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おかねのみらい by BASE BANK #2 ~地域経済圏の未来~を開催しました

様々な領域におけるFinTechが隆興する中、各分野のトップランナーと新進気鋭のスタートアップ企業を招き、これからの金融を考える機会を創り出すイベント、「おかねのみらい by BASE BANK」。

8月28日(火)に開かれた第二回では"地域経済圏の未来"をテーマとし、セッション①では「コミュニティ経済のみらい」をテーマにBASE BANK株式会社 矢部寿明がモデレータを務め、株式会社BrainCat 中村貴一氏、イジゲン株式会社 市江竜太氏にお話を伺いました。

また、セッション②では「地域通貨のみらい」についてサツドラホールディングス株式会社 富山浩樹氏のトークセッションで、これからの地域経済圏について議論を深めました。


セッション①~コミュニティ経済の未来~

セッション①はコミュニティ経済の未来についてです。

はじめにBrainCat、イジゲン、BASE BANKが事業についてのプレゼンを行い、BASE BANK株式会社 矢部寿明がモデレーターを務め、株式会社BrainCat 中村貴一氏、イジゲン株式会社 市江竜太氏によるトークセッションを行いました。

BrainCatは「コミュニティベースで自分たちの実現したい暮らしを実現できる社会」を目指す

企業・事業紹介のトップバッターはBrainCat中村貴一氏。

【Profile】
株式会社BrainCat 代表取締役社長 兼 最高技術責任者 中村貴一 氏
1986年生まれ。早稲田大学卒業後、SIerやソーシャルゲームの開発会社などでエンジニアとしてのキャリアを歩む。2014年、世界初の音楽機材のオンライン試聴サイトを開発し、Movida Japanのアクセラレータープログラムに採択されたことをきっかけに起業。その後、コンサルティング会社を経て、フリーランスエンジニアとして独立。これまで、大手ゲーム会社のWeb APIフレームワークの開発や大手人材会社の共通IDシステムの基盤開発を含む数多くのプロジェクトに従事。現在は、メルカリ、GMO Venture Partners、家入一真氏等からシードラウンドで6,500万円を調達し、相互扶助コミュニティサービス「Gojo」を提供している。

BrainCatは6月にソーシャル基金サービス「Gojo」をリリースしました。「Gojo」とは無尽やたのしも講をベースに作られたサービスで、2特定の組織に属する人だけに限らず、共通の目的や問題をもった不特定多数の人々を対象にした互助会を簡単に設立するためのサービスです。

現在では200ほどのコミュニティが「Gojo」上で存在しており、シェアハウス、部活動、勉強会など多様な組織や集団に使われています。

「Gojo」を使うメリットとしては、簡単に共同でお金の管理ができること、透明性のある組織が作れること、簡単に継続性のある支払いが可能であること。「コミュニティベースで自分たちの実現したい暮らしを実現できる社会をつくります」と中村氏は語ります。現在では200ほどのコミュニティが「Gojo」上で存在しており、シェアハウス、部活動、勉強会など多様な組織や集団に使われています。

「Gojo」を使うメリットとしては、簡単に共同でお金の管理ができること、透明性のある組織が作れること、簡単に継続性のある支払いが可能であること。「コミュニティベースで自分たちの実現したい暮らしを実現できる社会をつくります」と中村氏は語ります。

OtoOに挑戦し続けるイジゲンの取り組みとは

次の事業紹介はイジゲン 市江竜太氏です。


【Profile】
イジゲン株式会社 COO 市江竜太 氏
2006年より福岡市にてGMO ペパボ(上場時)などで、Webプログラマとして多数のITプロジェクト/ITコミュニティを経験後、株式会社アラタナ福岡支社はじめITベンチャー/テックスタートアップ/新規事業のたちあげに携わる。Fintechで人を動かすO2Oサービス群(SPOTSALE, SEAT)を運営。

イジゲンはもともと「AIRPO(エアポ)」という、街歩きをするだけで共通ポイントが貯まるスマートフォンアプリを開発していました。これは、iBeaconというiPhone向けのビーコン技術を利用したサービスで、お店にチェックインするとポイントがもらえ、複数店舗で貯めたポイントを共通化することでまちなかの回遊性を高めるサービスです。

また今年の6月には、お店が仮想通貨を発行できるOtoOプラットフォームである「SPOT SALE」をリリースしました。これは小売店舗向けの会員権取引所で、会員制バーの会員権などが売買されています。これにより誰もが気軽に会員権(チケット)を発行できる環境を提供することで、資金の調達を簡易化するとともに人の流動性も生み出します。

現在は新サービスとして定期販売のポータルサイト「SEAT」を開発しており、遊園地、美術館などの定額課金に関する課題を解決することを目指しています。

小売×金融。BASE BANKが扱うコミュニティ経済圏

最後の事業紹介はBASE BANKです。


【Profile】
BASE BANK株式会社 矢部寿明
1993年生まれ。慶應義塾大学卒業後、ゼネラル・エレクトリック・カンパニー(GE)に入社。リーダー育成プログラムであるFMPに所属し、GE Powerにて北アジア3ヶ国のファイナンス業務などに従事。2018年1月、起業を目的に同社を退職。同時期にBASE CEOの鶴岡に出会い、2018年3月よりBASE BANK株式会社の事業立ち上げに参画。

BASE BANKは2018年1月に設立されたBASE株式会社の100%子会社です。「銀行をかんたんにし、すべての人が挑戦できる世界へ」をミッションに、金融に関する新規サービスの開発を進めています。

今回は、ネットショップ作成サービス「BASE」の機能の一つであり、現在はBASE BANKが運営を行っている「ショップコイン」を紹介しました。これはショップのチャレンジをお客様が支援する、新しい資金調達のかたちです。

「ショップコイン」は、「BASE」を利用するショップのオーナーであれば誰でも簡単に独自のコインを発行することができ、コイン購入者は各ショップが「公約」として設定した割引や優待を受け取ることができます。

事業やブランド運営に関わる中で、大きな売上をあげることや巨額の資金調達が注目されることがあります。しかし、「BASE」でショップを開いているショップオーナーにとっては、ファンとの関係性、ブランドへのこだわりの方が重要になる場面が多く見られます。

「現状の仕組みで、応援だったり、好意、尊敬にも似た感情を取引の中に組み込むにはどうしたら良いだろうか、という課題への答えの一つがショップコインではないか」とBASE BANK矢部は語ります。

精鋭スタートアップが語る新しい「お金」の集め方

ここからはトークセッションです!BASE BANK矢部をモデレーターとし、BrainCat、イジゲンの考える「コミュニティの未来」に迫ります。

矢部:今のサービスを始めたきっかけや課題感はどういったものだったんでしょうか。

中村:一時期、体調不良で入院していた時あったんですけど、その時結構お金かかったんですね。当時は会社に入っていたから保険が出たけど、保険に入っていない人もいるじゃないですか。

だから、「困ったときに自分自身で解決できるものを提供したい」と思ったのがきっかけです。

矢部:じゃあ、最初は保険のようなものをやりたかったってことですか?

中村:実はそうなんです。でも、数々の仮説検証をしていく中で、コミュニティ間での保険はニーズがなくて流行らないんじゃないかと思いました。

保険はリスクに備えてみんなでお金を貯めているもの。クラウドファンディングやファンクラブとも根本的な思想は同じではないか、そしてそれを群衆でやったら面白いと思いました。その流れで今はコミュニティサービスを作っています。

矢部:イジゲンさんはなぜ「SPOTSALE」を始めたんですか?

市江:私もCEOの鶴岡ももともとエンジニアだったのですが、仮想通貨やブロックチェーンの技術、システムの設計が話題になったころ、その魅力に取りつかれました。

「SPOTSALE」では、その店の会員にしか体験できないユニークな優待を設定することで、効果的な資金調達ができます。地方の小さな店舗でもアイデア次第で多くの人から応援されたり評価されたりできる仕組みを作りたいと思っています。


コミュニティ活性化のキモとなる「お金」

矢部:「Gojo」の思想はクラウドファンディングと通じるところがありそうですね。違いを教えてください!

中村:まず、クラウドファンディングとは目的が違うと考えています。クラウドファンディングは多くが資金調達を目的とされていますが、「Gojo」はコミュニティ活動を活性化するために使われています。

「Gojo」では、前金式でお金を集めるだけでなく、目的なくお金を集めることもあり、様々な使われ方をしています。サービス運営を通していろいろなコミュニティと接していますが、総じて言えることはコミュニティにお金があるとコミュニティが活動しやすくなり、持続可能性が高まるということです。

矢部:サービスを利用しているコミュニティでは、どんなものがありますか?

市江:「SPOTSALE」上で大阪のコワーキングスペースの会員権が70枚以上が売買されたケースがとてもいい例だと思います。内容としては、会員権を買うとそのコワーキングスペースがお得に使えるというものでした。「SPOTSALE」上で売買がなされた後にも会員権の転売がなされたり、コワーキングスペースの会員権ホルダー同士がTwitterで募ってオフ会してたり。コミュニティとして素晴らしい機能をしていて、良いモデルケースになったと思います。

中村:「Gojo」では「ウーバーイーツ配達員Gojo」がおもしろい使われ方かなと思います。ウーバーイーツ配達員には雇用保険がなく、もしもの時の安全を保障されていませんでした。「ウーバーイーツ配達員Gojo」によって、配達パートナー同士でお金を積み立てておき、事故に遭ってしまったメンバーが集めたお金に対して給付金を申請することが可能になりました。 事故にあった際のセーフティーネットとなっただけでなく、「Gojo」に入っている配達員同士でコミュニケーションが生まれたのも嬉しい点です!


セッション②~地域通貨の未来~

セッション②では地域通貨の未来について議論を深めます。

登壇企業のサツドラホールディングスは、メイン事業のドラッグストアだけでなく、地域マーケティング、POSシステム開発、インバウンドマーケティングなどプラットフォーム型・ソリューション型を軸に、経営の多角化を行っています。

2013年に設立したグループ会社の株式会社リージョナルマーケティングでは、北海道内で使える地域共通のポイントカード「EZOCA」を新規事業として展開し始めました。「EZOCA」は「つながる」、「楽しい」を感じてもらえるポイントカードです。

買い物中にポイントが貯まるだけでなく、自治体やスポーツチームとの連携を通して、お金が地域のコミュニティに還元されるという仕組みが特徴です。また、ママさんたちが活動を広報できるフリーペーパーの発行など、ポイントカードの枠に収まらない、コミュニティの要となる活動をしています。

このセッションでは、BASE株式会社代表取締役CEOの鶴岡裕太がモデレーターを務め、サツドラホールディングス株式会社代表取締役社長の富山浩樹氏が“地域通貨の未来” について語るセッションとなります。


ドラッグストア『サツドラ』の地域通貨への挑戦

鶴岡:僕が初めに「EZOCA」のお話を聞いて、まず気になったのがポイントカードの名前でした。普通ならサツドラポイントとかにするだろうと思ったんです。なぜ「EZOCA」と名付けたんですか?

富山:確かに「EZOCA」という名前はなかなか理解されづらかったです。

サツドラは北海道で200店舗を運営していて、サツドラ自体は北海道の人ならだれでも知っている存在です。だから、「サツドラは知ってるけど、「EZOCA」ってなんだ?」と、仕組みが理解されるのに時間がかかりました。

ただ僕は、これからはナショナルサービスのように「便利、お得」を詠うものではなく、地域のつながりや人民間、企業間のコミュニティが大切だなと思っています。

ローカルだと小さいし、ナショナルだと大きすぎる。道州制くらいの「リージョナル」な規模の経済圏が大切なんだと。だからこそサツドラだけのカードではなく、北海道好きなら誰でも入れるコミュニティ・経済圏を作ろうと思ったんです。それが『EZO CLUB point card』、略して「EZOCA」です。

今では北海道中の方々に受け入れられ、「EZOCA」の会員数は170万人越え。北海道の2世帯に1世帯以上に使われるポイントカードとなりました。提供店は北海道のみで約700店舗、「EZO CLUB コミュニティ」は、約250のコミティがあり登録者数の総計は全部で25,000人程がおります。

鶴岡:最初の「EZOCA」がなかなか理解されない時期から、みんなに受け入れられるようになったブレイクスルーポイントってなんだったんですか?

富山:きっかけはコンサドーレという北海道のサッカーチームの応援です!

「コンサドーレEZOCA」というポイントカードは、買い物をした金額の0.5%がチームに還元されるという仕組みなんですけど、サポーターのスポンサー愛が強いことから「EZOCA」が広がりました。

例えば、「コンサドーレEZOCA」のタイアップ商品でビールが販売されていたら、会員の方たちがビールを買う時には選手を応援するためにタイアップ商品を選ぶ。

「EZOCA」のネットワークに入ると地元に貢献できるというブランディングが浸透して、今では「EZOCA」の認知度も高まり、プラットフォームとして機能し始めました。

コミュニティが一体となるためにも、サツドラでなく、「EZOCA」を掲げたのがよかったなと思います。


地域通貨のカギは「ネットワーク×仕組み×熱量」

鶴岡:地域通貨やコミュニティ経済圏はこれからも盛り上がりそうですが、「EZOCA」のような仕組みは他の地域でも再現性があると思いますか?

富山:再現性はあると考えています。

サツドラは利尻島にも出店していて、すぐ隣の礼文島では「EZOCA」の地域還元の仕組みも使われていて、予算の都合で中止になっていていた地域の綱引き大会が復活しました。次は沖縄への展開も検討していて、「どさんこしまんちゅプロジェクト」も進めていて、「EZOCA」のような経済圏を、沖縄でもできないかと考えています。

鶴岡:さすがです。地域通貨の成功のカギはなんなんでしょう。

富山:ポイントは、『ネットワーク×仕組み×熱量』だと考えています。

まず、その地域が「リージョナル」な規模であること。日本では中央集権化が加速度的に進んでおり、地域ごとの特色が出しにくくなっています。その中でも自分の出身地やゆかりのある場所に対するナショナリズムみたいなのは今でもあると思っています。ただ、ローカルだと小さいし、ナショナルだと大きすぎる。ちょうど良い「リージョナル」な規模の経済圏が地域通貨を使う場としては適切です。またそこには身近な人と企業の「ネットワーク」が作りやすい。北海道は一つの文化圏となっているし、経済としてもネットワークを作る規模としても理想的でした。

また、サツドラの店舗では食品の売上げが全体の3分の1以上を占め、その他日用品も販売していて、生活便利店として利用していただいています。地域プラットフォームとして、美容ヘルスケアというパーソナルな顧客層と食品という頻度の高い顧客層を持っていることもコミュニティ形成において大きな強みとなりました。

そして、自分がどこにサポートしているのかを「見える化」する仕組みが重要です。「コンサドーレEZOCA」の場合はチームに0.5%が還元されるというとてもシンプルでわかりやすいことが特徴でした。

最後に必要なのはコミュニティ内で共有される「感情」です。仕組みだけではコミュニティは機能しません。地域に対する課題を共有できているか、コンサドーレのケースのようにコミュニティ内で熱をもって応援したいものがあるか、そして「自分が協賛している」という実感を得ることができているか。

つまり、人と企業のネットワークがあること、仕組みがあること、熱量があること。この3つが地域通貨に必要だと考えています。

おわりに

「おかねのみらい by BASE BANK #2」はいかがでしたでしょうか。

セッションの後は、参加者のみなさんと懇親会を行い、イベントは終了しました。

「おかねのみらい by BASE BANK」は第三回の開催も企画しております。BASEのイベントページ をフォローして、ぜひ次回も振るってご参加ください!

「おかねのみらい by BASE BANK」に登壇したいという企業様がいらっしゃいましたら、BASE BANKまでご連絡くださいませ。

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