この2週間、AIをめぐって、規模の異なるいくつかのニュースがありました。共通していたのは、いずれも「オープンモデル」——重み(パラメータ)が公開され、誰でも入手・改変できるモデル——を軸にしていたことです。
先週、中国のMoonshotが「Kimi K3」を公開しました。2.8兆パラメータのオープンウェイトのモデルで、独立した評価では米国の最上位モデルに迫る第4位につけています。高い性能を持つモデルが、特定の企業だけのものではなくなりつつあります。
今週、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOがXを始めました。その最初の投稿はこうです——「AIはすべての産業を変え、すべての企業を動かし、"すべての国"が作る。オープンモデルが主権を可能にする」。実際に韓国では、大統領と主要企業のトップがNVIDIAと会い、国として自前のAIを整備し始めました。その基盤に使われるのが、NVIDIAのオープンモデル「Nemotron」です。
高性能なモデルが、誰でも入手できる形で広く出回るようになりました。だからこそ国は、他国のクラウドに頼るのではなく、自国で持とうとしています。「主権AI(ソブリンAI)」という言葉は、この動きを指しています。
同じことは、個人にも当てはまります。数年前であれば大きなデータセンターが必要だった処理が、オープンモデルと個人向けのハードウェアで動くようになってきました。国が自前のAIを持つのと同じことが、個人が使うパソコンでも可能になりつつあります。
こうなると、価値の所在が変わります。モデルは誰でも手に入ります。そのため「AIを持っていること」自体は、もはや差別化になりません。実際に成果につながるかどうかは、そのモデルを、どの業務や現場に、どれだけ深く組み込めたかで決まります。自分だけが持つデータ、自分だけが関わる現場、自分だけが築いた信頼——モデルそのものではなく、その周りにあるものが、差がつく点になります。
「すべての国が作る」。この言葉は、おそらく「すべての人が作る」ところまで、つながっています。
——
参考
・Kimi K3 https://www.tomshardware.com/tech-industry/artificial-intelligence/moonshot-releases-2-8-trillion-parameter-kimi-k3
・ジェンスン・フアンの投稿 https://x.com/JensenHuang/status/2080643682408321103
・韓国×NVIDIA https://blogs.nvidia.com/blog/ai-summit-korea-partners-and-nvidia/
スマホからInstagramストーリーズに投稿しよう
カメラを起動して2次元バーコードをスキャンしてください。