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「こども誰でも通園制度(仮称)」に関する全国アンケート調査を実施!保育現場の声を国に届けました。



 このブログでも度々ご紹介してきた「こども誰でも通園制度」



 就労の有無に関わらず保育園を利用できるようにする制度で、僕らフローレンスが「みんなの保育園」という名称で政府に訴えかけてきた政策です。



 この制度の本格実施に向け、今年9月、ついに制度の内容を議論する国の検討会がスタートしました!僕も有識者の1人として検討会に参加し、保育事業者の視点から議論に参加しています。



 この「こども誰でも通園制度」は、「共働きのための施設」であった保育園をすべての家庭に開く、全く新しい制度です。



 こういう新しい制度を、意味のある形でスタートさせるために必要なものは何か。
そうです。実際に制度を担う現場がどう考えているかを示すデータとエビデンスです!!



 だって、実際に使う人たちにとって使い勝手が悪かったら、絵に書いた餅になっちゃうでしょ。



 と、いうことで。



 僕たちフローレンスは、制度の担い手となる保育現場の声を集めるべく、保育事業者を対象とした「制度の課題とニーズ」に関する全国アンケート調査を実施!(調査期間:2023年9月22日~10月6日、回答数:405人)



 こども家庭庁の「子ども・子育て支援等分科会(第2回)」(10/12開催)と「第2回 こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた試行的事業実施の在り方に関する検討会」(10/16開催)で、本アンケート結果の発表と、それに基づく提言を行ってきました!



 今日はその内容を、簡単にご紹介したいと思います!
検討会の様子は以下のyoutubeに載っているので、ご興味ある方はぜひこちらもご覧くださいっ!



※視聴URLはこちら:
「子ども・子育て支援等分科会(第2回)」の様子(動画)



 「こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた試行的事業実施の在り方に関する検討会(第2回)」の様子(動画)



※レポート詳細はこちら:

https://florence.or.jp/cms/wp-content/uploads/2023/10/press_231011-1.pdf


<アンケート概要>
調査方法:インターネット上での回答
調査期間:2023年9月22日(金) ~10月6日(金)
調査対象:全国の保育事業者(経営者、園長、事務局スタッフ等)
回答数:405人
調査協力:一般社団法人こどもDX推進協会



【調査結果サマリ】


◆1.保育事業者の約9割が「自由利用」よりも「定期利用」での受け入れを支持


 「こども誰でも通園制度」の制度設計の大きな論点のひとつである利用形態について、保育事業所へ定期的に子どもが通園する「定期利用」と、一時預かりのように様々な利用頻度で通園する「自由利用」、どちらをより積極的に受け入れたいかを尋ねたところ、「定期利用」の受け入れを望む声は約9割という結果となりました。





◆2.子どもの育ちを第一に考えた場合の預かり頻度・時間は「週3日以上」6割、「1日3時間以上」9割


 「定期利用の場合、子どもの育ちを第一に考えた際に、1人につき望ましい利用頻度・利用時間」を尋ねたところ、利用頻度については「週4日以上」26.7%、「週3日」32.8%と「週3日以上」が合わせて59.5%にのぼりました。また、1日あたりの利用時間については、「3~4時間」45.2%、「5~6時間」36.8%、「7~8時間」10.6%など、「3時間以上」の回答が9割を超えました。





◆3.「こども誰でも通園制度」へ期待する点は、在宅子育て家庭との接点創出


 「こども誰でも通園制度に期待すること」を尋ねたところ、「在宅子育て家庭への支援ができる」59.0%、「より多くの子どもに支援が届けられる」38.3%と在宅子育て家庭と接点創出という福祉的な視点での期待が寄せられています。本制度の趣旨である「全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備する」ことに対して、前向きに捉えている保育事業者が多いことが伺えます。





◆4.「こども誰でも通園制度」で不安に感じる点は、「業務負荷」「事務負担増加」に加え、「要支援・要保護家庭の受け入れ」の声も


 「こども誰でも通園制度に不安に感じていること」については、「保育士の業務負荷が増しそう」が84.4%と最多となり、次いで「事務負担が増えそう」66.7%、「こども誰でも通園児が園に慣れるのに時間がかかりそう」59.0%などが続きました。「要支援や要保護家庭等のリスクの高い家庭の受入れ依頼が行政から来そう・数が増えそう」は54.3%でした。





【保育現場からの声】


 アンケートに寄せられた回答者からの声を一部ご紹介します。



企業主導型保育所なので(通常、お子さんを預かるためには)親御さんが仕事をしている必要がありますが、定員に空きが出てきているため所轄が許せば、(保護者の就労の有無に関わらず)多くの園児を受け入れたいと考えています。


(期待することは)就労の有無や複雑な条件によらず子どもを預けられること。誰でも安価で利用できること(収入が多いからといって過剰な負担をさせる仕組みにはしない)。預かる側にも金銭的メリットが生じるようにすること。保育者の配置基準を見直すこと。子育て支援と少子化対策の予算を増やすように政治に働きかけること。


まだまだ情報不足で、言葉が独り歩きしている感が否めないです。当園も定員割れを起こしており、本制度への期待も大きい。一時預かりとの違いがよくわからない。



【アンケートを踏まえた提言】


 このアンケートを基に、僕が行った提言の一部をご紹介します!



1)月の利用時間は、自治体単位で加算できる仕組みにしてください


 まず1つ目は、「利用時間」について。



 新しい制度ができるのはいいけど、実際どれくらいの時間、頻度で使えるのか。
皆さん気になりますよね?



 現時点でこども家庭庁で検討されている案。



 なんと、「月10時間」です。
 週1通園として、1日2. 5時間



 いやいや、少なすぎでしょ…。
こんな短い時間で、こどもが園や先生に慣れるのは大変だし、泣き疲れて終わっちゃうかも。



 今回のアンケートの結果、現場保育士さんたちが望む利用時間は「月36時間」
ちなみに僕たちフローレンスがモデル事業でお預かりしているお子さんの平均利用時間は
「月78時間」



 現場の感覚とは大幅に乖離があることが分かります。



 全国一斉に確実に実施するため、って話だけど、地域によっては定員割れでガラガラな保育園だってある。
国が定める最低ラインは「月10時間」だとしても、なんとか自治体ごとに利用時間を上乗せできる仕組みにしてほしいっ!



2)「定期利用」や「自由利用」などの利用形態について、保育事業者が選択できる仕組みにしてください


 次に、「利用形態」について。



 定期的に子どもが通園する「定期利用」と、一時預かりのように様々な利用頻度で通園する「自由利用」、どちらにするかという問題です。



 今回のアンケートでは、「定期利用」の受け入れを望む声が9割でした。



 子どもの育ちを考えると、やはり慣れ親しんだ保育園に定期的に通うのが望ましいですよね。



 利用者のニーズは様々なので、両方のオプションを用意することには賛成ですが、(自治体ではなく)実際に運営する保育事業者自身が利用形態を選択できる仕組み作りが必要だと思います。



3)要支援・要保護家庭の子どもの預かりを促進できる仕組みも導入してください


 そして、絶対に実現してほしいのが「要支援・要保護家庭の子どもの預かり促進」



 僕がこの制度に期待することの一つに、様々な事情を抱える「高リスク家庭」が保育園とつながることによる「保育園のセーフティーネット化」があります。



 保育園や幼稚園に通っていない未就園児家庭の中には、保護者の心身の不調などにより健全な成育環境にないケースも存在します。



 しかし行政側からそういった家庭を発見することは難しく、その多くは必要な支援につながることのできないまま社会から孤立してしまっているんです。



 そんな家庭にこそ、活用してもらえる制度にしてほしい。



 定期的な通園ができれば、保育のプロが継続的に関わることで子どもの育ちに寄り添い、保護者の育児不安の相談に乗ることもできます。必要な行政支援につなぐこともできます。



 すべてのこどもが安心安全な環境で成長できる。
そんな「当たり前」を叶える制度にしましょうよ!



 こども誰でも通園制度の検討会は、今年の12月まで。
よりよい制度になるよう、引き続き提言を続けます!



【ソーシャルアクション・政策提言は皆さんのご支援で運営しています】


 フローレンスは、支援現場を自分たちの手で運営しながら、そこから日々得られる親子の生の声や、事業ノウハウを社会に広げ、国や地域の制度に具体的施策を提言をすることで、日本の子どもを取り巻く環境、綱渡りを強いられているハードな子育て環境を、アップデートしていきます。



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日本の子どもの約7人に1人が貧困です。国内の赤ちゃんが2週間に1人、遺棄・虐待死をしています。医療の発達で体重500gの新生児が助かる一方、医療的ケア児の保育ケアが足りていません。フローレンスは、子どもの福祉と未来のために活動しています。
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