書籍【社会の変え方~日本の政治をあきらめていたすべての人へ】読了
弁護士資格を持ち、元衆議院議員で、元兵庫県明石市長。
2025年の今年は、参議院選挙に出馬し当選。
テレビでコメンテーターとして見かけることも多く、多才な方だ。
幼少の頃、自身の家族に対する社会の冷たさを身に沁みるほど経験し、早い段階から政治家になることを志していたという。
本書を読むと、著者の並々ならぬ決意が感じられる。
「こんな理不尽な社会の仕組みを変えたい」
子供の頃に感じてから、真っすぐその道を進み、結果を出したのだから、本当にすごいと思う。
もちろんここに至るまでに、数々の困難を乗り越えてきたのだと想像できるが、どうやって一つ一つの壁を突破していったのかは非常に興味深い。
私はたまたま政治よりもビジネスの方に興味があるのだが、「壁を乗り越える」という意味では共通している部分だと思う。
私が働く会社も「役所っぽい」部分があると思っている。
受け身体質、縦割り組織、前例主義など、具体例をいくつか出せるが、多かれ少なかれ日本企業ではよくある文化ではないだろうか。
これらの壁を超えることは、どんな組織でも簡単ではないはず。
もちろんお役所そのものであれば、この壁はより一層高いはずだが、著者は様々な戦略戦術を駆使して乗り越えていく。
決意や覚悟も確かに大事だが、実行段階では緻密な計算も大事だと感じた。
今までにやっていなかった新しい取り組みを進めるのは、簡単な話ではない。
例え緻密に計算して戦略を練ったとしても、実行する職員を腹落ちさせなければ、物事が進まないからだ。
「自分に置き換えてみたらどうなるだろう」と、想像しながら読んでみたが、参考にできる部分が多くあったと思っている。
結果的に数々の施策が実行されたのは素晴らしいことだ。
そして、本当に意味があったのは、職員や市民の意識が変わったことではないだろうか。
新しい施策を企画する毎に、職員たちに対してイチから説明していたのでは、これだけの結果を出すこともできなかっただろう。
市民たちが、自分たちが本当に欲する施策を市に訴え、職員たちがその訴えに対して真摯に向き合って実行する。
明石市長は退任しても、その文化が根付いたことが、一番の功績だったのではないだろうか。
私が働く会社内でも数々の施策を行っているが、文化まで昇華させるのは本当に難しいと思っている。
実行できる仲間を集めて、愚直に実行するしかない。
諦めずに社会を変えていきたいと思っている。
(2025/5/12月)