都心の中古マンションは高値づかみか
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現在の首都圏における中古マンション市場、特に都心部の過熱ぶりには目を疑うものがあります。最近の調査データによれば、築10年クラスの物件価格を年間賃料で割った、いわゆる「マンション版PER」は平均で30倍を超え、過去最高水準に達しました。特定の人気エリアではこの数値が80倍にまで跳ね上がっており、これを表面利回りに換算するとわずか1.25%程度に留まります。ここから管理費や固定資産税などの諸経費を差し引けば、手元に残る実質的な利益はほぼ皆無か、下手をすれば持ち出しが発生する計算です。
この状況は、借入金利が運用利回りを上回る「逆ザヤ」の状態に他なりませんが、それでも買い手がつくのは、将来的な値上がり益(キャピタルゲイン)への強い期待があるからでしょう。こうした「家賃収入では赤字だが、転売すれば儲かる」という思考回路は、かつての1980年代後半のバブル期に酷似しています。当時は金利が5%を超えていても、都心物件の利回りが1%台まで低下する事態が起きましたが、最終的にその熱狂がどう終息したかは歴史が証明しています。
投資の合理性から考えれば、借入金利に一定のリスクプレミアムを上乗せした利回りが確保できない物件は、本来「割高」と判断されます。仮に経費控除後で3.5%程度の利回りが必要だとすれば、表面利回りではそれ以上の数字が求められるはずであり、PERが25倍を超えるような物件はすでに投資適格の範囲を逸脱していると言わざるを得ません。
特に価格高騰が著しい都心のタワーマンションなどは、すでに実需の論理を超えたバブルの様相を呈しています。今後、金利の上昇局面が本格化すれば、利回りと金利の差(イールドギャップ)はさらに圧縮され、家賃の上昇だけでは到底カバーしきれなくなるでしょう。一部の極めて希少価値の高い物件を除けば、出口戦略の見えない「高値掴み」のリスクは日に日に高まっており、いずれは厳しい価格調整の局面が訪れる可能性が高いと考えられます。