大阪府議会、定数削減の論拠。ロンドンとの比較
この記事は、note に掲載した内容をそのまま転載しています。
4月3日の報道を見た時「すごく乱暴な削減案だな」と感じました。
削減案の論拠は、「ロンドンの行政体制」でした。
(参照記事リンク:毎日新聞)
大阪維新内で府議会の定数50減案が浮上 実現すれば29人に | 毎日新聞
記事を読んだ上で、最初の≪?≫マーク。
「ロンドンと大阪の行政構造って似てるの?」
たぶん至極普通の疑問だと思います。
結論から言うと、ロンドンと大阪を同列に語るのはかなり問題があります。
日本で唯一ロンドンと近い構造を持つのは東京23区だけです。
① ロンドンの行政はどうなってんの?
ロンドンシティの市議会議員は25人なので、一見すると大阪府議会議員を79人⇒29人にするのは合理的にみえます。
ですが、ロンドンの行政構造は「グレーターロンドン」と呼ばれ、明確な二段構造になっています。
ロンドン市議会の下に
「32区+シティ・オブ・ロンドン=33の自治体」があり、
きめ細かな行政が行われています。
33自治体の議会議員数は総勢約1800人。
全員が選挙で選ばれています。
一方で、大阪には基礎自治体として33の市町村があります(大阪市・堺市を含む)。これらの市町村にはそれぞれ議会があり、議員はすべて選挙で選ばれています。大阪府の市町村議会の議員定数は合計910人。
しかし、大阪市内の24区は自治体ではなく行政区で、区議会も区議選も存在しません。
② 単位人口当たりの議員数は?
ロンドンの人口は約900万人、大阪府は約870万人。 この時点で、住民1人あたりの議員数はロンドンの方が大阪の約2倍になります。
さらに大阪市に限れば、人口270万人に対して市議会議員は81人。 ロンドンでは住民10万人あたり約20人の選挙で選ばれた議員がいるのに対し、 大阪市はわずか3人です。
ロンドン市議会が25人で済むのは、下位自治体である33の区(32区+シティ)が それぞれ議会を持ち、約1800人の議員がきめ細かな行政を担っているからです。
一方で、
大阪市の24区は自治体ではなく行政区で、議会も選挙もありません。
大阪府議会の定数をロンドン市議会の25人と比較して削減するという議論は、
制度構造がまったく異なるため、そもそも同じ土俵の話ではありません。
③ まとめ
ロンドンの行政構造を調べていて感じたのですが、
どちらかというと、大阪府よりも東京二十三区に近いですね。
東京23区の区議会議員は、4年に1度の「特別区議会議員選挙」で選ばれます。23区の人口は約1000万人で区議会議員総数は約900人。
議員総数はロンドンに比べ少ないですが、大阪市に比べると3倍近くいることになります。
東京都全体では人口約1400万人に対し都議会議員が127人いるので、ロンドン市議会の25人と併せて考えると、わりと正常な気がします。
しかも、東京23区は「特別区」という独特の存在で、自治権の強さは一般の市に近い構造です。大阪市は政令市なので、23区単体よりは自治権が強いのですが、特別区になるとその権限は大きく縮小します。そう考えると、「政令市を4つに分けるだけで、自治権が弱まるのであれば、政令市のままでよいのではないか」という疑問も生じます。
また、特別区の数が4つという点も、ロンドンの33区や東京23区と比べると規模が大きく異なります。制度構造が違うため、議員定数の比較や行政効率の議論も単純には並べられません。
制度の違いをここまで丁寧に見ていくと、ロンドンとの比較を前提にした議員定数の議論には、もう少し慎重な検討が必要だったのではないか、という気もしてきます。