こんにちは!池下竣紀です。
秋の歩道を歩いているときに足元に落ちていた一枚の落ち葉を拾い上げて裏側をじっくりと眺めてみたことがあります。乾燥して少し丸まった枯れ葉の裏には網目のように細かく張り巡らされた筋がどこまでも伸びていました。かつて緑色だった頃には太陽の光を受け取って葉の隅々まで栄養や水分を運んでいた生命の通り道です。枯れて地面に落ちたあともその緻密な筋構造はしっかりと形を残しておりまるで地図や設計図のようにも見えます。普段は何気なく踏み分けて過ぎ去ってしまう落とし物ですが手の上でじっくりと見つめてみるとそこにはとても複雑で美しい世界が広上がっていました。
この細い筋の仕組みを詳しく観察してみると大きな一本の幹から太い筋が伸びそこからさらに枝分かれして細小な線へと細かく分裂していることが分かります。どこか一部でも途切れてしまえば末端まで届かなくなるためすべての線は完璧につながり合いながら支え合っています。途方もなく細い線の一本一本が全体を生かすために欠かせない役割を果たしていたという事実に触れると命の設計図としての力強さを感じずにはいられません。水分を運ぶという目的を果たし終えたあとも崩れずに残り続ける骨組みはかつてそこで流れていた時間の存在を静かに主張しているように思えます。
この葉の裏側に残された筋の構造を私たちが日々過ごしている暮らしや仕事の場に重ね合わせてみると興味深い気づきがあります。私たちの普段の営みや組織の動きもまた目に見えない無数のつながりによって支えられているからです。表側には見えない小さな役割や誰かの日常的な下準備があって初めて全体の大きな動きが成り立っています。一見すると地味で目立たない小さな線であっても全体へとつながる重要なルートの一部になっているのです。誰も気づかないような場所で静かに流れを支えている存在があるからこそ私たちは安心して日々の歩みを進めることができています。
指先で葉の表面の凸凹を感じながら自然が作り出した繊細な構造の余韻に浸ります。表側の華やかな色彩が失われたあとにこそ本当の骨組みや支えの形が鮮明に浮かび上がってくるという現象はどこか深く心に響くものがあります。目立つ結果や表面の見た目だけに囚われることなくその下で流れている見えない繋がりや努力に目を向けることの大切さを枯れ葉は教えてくれます。足元に転がる小さな一枚の落とし物が伝えてくれたメッセージを胸に抱きながら私はまた静かに街の景色の中へと足を踏み出していきます。