などに就職したこともなくフリーランスの道を歩んでいた僕の面倒をよく見てくださる、優しさのかたまりのような方なのです。
そんな方からの衝撃の一言。
目が覚めました。
プロのデザイナーの仕事とは、こういうことだと。
なんとなくつくったものなど人様のもとへは届けられない。
思考停止していた自分を恥じました。

(何年も経ってご本人にその話をすると「僕はそんなこと言わないよ〜」とおっしゃっていましたが……)

それからお守りのようにして、その言葉を胸にしまっています。


一見なんだかハードな話に聞こえるかもしれませんが、実際なんとなくをやめてものづくりすると、デザイナーにとってもハッピーなことが訪れます。

なんだかわからないものをなんだかわらかない状態で描いている時よりも迷いがなくなり制作スピードが上がりますし、モチーフやコンセプトへの理解を深めると意外な発見やアイデアにつながることが多々あります。
そして、ファンの方などから、つくったものに関して質問された時に、あれやこれやとお話できて、しかも喜んでいただけたりなんかすると、とても楽しいです。

(もちろん、なんとなくで素晴らしいものをつくれる方もいます。ただそれは、ズバ抜けた感性やセンスを持っていたり、その人にとっては何気ないことでも、他者からすると膨大な知識や経験を日々吸収している結果のものごとだったりするように思います。)

「責任」という言葉は重く感じるかもしれません。
しかし、つくり手にとっては「お守り」にもなるものだと思います。
僕にとってのあの例の一言と同じく。

今日も胸にしまったこのお守りを握りしめ、少しでも早く新たなリヴリーをみなさんのもとへ届けられるよう『リヴリーアイランド』の世界をつくり進めています。

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