はじめまして。今回がCEDEC初参加のアーティストRKです。
UE4(Unreal Engine 4)の話題が増えUnityが新しいレンダーパイプラインをリリースし、いよいよモバイルでもハイエンドの風が吹いてきた昨今ですが、ハイエンドになると(クオリティはもちろんとして)求められるデータ量も多くなりがちです。
以前、広大な背景マップに草を一個一個生やしていたのですが、エンジニアさんがペイントで塗るだけでランダムなY軸回転で配置してくれるツールを作成してくれて、かなり助かったという経験があります。
今回参加したCEDEC2019にも「植物の生やし方」について触れた講演が2つあったのでそちらを紹介させていただきます。
一つ目はユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社 大下さんの講演
Unityではじめるオープンワールド制作~アーティスト編~
https://cedec.cesa.or.jp/2019/session/detail/s5ceb8ae4b5635
オープンワールドのようなとても広い背景マップを短期間で作成する方法として、
プロシージャルを利用して効率化を測ったというお話です。
例えば、
配置について実現したい事の条件
・林の中心部の樹木は背が高い
・低い層は草や茂みで覆われている
などを、傾斜や高地の分布を抽出したマップを使用することによって設定し、
Houdiniを利用して一気に配置し、その位置情報をUnityへ持っていくということでした。
条件を最初に考えることで、アーティストの望みをある程度一括で実現できるのが素晴らしいですね。
大下さんもプロシージャル作業8割/調整2割と仰っていましたが、
このシステムでざっと配置してしまい残りの調整をペイントツールなどを使用したアーティストの手作業で出来ると、草植えがとても楽しくなりそうですね…!
続いてもう一つはポリフォニーデジタルの永友さんの講演。
プロシージャルゲームコンテンツ制作ブートキャンプ 2019
実世界に基づいたプロシージャル~植物分布のプロシージャル生成~
https://cedec.cesa.or.jp/2019/session/detail/s5c9c3b18b187c
こちらはそもそもペイント的な配置を見直して
「”正しく”植物が自ら成長し、植生が再現されるシミュレーション」をつくるためにどうしたのか、というお話です。先ほどより更にリアルさに踏み込んだ研究ですね。
成長式のみでシミュレーションしてみる→生まれる時期が違う為うまくいかない→発芽のシミュレーションが必要→見当たらない→式をつくってしまおう(!)という流れで研究は進み、最後にそれをHoudiniでビジュアルとして再現するというお話でした。
株式会社バンダイナムコスタジオの菅野 昌人さんによる、
エースコンバットにおける”空の革新”について
https://cedec.cesa.or.jp/2019/session/detail/s5c9cb6579df11
という講演でも「true sky」というプラグインを使用して空そのものをシミュレートしてしまう方法が紹介されていましたが、同じようなことをHoudiniで再現してしまうのがまたとんでもないですね。
最後の質疑応答でおっしゃっていましたが現在この研究に半年ほどかかわられているとのことで、コードを書くよりは調べて考えることに時間を使うことが多いとのことです。
お二人ともに淡々としゃべられているにも関わらず、熱が伝わってくる講演でとても刺激になります。またどちらもHoudiniをうまく利用されているのが印象的でした。
やはり良いビジュアルを作るために試行錯誤した過程を生で聴けるのは、体験として貴重ですね。
機会があれば来年もぜひ参加したいです。
さて、最後は本文とは関係なくお昼にワールドポーターズのフードコートで食べたローストビーフ丼で締めたいと思います。こちらもとても美味しかったです。近くへお立ち寄りの際はぜひ!
(ででーん)
以上、はじめてのCEDECレポートでした。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました…!
(RK)
元サイト:https://blog.amata.co.jp/2019/10/29/cedec2019-2/
あまた株式会社公式ブログ「AMATA Matters(あまたま)」