AI本のカバーデザインに鉛筆を置いた理由
デザインの前提
今回はKindle書籍のカバーデザインについて書きます。
今回デザインしたのは、AIとの創作をテーマにしたkindle書籍の表紙です。本のタイトルは、
『ChatGPTに本気で創作させる方法 ― 創作ごっこモードから実制作モードへ 』
です。
商業デザインでは、「前提」に沿って作ることが非常に重要になります。バナー広告でもLP制作でも、前提を無視すると「刺さるデザイン」「成果の上がるデザイン」は作れません。
今回で言えば、「Kindle媒体のAI本であること」が前提です。紙の本と違い、Kindle書籍の場合はまずサムネイルで見られます。kindleストアでも、SNSでのシェアでも、最初にお客さんの目に触れるのはサムネイルの小さな画像です。
しかもAI本は数も多く、似たようなビジュアルが並びやすいジャンルでもあります。つまりユーザーは、「AI本ばかりが並んだ小さなサムネイル一覧」の中で、この本を見ることになります。
今回のカバーは、この前提を踏まえて設計しました。
目立たせながら内容を伝える工夫
AI本のカバーデザインの傾向
現在出版されているAI本の多くは、近未来的なイメージのビジュアルで「AIはすごい!」というメッセージ性を感じるカバーデザインになっています。それが小さなサムネイルとしてひしめき合っているのが、kindleストアのAI関連書籍の売り場です。
つまり、この条件下で目を引くビジュアルにする、というのが、今回のデザインの最大の課題だということです。
AIを使った創作でも、「主な創作者は人間」というメッセージ
本の内容はAIとの創作をテーマにしたものですが、現在主流のAI称賛を旨としたものではありません。むしろ、AIとの創作であっても、「主な創作者は人間である」というのが基本姿勢です。
これらの条件を踏まえて検討した結果、「教科書っぽさ」が感じられるイメージを目指して、デザインすることになりました。
この本自体をAIとの創作の実例とする目的もあったため、最初にベースとなるデザイン案をChatGPTで生成。生成された画像を素材に、Photoshopで修正・調整を加えて仕上げています。
AI本のカバーデザインに鉛筆を置いた理由
ChatGPTが生成した元の画像は、無数のノードと矢印によって、思考のプロセスを表現したものでした。
私はその画像に、「人間の創作の象徴」として鉛筆を1本、加えることにしたのです。これにより、創作の主体がAIではなく、人間であることを表現する狙いです。
さらに、kindleストアのテクノロジージャンルの売り場で見たときに、鉛筆というアナログなモチーフには、「視線を引き留める効果」もあります。
なお、デザインの成果としては、Amazonの「kindle本/コンピュータサイエンス/無料Top100」で1位という結果でした。
ランキングの基準はダウンロード数です。無名著者による個人出版ですので、ほぼカバーデザインの効果と考えて差し支えないでしょう。
クライアントワークでも「前提」を根拠に設計
こうした前提を根拠に設計する進め方は、デザインやライティングなどのクライアントワークでも基本にしています。
新規制作だけでなく、既存のデザインや記事の改善、広告のクリエイティブを考えるときにも重要になります。