「山口の代表になるお土産をつくりたい。でも、ふぐや夏みかんのように、すでにあるものは使いたくない」
最初にいただいたのは、そんなご相談でした。山口弁は、山口の大切な文化の一部です。それをお土産にしたい、という大枠だけが決まった状態から、企画は始まりました。
「ラブレターにしたい」という案を、どう進めたか
当初、社長からのご要望は「山口弁の“ラブレター”」をテーマにすることでした。私もこの案は面白いと感じていましたが、いま想定しているターゲットに本当に合うのかは、私自身にも確証がありませんでした。そこで、次の3つのステップで進めました。
ステップ1:まず、本気で形にする
頭の中で良し悪しを判断するのではなく、ラブレターの路線でコンセプトと方言の案を、実際に選定して形にしました。形になっていれば、見て、触れて、一緒に考えられるからです。
ステップ2:ターゲットとペルソナを、目に見える形にする
現状のターゲットを改めて整理し、山口に実際に観光で来られる方々のペルソナも作成して、資料にまとめました。「誰に届けたいのか」を言葉だけでなく、見える形にしておくためです。
ステップ3:本当にターゲットに合うかを、一緒に吟味する
可視化したターゲットやペルソナを見ながら、このコンセプトが本当に合うのかを、社長と一緒に確かめていきました。その中で、「方言そのままでも、十分に面白いのではないか」という考えが生まれ、現在のコンセプトへと変わっていきました。
どちらの案が正しいかを決めるのではなく、形にして、見える化して、一緒に確かめる。この進め方を大切にしています。
手に取った人が、そのまま楽しめるように
商品とWEBコンテンツを連動させる構想は、もともと社長のものでした。クッキーにQRコードを印刷するというのも、他ではあまりやらない発想で、とても勉強になりました。
私が提案したのは、QRコードの飛び先です。トップページではなく、クッキーに載っている方言の意味を説明するページにしました。バラまき用の個包装だけを受け取った方も、その場で意味が分かり、そのままWEBを楽しめます。
方言を楽しんだあとは、山口に興味を持っていただけるように、観光名所の紹介コンテンツも企画しました。ただ紹介するだけでは面白くないので、ふぐと白猫のキャラクターを作り、2匹が掛け合いをしながら案内する形にしています。今ではSNSもこの2匹が主役で、運用の担当者さんも、すっかりファンになってくださっています。
結果と、いちばん嬉しかったこと
発売から約5か月で約5,000個を販売し、現在は山口県内の70店舗以上で取り扱っていただいています。
発売前には、これまでにない切り口だけに、慎重な見方もありました。販売が始まると、賛否はありつつも、褒めてくださる小売店の方々もいらっしゃいました。「大ヒット」とまでは言えませんが、数字でもある程度の結果を残せたことが、何より嬉しかったです。
地域に眠る魅力を、今の人に届く形に編集する。この仕事の面白さを実感した案件でした。