オーライ!オーライ!いらっしゃっせぇぇえええええ!
高校を卒業してすぐ、アルバイトをはじめました。それまでずっとバスケットボールをしてきた事もあって、「身体を動かせて、大きな声で働けるバイトが良い!」と思い近所のガソリンスタンドを選びました。
お店で働き出して初めに店長に告げられたことはこうです。「良いか、ガソリン売って稼げる金は全てお店の光熱費や人件費で消える。ここではタイヤ、オイル、バッテリーなどの、カーメンテ商品を売ることが目標なんだ。」と。
ガソリンスタンドは接客業の世界だと思っていたのですが、実はセールスの世界でした。
正直なところセールスなんてするつもりは無かったので、驚きを隠せませんでした。
初めのうちはセールスに抵抗があったのですが、お店で定めた目標をチームみんなで作っていくことが楽しくて、いつの間にかこのアルバイトが大好きになっていました。
徐々に売れる商品も増え、整備作業も覚えていきました。整備士の資格がなくても出来る、タイヤ交換、バッテリー交換、オイル交換、カーコーティングなど一通りの整備は出来るようになりました。きっと今でも出来ると思います。ここ数年は車を触っていませんが。。。笑
丸2年して店長が変更になりました。新しい店長はタイヤ販売のスペシャリストで今まで月間30本売れれば十分だったタイヤが飛ぶように売れ、月間100本を超える事もありました。ただその勢いも最初だけでした。なぜならタイヤの交換周期は3年ほど。片田舎のスタンドは客層の変化もないためすぐにマーケットは枯渇してしまったのです。
来客数には限りがあり、天候や時間帯によっては一時間に数台しか来店しないなんて事もザラでした。
当時お店の業績は非常に厳しく、社員さんたちは一日14時間近く働き、休日も無給出勤をしてノルマ達成のために必死でした。不運なことに、その時期にアルバイトが数名抜けた事もあり社員さんの負担はさらに増加。悪循環が続き、お店を去る仲間も数名いました。
働く仲間が辛い想いをしていることを見過ごせなかったですし、当時大学4年生だった私は、大学を卒後する前にこれまで育ててくれたお店になんとか恩返しがしたいという思いがありました。「給油をしにくる」お客様にセールスをするだけでは限界があったので、如何に「整備をしてくれる」お客様を呼び込むかを考えました。
すぐに思いついたのはDMです。当時お店で車検を受けてくださったお客様へ2年ごとに車検のDMを送っていました。このDMを使って来店誘致を考えました。カーメンテ商品の中で最も交換サイクルが早いのはオイルで、交換サイクルは6ヶ月です。価格も比較的お手頃なので、来店誘致には最適です。オイルの交換時期を知らせるDMを送り来店誘致に取り組むことに決めました。
ガソリンスタンドで行う整備については全て整備記録書というものを記録していました。私は整備記録書を1年分洗い直し、オイル交換記録をエクセルにリスト化ました。そして前回のオイル交換から5ヶ月以上経過しているお客様向けにDMを送りました。合計で100通ほどのDMを送り、結果として5〜6件の来店誘致を図ることができました。
5〜6件と言うと少なく思えるのですが、「給油を目的に来たお客様」にオイル点検を進め、オイル交換のセールスをし、成約に繋げることは決して簡単では有りません。
オイル交換の時期を見計らってDMを送るだけで、給油ではなく「整備を目的に来た」お客様をお店に誘致することができました。夢のような体験でした。
主体的に考えて行動した結果、今までにない価値をお店に提供できた。
自分なりにお店に恩返しができた。とても誇らしい瞬間でした。