動画で心を動かす引き算の技術
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こんにちは!鴨川宗平です。
普段はフリーランスとして様々な企業の動画を作っていますが、編集の作業をしていると、世の中にある多くの映像がいかに多くの要素で溢れているかに気づかされます。派手な効果音や、画面いっぱいに広がる文字、目まぐるしく変わる色合いなど、視聴者の目を引くための仕掛けがこれでもかと詰め込まれています。
しかし、私が動画を作る上で何よりも大切にしているのは、実は要素を足すことではなく、いかに無駄なものを削ぎ落とすかという引き算の視点です。
スマートフォンの画面を通じて、毎日膨大な量の映像情報が人々の目の前を通り過ぎていきます。その中で、ただ目立つためだけに作られた映像は、一瞬だけ記憶に残っても、すぐに次の情報にかき消されてしまいます。本当に人の心に深く届く映像とは、賑やかなお祭り騒ぎのようなものではなく、静かに心へ染み込んでいくような、計算されたシンプルさを持っているものです。
映像の冒頭でほんの少しだけ引きの映像を長く見せることで、視聴者にその場所の空気を感じてもらう。あるいは、あえて音楽を止めて登場人物の言葉だけに注目させる。そうした一見すると何もないように思える空白の時間こそが、実は視聴者の想像力を膨らませ、物語に引き込む最大の鍵になります。
これは、企業の紹介映像や採用の動画を作るときにも全く同じことが言えます。その会社が持っている魅力や、働く人々の熱い思いをすべて映像に詰め込もうとすると、結局何が一番伝えたかったのかがぼやけてしまうことが少なくありません。
だからこそ、私は最初の企画の段階からクライアントの皆様とじっくり対話を重ねます。本当に伝えたいメッセージは何なのか、届けるべき相手は誰なのかを丁寧に整理し、最も純粋な核心の部分だけを残して、あとは思い切って削るのです。どう見せればいいかわからないという状態から、この本質を見つけ出す作業が、映像制作の中で最も面白く、やりがいを感じる瞬間でもあります。
映像とは、誰かの思いを別の人へと届けるための架け橋です。余計な飾りをなくし、本当に伝えたいことだけを真っ直ぐに届ける。そんな丁寧なものづくりを、私はこれからも続けていきたいと考えています。画面の向こう側にいる誰かの心が、ほんの少しだけ動く瞬間を信じて、今日も一本の映像と誠実に向き合っています。