書籍【新冷戦の勝者になるのは日本】読了
新冷戦の風向き次第では、日本は追い風に乗るチャンスがあるというが本当か?トランプ政権でどうなるのか。
一般的に、日本の未来については、悲観論の方が多い。
ここは冷静になって、分析と理論構築が必要なのだと思う。
著者は「上手く風に乗れれば、日本復活のチャンスはある」と説く。
確かに「風が吹けば桶屋が儲かる」という部分もあるかもしれないが、それを期待してよいものなのか。
米中の新冷戦によって、様々なサプライチェーンの見直しが、世界規模で図られている。
「世界の工場」である中国に依存することが、大きなリスクだとして、製造拠点を中国外に求める動きが出ている。
特に重要な物資については、中国に限らず、ある一国だけの製造拠点に頼るのは、国家の安全保障に直結する問題だとされている。
半導体製造のシェアが非常に高い台湾を問題視する流れも同じことだ。
だから選択肢を増やす施策をとることになるのだが、これはこれで簡単な話ではないだろうと、私自身感じてしまう。
もちろん私のような素人でなく、プロの目線で様々な分析をしているのだから、勝ち筋は見えているのかもしれない。
ただ、ここは楽観視せずに、慎重に検討したいところだ。
サプライチェーンを見直すことになれば、単純に考えれば、調達のコストは格段に高くなってしまう。
物の値段は上がり、これが家計に直接影響を与える訳なので、今のままでは国民の生活が苦しくなるだけだ。
つまり、なんでもかんでも分散させればよいという訳ではないから、このコスト上昇のデメリットと、安全保障のメリットをバランスさせる必要がある。
そもそも「何の物資を見直すか」かという選択も、非常に難しいところだと思う。
前述した「半導体」については、改めて国内に製造拠点を持とうという流れで舵を切っている。
果たしてこれが成功するのかどうか。
国内で何を製造するかの選択をしても、結局半導体製造に関する材料の、ほとんどすべてを海外からの輸入で賄うのであれば、あまりリスクの大きさは変わらないと思うのだが、ここが難しいところだ。
日本人特有かもしれないが、そもそもお人好し体質であるし、勝つための戦略を練ることが苦手だと思っている。
先の大戦においても「なぜこんな馬鹿げた失敗を」という、目も当てられないようなお粗末な戦い方をした場面がいくつもあった。
「神風が吹けば」的な、他力本願の部分も大きい。
さらに、災害大国でもあるため、「何が何でも勝ち取るぞ」という気持ちよりも、「しょうがないか」と諦めが早い点についても、日本人的特徴だと感じてしまう。
もちろん、自分自身もこれらの血を引いているために、一概に否定はできないのだが。
私自身は、他人任せにすることはあまり好きではないのだが、日本という地政学的な位置付けを考えると、「大国に振り回される小国」という立場ゆえに、自分たちの思い通りにならない宿命を背負っているのは間違いない。
今世界で起きていることの情報を整理して、その中で日本国家にとっての最善策は何なのかを見つけていくのが大事だ。
しかしこれが最も難しい。
この複雑化した世界の中で、情報を整理するだけでも大変だし、諜報活動でも日本は大きく出遅れていると言われている。
さらに、デジタル化、IT化によって、日本が稼げていた主要品目が、急激に競争力を失っている。
国内は少子高齢化で、今後日本が国力を大きく伸ばしていくのは、現実的に相当難しい。
これだけ考えても、厳しい状況なのは確かだから、何としても勝てる波に乗ることが重要だ。
ロシア-ウクライナ戦争が停戦しそうな中で、戦後の世界情勢はどうなるのか。
そんな中で米中新冷戦がどうなっていくのか。
日本同様に、経済が停滞している中国。
それによって、弱体化が謳われている中国共産党は、台湾奪取に打って出るのか。
やはりカギを握るのは、トランプ大統領ということか。
日本のポジション取りは非常に難しい。
駒の進め方を一手間違えただけで、取り返しがつかないことにもなりかねない。
ここ数年の動向が、今後の世界の流れを決めそうな気がする。
当然だが、世界情勢を追いかけて、自ら判断できる思考力を養っていくしかない。
世界は大きく動いている。
止まっている訳にはいかないということだ。
(2025/1/27月)