画面の向こう側にいる見えない同居人
Photo by Leandro De Torres on Unsplash
こんにちは!石田大顕です。
皆さんは一日に何回、スマートフォンの画面を開いてアプリやウェブサイトを眺めているでしょうか。朝起きてから夜眠りにつくまで、私たちは気がつけば画面の向こう側にある世界と繋がっています。それはまるで、自分の部屋に目に見えない同居人が一人増えたかのような、不思議な距離感の近さです。
もしもその同居人が、自分の部屋の家具を勝手に並べ替えたり、必要なものをどこかへ隠してしまったりしたら、とても快適には過ごせません。毎日を気持ちよく暮らすためには、どこに何があるのかがすぐに分かり、手を伸ばせばいつでも欲しいものに届く、そんな居心地の良い空間が絶対に必要です。
スタートアップ企業が新しいサービスを世に送り出すとき、多くのチームが機能の素晴らしさや技術の高さに熱中します。それは家を建てるときの頑丈な柱のようなもので、とても大切なことです。しかし、どんなに素晴らしい柱があっても、いざ住んでみたら動線が悪くて何度も壁にぶつかってしまうような間取りでは、住人はすぐに引っ越したくなってしまいます。
デザインの仕事の本質は、この目に見えない部屋の間取りを、住人の心の動きに合わせて優しく整えてあげることにあります。ボタンをどこに配置すれば指が迷わないか、次に表示される文字の大きさはどれくらいが心地よいか。そうした細かな配慮の一つひとつが、ユーザーのストレスを消し去り、そのサービスを長く愛してもらうための鍵になります。
私がこれまでに多くの企業のウェブサイトやアプリの画面を新しくしてきたとき、最も意識したのは、見た目をただおしゃれに着飾ることではありませんでした。ユーザーが今どんな気持ちで画面を見つめ、次に何をしたいのかという心の変化を徹底的に先回りして、静かに道筋を整える作業です。
余計な情報を大胆に削ぎ落とし、本当に必要な機能だけを厳選して配置し直す。この引き算の工夫を積み重ねることで、サービスの使い心地は劇的に滑らかになり、結果として問い合わせや申し込みといったビジネスの数字も驚くほど向上していきました。
デザインとは、作り手の想いと使い手の心を繋ぐ、目に見えない優しい架け橋です。そしてそれは、数字という明確な結果に裏打ちされた、とても論理的な仕組みでもあります。
これから新しい挑戦を始めようとしているチームの皆さん、あるいは自分たちのサービスをもっと多くの人に届けたいと悩んでいる皆さん、ぜひ一度、画面の向こう側の居心地に目を向けてみてください。見た目の美しさを超えた、ビジネスを力強く加速させる根拠のあるデザインの力を、これからもたくさんの現場で証明していきたいと考えています。