「今日、美容室。何時に出る?」
美容室の予約は 15 時。前回、水曜日に予約した時と同じだな。何時に出ればいいか。
電車は確か 14:30 に乗れば間に合う。でもどうせあの辺に出るなら、あそこで買い物もしたい。1 時間は欲しいから 13:30 か。それならランチも食べてしまったほうがいいかな。どこで食べよう、着いてからのほうがいいか。じゃあ 12 時に出るべきかもしれない。だとすると用意は 10 時から。今は 9 時だし、もう朝ごはんを食べたほうがいいな。
......あ、いや、今日は日曜だからダイヤが違うんだ。
私が作っている Medo というアプリは、この瞬間から始まっています。
厄介さは 3 つ
ひとつは、一度組み上げた鎖が、末端の前提ひとつで全部崩れることです。
ダイヤが違うと分かった時点で、逆算の連鎖は最初からやり直しになります。
ふたつめは、そもそも比べたいことです。
買い物は食事の前と後どちらがいいか。ランチは家で済ませてから出るのと、向こうで食べるのとでは、どちらが余裕があるか。
段取りは一本道ではなく、いくつかの案のあいだで迷います。そして案を切り替えるたびに、また組み直しになります。
みっつめは、4〜6 時間分の手順と具体的な時刻を、頭に置き続けたまま考えることです。
しかもその途中で「そういえば夕方に別の用事があった」と思い出したりする。
書き出せば楽になりますが、書き出す作業そのものが面倒で、そのために毎回ペンと紙か、メモアプリを開くのかという話になる。
しかも動かせない予定は、たいてい予約や約束です。厳密な時刻管理をしておきたいところです。
取れる手段はどれも良くありません。
計算機と紙を毎回用意するのは面倒だし、暗算は忍耐が要るうえ結局どこかに記録することになる。雰囲気で家を出るのは、遅れたときに取り返しがつきません。
Medo の機能は、この 3 つにひとつずつ対応しています。
目標時刻を下端に置いて、そこから過去方向へ行動を積み上げる。
開始時刻は自動で計算されるので、どこか 1 つを動かせば、上に積まれたものは自動で対応します。
ブロックは並べ替えられるので、買い物を食事の前に持っていったらどうなるかが、その場で分かります。
2 つのタイムラインを切り替えながら見る機能もあります。
そして画面に出ている時点で、書き出しはもう終わっています。
このアイデアを思いついた当初は、完全に自分用の小さなツールとして作ろうと思っていました。
「こんなこと」を解決したい人なんて、私以外いないと思っていたからです。
でも、このアイデアを友人に話したとき、「まさに昨日困っていた。完成したら、ぜひ使わせてくれ」と言ってくれる人がいました。
それから、私は「自分が困っているなら誰かも困っているし、自分が思っているなら、誰かも思っている」と考えています。
アイデアはいくつも浮かぶけれど、調べると同じように、いくつも前例がある。
だったら逆も真で、私の面倒は私だけのものではないはずだと考えています。
誰かが、工夫したり、色々決めたり、頑張れば実現できること。
でも、そうしないと実現できないこと。
それを、誰もが、工夫せず、選択せず、頑張らずに、実現できるようにする。
それが Medo の始まりであり、そして otibo を作るきっかけともなった思いです。