外からプロジェクトを見て、最初に気づくこと
Photo by Marten Newhall on Unsplash
今から 10 年近く前、フリーランスとしてクライアント企業のプロジェクトに、初めて外部参画させてもらったときの話です。
初めての案件ということもあり、どこまで貢献できるのか確信はありませんでした。
自分が持っている IT の知識や、グローバル コミュニケーションの経験を頼りに、「拾えるものは何でも拾おう」という気持ちで現場に入りました。
参画初日に一通りプロジェクトの説明を受け、翌日にはベンダーとの定例会議に参加することになりました。
この定例会議への “初参加” を通じて、外部から参画する立場だからこそ気づけること、そして貢献すべき領域が、驚くほどクリアに見えたのを覚えています。
それは、以下の 3 つの視点に集約されます。
この感覚は今でも変わらず、私が IT/DX プロジェクトを支援する際の重要な手がかりになっています。
1. 役割 ― 誰が、何を期待されているのか
プロジェクトの実働を担うステークホルダーが多ければ多いほど、「役割の現状」は外部からの参画者にはかえって見えやすくなります。
- 誰が誰に何を期待しているのか
- その期待に対して、期待される側はどう反応しているのか
車の運転にたとえるなら、
ハンドルを握るべき人が本当に握っているのか。
アクセル役は誰で、ブレーキ役は誰なのか。
定義上の立場と、実際の振る舞いは必ずしも一致しません。
コミュニケーションが建設的か、双方向か、それとも殺伐としているか。
こうしたことは、定例会議ひとつを見るだけでも、十分すぎるほどの情報量があります。
2. スピード感 ― どこで時間が使われているか
定例会議の主な目的は、進捗の確認と次のアクションの検討です。
ここからは、プロジェクト全体のスピード感と、課題やタスクの扱われ方が見えてきます。
課題管理表や WBS は、どうしても「フォーマットに落とすこと」自体が目的化しがちです。
しかし外部の視点で見ると、
- どの項目が丁寧に拾われているか
- どこが素通りされているか
- フォローアップはどの粒度で行われているか
といった点から、「このプロジェクトはこういう進み方をしているのだな」という輪郭が浮かび上がってきます。
単純に速ければよい、という話ではありません。
ただ、そのプロジェクト固有のスピード感は、外からだと驚くほどはっきり見えます。
3. 空きスペース ― 誰もが少し無理をしないと埋まらない場所
これは一度の会議で即断できるものではありませんし、拙速に決めつけるべきものでもありません。
ただ、役割の空白やスピード感の詰まりどころを追っていくと、プロジェクトの「空きスペース」が見えてくることがあります。
当時のプロジェクトでは、「海外現地法人メンバーとのコミュニケーション」という領域を軸に、クライアント企業とベンダーの間で役割認識のズレが生じていました。
それが結果として、進捗の詰まりにつながっていることが読み取れました。
こうしたポイントは、多くの場合、主要なステークホルダーの誰もが“少し無理をしないと”カバーしきれない領域です。
外部参画者としては、
- 自分が直接カバーできるなら、そこが貢献領域になりますし
- 直接は難しくても、「どのリソースで、どうアプローチすべきか」を設計・提案することができます
たとえば RACI チャートのような形で、役割とプロセスを可視化し、フィードバックを得ながら共通認識を作っていく。
そうしたアウトプット自体が、プロジェクト進捗の「効く一手」になることもあります。
プロジェクトのメイン ドライバーや主要なステークホルダーは、たいてい高いコミットメントを持っています。
同時に、会社のやり方や過去の経緯をよく知っているがゆえに、「正攻法」で進めることを周囲から期待される立場でもあります。
しかし、進め方や関わる人の特性の組み合わせ次第で、どこかに「空きスペース」が生じることは避けられません。
それは決して、恥ずかしいことでも、失敗でもないと思います。
外部リソースの活用にあたり、あらかじめその空白を認識し、言語化できている企業は、とても強く、自立した存在だと感じます。
たとえそこまで整理できていなくても、外部の人間が現場に入ることで、自然と見えてくるポイントも確かにあります。
外部支援というと、「手が回らない実務を社員のように代替する」というイメージを持たれることも多いかもしれません。
一方で、いい意味での “アウトサイダー” として、新しい目線や気づき、進め方を持ち込むという関わり方も成り立つのだと思います。
「手が足りない」をそのまま補うのではなく、
目や耳や口、ひいては“考える余白”を補完する。
それは常に必要なものではないかもしれませんが、
プロジェクトの踏ん張りどころや、立ち上がり期のようなフェーズでは、確かに効いてくる支援の形だと、今でも感じています。