Check Innはこの度、シリーズAラウンドにて資金調達を実施いたしました。
創業以来、私たちは宿泊業界の課題に向き合いながら、プロダクトの開発と提供を続けてきました。
その過程で見えてきたのは、想像以上に複雑で、簡単には変わらないオペレーションの構造と、その裏側にある本質的な課題です。
オールインワン型のプロダクトを通じて、宿泊施設の基幹業務に入り込み、オペレーションそのものを変えていくこと。
それは決して容易な挑戦ではありません。
それでも、この領域に向き合い続ける中で、私たちは確信するようになりました。
この構造を変えなければ、宿泊業界の課題は本質的には解決されないということを。
今回の資金調達は、これまで積み上げてきた基盤の上に立ち、宿泊業界のオペレーション変革をさらに推し進めていくためのものです。
本記事では、その背景にある考えと、これから取り組んでいく領域について、代表・田中の言葉を通じてお伝えします。
代表プロフィール
Check Inn株式会社 代表取締役CEO
田中 健太郎
横浜国立大学理工学部在学中に休学し、スタートアップのエンジニアとして実務経験を積む。その後、Pricing Studio株式会社の共同創業エンジニアとして会社の立ち上げおよびサービス開発を担う。卒業後、楽天株式会社を経てCheck Inn株式会社を創業。
2024年、B Dash Camp Fallにて企業賞を最多受賞、ICCサミットKYOTO「DX CATAPULT」では3位に入賞。
宿泊業のより深いオペレーション課題の解決に向けて
── 今回のシリーズA資金調達をどのように捉えていますか?
今回の資金調達は、次のフェーズに進むための意思決定だと考えています。
これまでCheck Innは、宿泊施設の基幹となるシステムの構築に取り組んできました。
予約、在庫、料金、顧客管理といった分断されていた業務を一つにまとめ、現場のオペレーションを支える土台を整えるフェーズです。
プロダクトの機能も段階的に拡張してきたことで、対応できる施設の幅も広がってきました。
いわば、基盤となるプロダクトが整ってきた段階にあります。
今回の資金調達は、この基盤の上に蓄積されたデータを活用し、宿泊施設の経営改善や人手不足の解消といった、より深いオペレーション課題の解決に踏み込んでいくためのものです。
当社においては、プロダクトの提供範囲を広げるだけでなく、データを起点とした本質的な課題解決に取り組んでいくフェーズに入ったと考えています。
今後は、プロダクトを広げるだけでなく、業界のオペレーションそのものを変えていくフェーズに入っていきます。
現場に入り込んで見えてきた、宿泊業界の複雑さ
── 現在向き合う業界においてどのような難しさを感じていますか?
宿泊業界のオペレーションは、想像以上に複雑だと感じています。
予約や在庫管理といった一部の機能だけで完結するものではなく、部屋割りや清掃、レストランとの連携など、多くの業務が密接に関係しています。
さらに、それらのオペレーションは施設ごとに異なり、プロダクトとして一律に設計することの難しさがあります。
実際にオペレーションを理解するために、旅館に住み込みながら業務を見させていただいたこともありましたが、その中で印象的だったのが、フロントには1〜2名しかいない一方で、バックヤードでは複数人がパソコンに向き合って作業している状況です。
業務が分断されていることで、管理や連携に多くの工数がかかっている。
この構造を変えない限り、本質的な課題解決にはつながらないと感じました。
また、コンセプトに共感して導入いただいた施設においても、実際の運用では、長年使われてきた既存システムに含まれる機能とのギャップが課題になるケースもありました。
現場の視点で見ると、既存の機能だけでは十分とは言えず、個別に手動対応が必要となるオペレーションも多く存在しています。
そうした状況に向き合う中で、宿泊業界における難しさは、単に機能を実装することではなく、現場ごとに異なるオペレーションにどのように適合させるかにあると感じています。
本質的な課題解決に向き合うために
── なぜオールインワンにこだわるのでしょうか?
宿泊業界の課題を見ていく中で、部分的な機能改善だけでは、本質的な解決にはつながらないと感じています。
例えば、予約管理や料金設定など、個別の業務を効率化するツールはこれまでも存在してきました。
一方で、それぞれが分断されていることで、管理や連携の負担が増え、現場のオペレーションはむしろ複雑になってしまうケースもあります。
実際に現場に入り込んで見えてきたのは、業務そのものではなく、業務同士のつながりに課題があるということでした。
フロントには1〜2名しかいない一方で、バックヤードでは複数人がパソコンに向き合って作業している。
その多くは、分断された業務やデータをつなぎ合わせるための作業に費やされています。
この構造のままでは、個別のSaaSを導入したとしても、管理することにとどまり、実際に人手が減るところまではつながりにくいと感じています。
だからこそ、基幹となるデータを一元化し、業務全体を通して設計する必要があると考えています。
その上で、データを起点に業務の流れそのものを最適化し、これまで人が担っていたアクションを、プロダクトやAIで代替していく。
人手不足が深刻な宿泊業界においては、単なる効率化ではなく、「実際に人が減る」レベルまで踏み込むことが重要です。
難易度は高いですが、このアプローチでなければ本質的な課題解決にはつながらない。
そう考え、オールインワンという形で基幹システムから取り組んでいます。
日本の観光産業を支えるインフラを変えていくために
── 今、このタイミングで挑む理由について教えてください
観光産業は、日本にとって外貨を獲得しうる重要な成長産業です。
2030年に向けてインバウンド拡大の目標が掲げられるなど、国としても大きな転換点を迎えています。
一方で、宿泊施設の現場では人手不足や非効率なオペレーションといった課題が依然として存在しており、このままでは需要の拡大に十分に応えきれない状況です。
だからこそ今、業界全体のオペレーションを見直す必要があると感じています。
加えて、AI技術の進化も大きな転機です。
これまでソフトウェアは業務を「管理する」役割にとどまっていましたが、AIの登場によって、業務そのものを代替・最適化することが可能になりつつあります。
その前提となるのが、基幹システムに蓄積された一次データです。
どのような業務が、どの順序で、どのように行われているのか。
そのデータを持っているからこそ、業務の流れそのものを再設計し、より効率的なオペレーションを実現することができます。
このタイミングで、基盤となるデータを押さえ、業界全体のオペレーションを再構築していくことができれば、将来的に観光産業のインフラとなりうる可能性があると考えています。
日本の観光資源や文化といった強みを活かしながら、持続可能な産業として発展させていくためにも、今このタイミングで挑戦する意義は大きいと考えています。
人手不足を解消するプロダクトへ進化させるために
── 今回の資金調達で注力することについて教えてください
これまでの取り組みを通じて、プロダクトとしては小規模から中規模の宿泊施設に対応できる基盤が整ってきました。
今後は、この基盤をもとに、大きく二つの領域を強化していきます。
一つ目は、AIを活用したプロダクトの進化です。
基幹システムに蓄積されたデータを活用し、AIによって業務そのものを最適化していく取り組みを強化していきます。
単なる効率化にとどまらず、人が行っていたアクションそのものを支援・代替していく「System of Action」の実現を見据え、プロダクトの提供価値をさらに拡張していきたいと考えています。
現在は、宿泊施設における実運用を想定したPoC(実証実験)も進めており、実際に人手不足の解消につながるレベルまでオペレーションを変革していくことを目指しています。
特に宿泊業界では、人手不足に直面している施設が多い一方で、ITツールを十分に使いこなせていないケースも少なくありません。
そうした現場においても、意識せずとも業務が最適化されるような仕組みを提供していきたいと考えています。
また、これまで難易度が高いとされてきた中小規模の施設においても、実際に人が減るレベルまで踏み込んだ課題解決を実現していきたいと考えています。
二つ目は、事業拡大および顧客提供価値の強化です。
これまではインバウンド中心の成長でしたが、今後はアウトバウンド施策やウェビナー、パートナー連携などを通じて、より能動的に市場へ展開し、プロダクトの価値を届けていきます。
また、宿泊施設ごとのオペレーションや課題により深く向き合いながら、導入から活用まで一貫した支援を強化していきます。
特に中規模以上の施設に対しては、よりオペレーションに入り込んだ支援を行うことで、提供価値の最大化を目指しています。
今後は、より多くの宿泊施設に価値を届けながら、宿泊業界全体のオペレーション変革を推進してまいります。
また、人手不足によって事業継続が難しくなっている宿泊施設に対し、事業承継を支える仕組みづくりにも取り組んでいきたいと考えています。
今後1年は、AIの進化とともに業界の構造も大きく変化していく局面にあると見ています。
その中で、実際に人手不足を解消できるプロダクトとしての価値を確立していくことが、次のフェーズに向けて重要になると考えています。
難易度の高い課題に向き合い、産業を変えていくことに挑戦したい方へ
── どのような方と一緒にこの挑戦を進めていきたいですか?
Check Innは今、事業としても組織としても大きな変革期にあります。
これまでは、宿泊施設の基幹システムを構築し、オペレーションを網羅することに注力してきました。
そして今、蓄積されたデータを活用することで、実際に現場のオペレーションを変えていけるフェーズに入りつつあります。
一つの産業の“当たり前”が変わるタイミングに、まさに立っていると感じています。
宿泊業界は、構造的に複雑で、解決されていない課題も多い領域です。
だからこそ簡単ではありませんが、本質的な課題に向き合い、変革を起こすことができれば、産業そのものに大きなインパクトを与えることができます。
特に観光産業は、これからの日本を支える成長産業の一つです。
その現場のオペレーションを変えていくという挑戦は、決して小さなものではありません。
まだ完成された会社ではなく、これから一緒につくっていくフェーズだからこそ、担える役割も大きいと思っています。
難易度の高い課題に向き合いながら、産業そのものを変えていく。
その過程で、プロダクトを通じて本質的な価値を生み出すことに向き合っていきます。
こうした挑戦に面白さを感じられる方と、ぜひ一緒にこのフェーズをつくっていけたら嬉しいです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
宿泊業界のオペレーションは、依然として複雑で、簡単に変えられるものではありません。それでも、その構造に向き合い続けることでしか、本質的な課題は解決できないと考えています。
今回の資金調達は、その挑戦をさらに前に進めるための大きな一歩です。
私たちは今、業界の当たり前を変えていくフェーズに立っています。
この挑戦をともに前に進めていく仲間を、Check Innでは募集しています。
少しでもご興味をお持ちいただけた方は、ぜひエントリーいただけますと幸いです!