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銀行の皆さまへ

 私はこの3年間、幾度となく嘘をついて来た。銀行のビジョン(あるべき姿、将来像)は何か、「お客様・経済・社会に<豊かな実り>を提供する」だ。銀行のバリュー(価値観・行動軸)とは何か、5つあるが一番に掲げているものは「お客様第一<未来に向けた中長期的なパートナー>」だ。私は幾度となくこのミッションとバリューに嘘をついて来た。お客様にとって価値のないものを自分のために勧めてきた。まるで芸能人が食レポで美味しくもない料理を「美味しいです!」と言うように。その時私は何を思ったか、「これが仕事だ仕方ない。会社にいる以上は仕方ない。会社のためだ仕方ない。」そう思った。でも違った。振り返ればそれは全て自分のためだった。自分が上司に怒られないために、自分が会社や周囲の人たちから評価されるためにやったことだった。そもそもそれは会社の意向なんかではない。会社が掲げているミッション、バリューに反しているからだ。世の中の商売にとって、経済にとって最も大切なものは何か、それは信用を勝ち取ることだ。銀行に例えて言うならば、お客様に信用されることだ。お客様に自分とみずほ銀行のファンになってもらうこと。これが何よりも大切だ。私は転職活動をしながら思った。誰にもできないことをやりたい。でも気付いた。誰にもできないことなんて世の中に無いんだと。究極的には誰かができることは、他の誰かもできることなんだと。銀行はその最たる例だ。お金に色はないし競合他社なんていくらでもある。お客様へ提供できる価値は差別化できない。じゃあ何が大切か。それは信用されることだ。お客様に尽くして尽くして信用を稼いでいくことだ。すぐには成果は出ない。当たり前だ。でも大丈夫。会社も言ってるから、「中長期的な」パートナーになると。

 信用の増え方は直線じゃなく曲線だ。だからこの曲線がぎゅーんって上がっていくまで尽くし続けるんだ。そうすればちゃんと返ってくるから。信用を得られるから。それはあなたにとっても銀行にとっても普遍的で代替できない唯一無二の財産になる。それこそが誰にもできないことだ。信用を得たらどんないい事があるか。実績はもちろん上がるし、何よりお客さんにに信頼されて「ありがとう、本当にありがとう」って言われる。それは君のモチベーションになる。君に自信を持たせてくれる。

 言いたいことは、銀行に誇りを持って欲しい。会社がやろうとしていること、ミッション、バリューの方向性は決して間違っていない。でもそれを本当に実現できるかどうかは君たち次第なんだ!

 理想ばかり、綺麗事ばかり並べているみたいだけど。「綺麗事」と言う言葉は言い訳の言葉だと思う。綺麗事は理想だ。でもそれは現実とは程遠い。だから理想を「綺麗事」と言い換えて諦めているんだ。理想がそこにあるんだったらそこに向かうべきだろ。これを実現するためには並々ならぬ努力が必要だ。本当に苦しいと思う。痛みが伴うと思う。実績が出ないこともあるし、上司に怒られることもあるし、自分なんていらないんじゃないかとボーと考え込む時もある。でも努力するんだ。お客様のために経済・社会のために、会社のために、自分と自分の家族のために。必死に経済について商品について勉強してお客様の役に立つ。そうすればきっと、必ず、必ず、お金も返ってくるし、信用されて、感謝される。自分に会社に自信と誇りを持って生き生きと働ける。

 私はみんながそうやって働ける世界を実現したいと思っている。それが世の中に尽くすことだと思うから。そしてそれは必ず自分に信用とお金をもたらしてくれると思っているから。銀行をそういう風に変えていきたいと本気で思っているけど、それだけじゃ足りない。私は世の中ごと変えたいと思った。だから外に出て必死に努力して、苦しんで、苦しんで、それでも世の中に尽くし続けて、みんなが生き生きと働ける、みんなが信用しあって感謝し合う、そんな幸せな世界を作ります。

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