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“異端児”になれる場所だからおもしろい。ソニーで27年→キャディCTO室長就任

ソニーで27年間、AIBOやプレイステーションなどを手掛け、2度の海外赴任や大規模アジャイル開発の経験を通じて、グローバルなチームをスケーラブルに動かすための仕組みに精通している佐藤健一さんが、2021年1月にCTO室長としてキャディに入社しました!

大企業に所属しながら事業の立ち上げに挑み続けてきた佐藤さんは、同じ仕事をし続けることに満足しないタイプ。熱い想いを胸にソニーを飛び出し、前職で初めてスタートアップを経験。

豊富な経験を持つ佐藤さんがいまキャディで取り組んでいることや、今後の展望をインタビューしました!

ソニーの歴史とともに歩んだ27年間

――佐藤さんは長くソニー株式会社に勤めていらっしゃったんですよね。

27年くらい在籍していましたが、自ら希望して5,6年に1度、異動をしていました。最初は本社研究所でLSI設計支援としてソフトウェアの開発をし、その後はベルギーのブリュッセルに異動して、組み込み用のデバイスで使用するOSの開発をしていたんです。主にネットワークのソフトウェアに携わり、ペットロボットのAIBOに搭載するネットワークアプリケーションも開発していました。

2002年に帰国し、今度はDRMというデジタルコンテンツの著作権を保護する技術の開発を。ビデオやDVDプレイヤー、プレイステーションにその機能は搭載されました。

その後は、アメリカ・サンディエゴでプレイステーションのネットワークサービスに取り組むチームにソフトウェアアーキテクトとして赴任し、プログラムマネージャーにもなりました。このプログラムマネジメントとは、作ったものをきちんとリリースするためにコーディネートするのが役割。2012年に再度帰国してからは、当時日本になかったこの仕事を根付かせるためにチームを立ち上げました。

2016年から最後の2年間は、カルチャーの異なる日本のソニー・コンピュータエンタテインメントとアメリカのネットワークチームが一つになった「ソニー・インタラクティブエンタテインメント」という会社において、両社のプロセスやツールをすり合わせるプロジェクトをリードしていました。

――すごい実績ですね!ソニーでの経験で心に残っていることは何ですか?

長く在籍していたのでたくさんあります。なかでも面白かったのは最先端の技術を扱っていたAIBOですが、大変だったのはDRMの開発。機能として華々しいものではありませんが、これがないと映像配信ができません

当時、社内に著作権法技術の専門チームがあり、そこに所属して開発を進めていました。しかし会社の方針で、違う技術を他社と共同で開発することになって。

これはソニーがよくやる手法なのですが、要は同じ目的のものを2つ作るんですよ。そうなると、社内に競合チームができるわけです。

――それはどういう目的なのでしょうか?

デバイスによって棲み分けをするためです。同じ目的のものでも、開発するメンバーや手法が違えばそれぞれ個性を持ったものができますからね。

ソニーには、そもそも技術力が高い人が集まっています。例えば誰かが「自分の技術が一番だ!」と、すでに開発中のものと違うものを自発的に作り出しても、会社側はあえて止めないんですよ。

作られた2つのうち、片方がお蔵入りすることもあれば、両方が日の目を見ることもあります。DRMの場合は、両方が日の目を見ました。

大企業からスタートアップへ

――その後、楽天株式会社に転職なさったんですよね。なぜですか?

転職を考え始めたのは、プレイステーションの仕事が終わった2015年ごろでした。ソニーでの仕事は面白かったのですが、できることをやり尽くした感じがあったんですよね。ソニーという大きな会社に所属しながらも、私が携わってきたことは事業の立ち上げばかりだったので、またそういう仕事がやりたいな、と。複数選択肢があった中でも楽天を選んだのは、グローバルな環境で働きたいという気持ちが強かったからです。

楽天では、インターネットショッピングモール「楽天市場」内で店舗運営している顧客が使うシステムを刷新するプロジェクトのプログラムマネージャーを担っていました。けれど働いているうちに、やっぱりスタートアップで一度は働いてみたいという気持ちがふつふつと湧いてきてしまって(笑)。楽天での仕事も面白かったんですけどね。

そのタイミングで事業者向け暗号資産ウォレットを開発するフレセッツ株式会社に声をかけていただいたので、「こういうのがやりたかったんだよ!」と喜んで参画しました。

――これまでの大企業とはかなり環境が異なると思いますが、一番の違いは何でしょうか?

一人ひとりの裁量と影響力ですね。大企業はシステム自体も大規模ですから、大人数で開発やメンテナンスをします。そのため優秀な人が集まっているけれど、一人ひとりが携われる範囲に限界があるんですよ。

一方フレセッツは20人規模の会社で、一人ひとりが多くの領域を担当します。しかも自分が作ったものを使ってくれているお客様と直接話せて、フィードバックもあるという、“わかりやすさ”が心地よかったですね。

しかし当時は仮想通貨業界のビジネス状況があまりいい状態ではなく、売上が思うように伸びないという悩みがありました。本当はもっと人材を投入して様々な開発をし、より多くの方々に価値を届けたいのだけど、思うようにいかない。

そういうジレンマを抱えていたときに声をかけてくれたのがキャディだったのです。

「全然違う」からこそ、バリューを出せる

――キャディを最初に知ったときは、どのような印象を受けましたか?

技術的に尖ったことをやっている会社だな、と。最先端でチャレンジングな技術を選択しているのが面白いなと思いました。実際に面談で最高技術責任者の小橋さんと話したら、しっかりと正面からシステム作りに取り組んでいることもわかり、非常にポジティブな印象を受けました。

――入社の決め手を教えてください。

実はキャディと最初の面談をした頃、ほかの会社からもオファーをいただいていました。条件もよく、やりがいもありそうだったので、その会社に決めようと思っていたんです。その旨をキャディに連絡したら、人事部の方から「すぐに面談(面接)の機会を設けますから、少し待ってください」と。

なんと数日後の夕方にはそれ以降の全ての面接を行ない、次の日にはキャディのオフィスでオファー面談を受けていたという(!)

機動力がすごいですよね。このスピード感がスタートアップだなと感心しました。

そこからは本当に悩みましたね。週末に吐きそうなくらいに悩みました(笑)。

そして、実は翌月曜日にお断りのメッセージをお送りしたんです。そうしたら、移動中だったにも関わらずすぐに(代表の)加藤さんから「ちょっと待ってください」と電話がありました。その後、また別の人事部の方から電話をいただき、「実は私も一度断った口です...」と(笑)。いろいろお話しして、気持ちが少しずつ傾いていきました。

最終的な決め手になったのは、テックチームの4名から結構な文量で「ぜひ来てください」という趣旨のお手紙をいただいたことでした。

――それはすごいですね!熱量(しつこさ..!?)に心を動かされたということでしょうか?

というよりは.....これら一連の行動が正直理解できなかった。私だったら絶対思いつかないやり方だし、誰かが思いついたとしても絶対却下すると思います(笑)。こんなことをやってくる会社で働く人たちは、きっと自分とは全然違う人たちだなと思ったとき、その懐に惹かれたんです。

同じものがずっと続くことが得意ではない私は、すぐに新しいチャレンジがしたくなってしまうタイプ。キャディの人たちと自分は違うものを持っているからこそ、ここでバリューを発揮できるんじゃないかと思えました。

自分自身が異端児になる環境で役に立つことはすごく面白い経験になると思い、入社を決めました。

優秀なエンジニアがモノづくりを本気で楽しめる環境を

――現在の仕事内容を教えてください。

CTO室長として、エンジニアが楽しくイキイキと働ける環境を構築しています。と言っても、各々が好き勝手にできるようにするという意味ではありません。

エンジニアは自分がつくったものが、誰かの役に立つことを何よりも重要視する人たち。そこを達成できるように場を整えるのが私の仕事です。また、つくったものが結果ムダになることも起きますが、そういうことをできるだけなくしていきたいとも思っています。

そのためには、まずはどんな課題があるのか、そしてそのためにどんな価値を誰に提供しようとしているのかを明らかにする必要があります。エンジニアはその優先度のつけられた課題のリストを順番に解決していきます。どのように解決するかはエンジニアの裁量に任されていて、解決策に対するフィードバックもすぐに得られる。そんな環境であれば、エンジニアも意欲的に働くことができ、ムダも減らせると思っています。

実はキャディではそんな場の土台はできていて、私はそれをどんどん洗練させていこうとしています。

――キャディのエンジニアの特徴を教えてください。

まず非常にレベルが高いですね。技術レベルもそうですが、きちんとしたものをつくり出そうという意識も高い。ただ、まだまだ生産性は上げられると思っています。それは優秀で、言語化できる方々が集まっているからこそ。

そういうエンジニアたちが働きやすい環境を作り上げることで、会社やカスタマー、ひいては製造業に価値を届けられたらいいなと思っています。

そのためにやらなければならないことはたくさんあるので、一つずつクリアしていきたいですね。

――それでは今後の展望を教えてください。

いま精力的な採用活動に取り組んでいるため、今後エンジニアチームはどんどん規模が大きくなるでしょう。そうなったとき、現状の体制のままではうまくいかなくなります。そのため、どれだけ人数が増えてもきちんと仕事が回る、あるいはより生産性を上げられる体制を構築しなければなりません。

まだはっきりとした具体策があるわけではありませんが、いくつかのテクニックを組み合わせて取り組むことになると思うので、いまから策を練っているところです。

ロードマップに具体的な動きを書き込み、誰が見てもわかるようにしたい、とも考えています。キャディの将来的な目標は全社で共通認識を持てていると思いますが、そこまでの道のりを誰もが同じ解像度で想像できているわけではないでしょう。

どのタイミングでどういうアクションが必要になるかをみんなで認識することが、今後の成長角度に繋がると思っています。

――最後に、佐藤さんはこれからどんな人と働きたいですか?

多種多様な人と働きたいです。自分と全く同じ人とは働きたくないですし、自分と反対の意見を言ってくれる人を大事にしたいと思っています。

「それはこういうところがダメなんじゃないか」という意見があるから、いいものができ上がると思うんですよ。逆に聞かないと、独りよがりのものしか作れません。

キャディの一員として同じ方向を見ながらも違う視点を持っている人が集まれば、議論の中で新しいアイデアがどんどん生まれてくるはず。組織ですから、当然お互いのことを尊重しながら意見を集約していく場面もあると思いますが、私は一緒に熱く議論できる人と一緒に働きたいですね。

Photo by Taiga Yamazaki

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