こんにちは!高橋一大です。
海岸沿いの小高い丘の上にぽつりと佇む一基の灯台を遠くから眺めていると、ふと自分の日々の仕事や思考のあり方について静かに思いを巡らせる瞬間があります。激しい波が打ち寄せる暗い夜の海に向かって、一定の周期で一筋の強い光を放ち続けているその姿は、私たちが社会やビジネスの中で何かを表現し、大切なメッセージを相手に伝えようとする営みとどこか深く重なり合っているように感じられるからです。
映像制作という仕事に関わっていると、目の前にある膨大な情報や撮影素材の海の中で、自分が今どこに立っていて、どの方向を照らすべきなのか分からなくなってしまうことがあります。編集作業の途中で細かいカット繋ぎや色の調整ばかりに夢中になっていると、いつの間にか全体としてどこへ向かっているのかという一番大切な目的が見えなくなってしまうことがあるのです。これはちょうど、船が激しい時化の中で方角を見失い、広大な海の真ん中であてもなく漂ってしまう状態によく似ています。
そんなとき、自分の中に強い灯台をひとつしっかりと打ち立てておく意識が大きな助けとなります。クライアントが抱える本当の課題はどこにあり、どのような光を投げかければ観る人の心にまっすぐ届くのかという原点に立ち返ること。中心となる強い光の軸がぶれずに存在していれば、どれだけ周囲の環境や状況が目まぐるしく変化したとしても、迷うことなく正しい方向へと思考の舟を進めることができます。
また、灯台の脇で規則正しくカチカチと時を刻む古い振り子時計の動きにも、大切な教えが隠されています。振り子は右へ左へと交互に大きく揺れ動きながら、決してひとつの場所にとどまることはありません。クリエイティブな思考においても、ひとつの考えや固定観念に固執するのではなく、ミクロな視点とマクロな視点、あるいは客観的な分析と感情的な情熱の間を振り子のように柔軟に行き来することが常に求められます。
視点を高く保ち、揺れ動く思考の中で自分の現在地を常に確認し続けること。その地道で丁寧な繰り返しの先にこそ、人の心を深く揺さぶる本質的な表現が生まれていきます。日常の忙しさに追われそうになったときこそ、あえて一度立ち止まり、自分の中の灯台がどこを照らしているのかをじっくり確かめてみる。そんな思考の時間を持つことが、目の前に広がる世界をより豊かで広がりのあるものへと変えていくはずです。